大好きだった旦那様に離縁され家を追い出されましたが、騎士団長様に拾われ溺愛されました

Karamimi

文字の大きさ
2 / 61
第1章

第2話:騎士団長様に拾われました

しおりを挟む
しばらく玄関前で泣いていると、玄関のドアが開いた。中から出て来たのは、デビッドだ。
 
「よかった、まだいたんだな」
 
ホッとした顔のデビッドを見て、やっぱりデビッドは私を愛してくれていたのだわ、そう確信した。嬉しくてデビッドに抱き着こうとしたのだが
 
「これにサインしてくれ。さあ、早く」
 
突き付けられたのは離縁届だ。そんな…やっぱりデビッドは私と離縁するつもりなのね…
そう思ったら再び涙が込み上げて来た。
 
「ビービー泣くな。面倒な奴だな。俺はお前の泣き顔が、一番嫌いなんだよ。ほら、さっさと書け!」
 
無理やりペンを持たされ、泣きながらサインをする。
 
「へったクソな字だな。まあいい。これで俺とお前は晴れて他人だ。それじゃあ、元気で暮らせよ」
 
そう言うと、勢いよく扉が閉められた。これで正真正銘、私とデビッドは赤の他人になったのだ。その事実を受け入れる事が出来ないが、これ以上ここに居たらデビッドに迷惑がかかる。そんな思いから、フラフラと歩き出した。
 
既に両親と一緒に住んでいた家は売り払ってしまったから、帰る家もない。トボトボと歩いていると、雪が降り出した。なんだか寒いと思ったら、雪が降っていたのね。手に握っていたコートを急いで羽織る。
 
ここは住宅街だ。ちょうど夕食時。窓からは幸せそうな家族が、食事をしている風景が目に飛び込んできた。本当なら今頃、デビッドと一緒に結婚1年記念のお祝いをしていたはずなのに…
 
そう思ったら、再び涙が込み上げて来た。ポロポロと溢れる涙をこらえる事が出来ず、泣きながら歩く。特に行く当てがある訳ではないが、ここに留まっていても仕方がない。とにかく、お店がある場所を目指して歩き出した。
 
しばらく歩くと、お店が立ち並んでいる場所に着いた。ここでも親子連れや夫婦、恋人たちが幸せそうに歩いている。その姿を見たら、自分が物凄く惨めに思えてきて、どうしようもない気持ちになった。
 
幸せそうな人たちがいる場所から立ち去りたくて、その場を走って立ち去った。もう嫌、どうしてこんな事になってしまったの?確かに私は幸せだったはずなのに…
 
そんな思いから、涙がとめどなく溢れる。とにかく遠くに行きたくて、必死に走った。でも、次の瞬間
 
「キャッ」
 
思いっきり躓いて転んでしまった。あまりにも豪快に転んだため、周りの人がこちらをチラチラ見ている。転んだ拍子に足と手を怪我したのか、ジンジン痛む。恥ずかしさと痛み、さらに虚しさでその場から動く事が出来ず、座り込んでポロポロと涙を流して泣いた。
 
その時だった。
 
「おい、大丈夫か?」
 
誰かが私に声をかけて来た。ゆっくり顔をあげると、そこにいたのは、茶色い髪に紺色の瞳をした男性。この人は確か、この街の騎士団を束ねている騎士団長様だわ。
 
「君は、食堂で働いているスカーレット殿ではないか?確か今日は、結婚記念日で早く食堂を上がったのではなかったのか?」
 
どうして騎士団長様がそんな事を知っているのかしら?あぁ、そうか。うちの食堂に毎日食べに来ていらしているから、きっと誰かに聞いたのだろう。
 
私の働いている食堂は、騎士団の稽古場のすぐそばにある。その為、騎士団関係の人がよく食事に来るのだ。とにかく、騎士団長様の手を煩わせる訳には行かない。
 
「ご心配いただきありがとうございます。でも、何でもありませんわ。ちょっと転んだだけです。それでは、私はこれで」
 
痛む足を何とか引きずり起こし、立ち上がると、騎士団長様に頭を下げた。
 
「待て。足を怪我しているではないか?とにかく、家まで送っていこう。すまないが、ちょっと失礼する」
 
そう言うと、私を抱きかかえ歩き出した騎士団長様。
 
「あの、大丈夫です。自分で歩いて帰れますから」
 
そう伝えたのだが
 
「足を引きずっていたではないか。とにかく、大人しくしていろ。それにしても、旦那は一体何をしているんだ。妻をこんなところに放置するなんて」
 
旦那…その言葉が胸に突き刺さる。もう私には、旦那様はいないのだ。再び涙が溢れ出した。
 
「おい、どうしたんだ?急に泣き出して。足が痛いのか?待っていろ。急いで家に連れて帰ってやるからな」
 
そう言うと、速足で歩きだした騎士団長様。
 
「お待ちください、騎士団長様。私にはもう帰る家などないのです。ですから、どうか私の事は放っておいてください」
 
「帰る家がないだと?それは一体どういう事だ…」
 
夫に離縁されたのです。そう言いたいが、完全にスイッチが入ってしまった私は、泣きすぎてうまく話すことが出来ない。
 
「とりあえず家に行こう。とにかく、怪我の手当てもしないといけないからな」
 
そう言って私を抱きかかえたまま、騎士団長様は歩き出したのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。

