11 / 61
第1章
第11話:あの子が気になる~グレイ視点~
しおりを挟む
俺の名前は、グレイ・ディースティン。ディースティン男爵家の5男として生まれた。父は男爵、母は元々男爵家で働いていたメイドで、第3夫人だ。この国では、貴族のみ妻を何人も持つことが出来る。
もともと女好きだった父は、母を含め、4人の妻がいた。そんな中、俺の母は平民でさらに元メイドだ。他の3人の妻はみんな男爵家の娘。その為、母はずっと他の妻たちに嫌がらせをされていた。
もちろん、俺も異母兄弟たちから酷い扱いを受けていた。殴られたり蹴られたりは日常茶飯事だった。毎日傷だらけになる俺を見て、いつも母は
「私が平民なばかりに…ごめんね、グレイ」
そう言って涙を流していた。そんな母を少しでも安心させたくて、6歳から騎士団に入った。そして誰よりも強くなって、金をたくさん稼いで母と一緒にこの家を出よう。そんな思いから、血の滲むような努力を重ねた。
日に日に強くなる俺を見て、異母兄弟たちは俺に手を出さなくなっていった。ただ、母への嫌がらせは相変わらずだった。そんな母を庇いもしない父親。いいや、こんな奴、父親なんかじゃない。早く金をためて、この家から出て行かないと!
そんな思いから、必死に稽古に励み、15歳と言う若さで副騎士団長になった。それと同時に、母を連れて家を出た。なぜか父は母と別れる事を拒んだが、俺が少し強めの口調で迫ると、しぶしぶ離縁を承諾した。
あらかじめ騎士団に事情を話し、王都から離れた土地で副騎士団長として働かせてもらえる事も決まっていた為、母を連れて急いで王都を離れた。もう母をイジメる奴もいない。2人での生活は物凄く順調だった。今まで元気のなかった母も、息を吹き返したように元気になった。
さらに食堂で仕事を始め、まさに順風満帆だった。でも…俺が18歳の時、母は病気で亡くなった。唯一の家族でもある母を失い、生きる意味すら見失いかけた俺を救ってくれたのは、当時の騎士団長だ。
俺にはもう守るものなど何もない。これからどうやって生きていけばいいのか…そう頭を抱える俺に
「お前には騎士団の仕事があるだろう。お前にはこの街の人を守ると言う、立派な仕事があるじゃないか?違うか?」
そう言って肩を叩いたのだ。確かに騎士団はこの街の人を守るのが仕事だ。母がいなくなっても、俺には騎士団の仕事がある。これからは、この街で暮らす人の為に全力を尽くしていこう。そう決意した。
その後も必死に訓練を続け、ついに18歳の時、騎士団長になった。騎士団長として最初にお世話になった街は、あまり治安が良くないところだった。その為、物凄く忙しくて、眠る暇もないほどがむしゃらに働いた。
そのお陰か、俺が騎士団長として街にやって来てから1年ほどで、治安も随分と落ち着いた。街の人たちからはかなり感謝された。やはり感謝されると嬉しいものだ。結局この街では、3年間騎士団長として働いた。
そして21歳の時、また別の街へと移動になった。次の街は比較的治安のよい街だった。その為どちらかと言うと、若手の騎士団員を育てるのが俺の仕事との事。
そして迎えた初日、騎士団の稽古場に向かう。案内してくれたのは、副騎士団長をしているフィルと言う男だ。なんと、こいつの父親はこの街の裁判所に努めている裁判官らしい。さらに兄たちも裁判官や弁護士をしているらしい。そんな家系の人間がどうして騎士団なんかに?
そう思って聞いてみると
「俺は父親や兄たちみたいに頭が良くないからな。それに、裁判所も騎士団も悪を退治し、困った人を助けるところだろ?俺は別の方面から、困っている市民を助けたいと思ったんだ」
そう教えてくれた。なるほど、そう言う考え方もあるのか。
結局フィルとはすぐに仲良くなった。そして迎えた昼休み
「グレイ、騎士団内は食堂がないんだ。その為、みんな近くの食堂に食べに行く。さあ、早速飯を食いに行こう」
そう言って俺を連れて食堂へと向かうフィル。騎士団のすぐ近くには、沢山の食堂が軒を連ねている。
「色々あるんだが、やっぱりここが一番おいしいんだよな」
そう言って、1軒のお店に入った。物凄く人気の様で、既に沢山の客がいた。もちろん、騎士団員もたくさんいる。
「いらっしゃいませ、こちらへどうぞ」
俺たちの対応をしてくれたのは、金色の髪に緑の瞳をした可愛らしい女性だ。その笑顔を見た瞬間、一気に鼓動が早くなった。何なんだ、この気持ちは…
正直今まで、女性にこんな感情を抱いた事なんてなかった。俺は自分で言うのもなんだか、物凄く奥手だ。この21年間、一度も女性と交際するどころか、手も繋いだことがない。それに女性を見ても、こんな風にときめく事なんてなかったのに…
1人動揺する俺に
「やあ、スカーレットちゃん、こいつ、今日から騎士団長としてこの街に来たグレイだ。