橘ハルシ
恋愛
 ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!  リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。  怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。  しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。 全21話(本編20話+番外編1話)です。

王太子妃は離婚したい

凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。 だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。 ※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。 綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。 これまで応援いただき、本当にありがとうございました。 レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。 https://www.regina-books.com/extra/login

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

とんでもない侯爵に嫁がされた女流作家の伯爵令嬢

ヴァンドール
恋愛
面食いで愛人のいる侯爵に伯爵令嬢であり女流作家のアンリが身を守るため変装して嫁いだが、その後、王弟殿下と知り合って・・

忘れられた幼な妻は泣くことを止めました

帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。 そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。 もちろん返済する目処もない。 「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」 フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。 嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。 「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」 そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。 厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。 それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。 「お幸せですか?」 アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。 世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。 古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。 ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。 ※小説家になろう様にも投稿させていただいております。

婚約者に捨てられた私ですが、なぜか宰相様の膝の上が定位置になっています 

さら
恋愛
 王太子との婚約を一方的に破棄され、社交界で居場所を失った令嬢エリナ。絶望の淵に沈む彼女の前に現れたのは、冷徹と名高い宰相だった。  「君の居場所は、ここだ」  そう言って彼は、ためらいもなくエリナを自らの膝の上に抱き上げる。  それ以来、エリナの定位置はなぜか宰相様の膝の上に固定されてしまう。  周囲からの嘲笑や陰口、そして第一王子派の陰謀が二人を取り巻くが、宰相は一切怯むことなく、堂々とエリナを膝に抱いたまま権力の中枢に立ち続ける。  「君がいる限り、私は負けぬ」  その揺るぎない言葉に支えられ、エリナは少しずつ自信を取り戻し、やがて「宰相の妻」としての誇りを胸に刻んでいく。  舞踏会での公然の宣言、王妃の承認、王宮評議会での糾弾――数々の試練を経ても、二人の絆は揺らがない。むしろ宰相は、すべての人々の前で「彼女こそ我が誇り」と高らかに示し、エリナ自身もまた「膝の上にいることこそ愛の証」と誇らしく胸を張るようになっていく。  そしてついに、宰相は人々の前で正式に求婚を告げる。  「エリナ。これから先、どんな嵐が来ようとも――君の定位置は私の膝の上だ」

私を虐げた人には絶望を ~貧乏令嬢は悪魔と呼ばれる侯爵様と契約結婚する~

香木陽灯
恋愛
 「あなた達の絶望を侯爵様に捧げる契約なの。だから……悪く思わないでね?」   貧乏な子爵家に生まれたカレン・リドリーは、家族から虐げられ、使用人のように働かされていた。   カレンはリドリー家から脱出して平民として生きるため、就職先を探し始めるが、令嬢である彼女の就職活動は難航してしまう。   ある時、不思議な少年ティルからモルザン侯爵家で働くようにスカウトされ、モルザン家に連れていかれるが……  「変わった人間だな。悪魔を前にして驚きもしないとは」   クラウス・モルザンは「悪魔の侯爵」と呼ばれていたが、本当に悪魔だったのだ。   負の感情を糧として生きているクラウスは、社交界での負の感情を摂取するために優秀な侯爵を演じていた。   カレンと契約結婚することになったクラウスは、彼女の家族に目をつける。   そしてクラウスはカレンの家族を絶望させて糧とするため、動き出すのだった。  「お前を虐げていた者たちに絶望を」  ※念のためのR-15です  ※他サイトでも掲載中

白い結婚のはずが、騎士様の独占欲が強すぎます! すれ違いから始まる溺愛逆転劇

鍛高譚
恋愛
婚約破棄された令嬢リオナは、家の体面を守るため、幼なじみであり王国騎士でもあるカイルと「白い結婚」をすることになった。 お互い干渉しない、心も体も自由な結婚生活――そのはずだった。 ……少なくとも、リオナはそう信じていた。 ところが結婚後、カイルの様子がおかしい。 距離を取るどころか、妙に優しくて、時に甘くて、そしてなぜか他の男性が近づくと怒る。 「お前は俺の妻だ。離れようなんて、思うなよ」 どうしてそんな顔をするのか、どうしてそんなに真剣に見つめてくるのか。 “白い結婚”のはずなのに、リオナの胸は日に日にざわついていく。 すれ違い、誤解、嫉妬。 そして社交界で起きた陰謀事件をきっかけに、カイルはとうとう本心を隠せなくなる。 「……ずっと好きだった。諦めるつもりなんてない」 そんなはずじゃなかったのに。 曖昧にしていたのは、むしろリオナのほうだった。 白い結婚から始まる、幼なじみ騎士の不器用で激しい独占欲。 鈍感な令嬢リオナが少しずつ自分の気持ちに気づいていく、溺愛逆転ラブストーリー。 「ゆっくりでいい。お前の歩幅に合わせる」 「……はい。私も、カイルと歩きたいです」 二人は“白い結婚”の先に、本当の夫婦を選んでいく――。 -

処理中です...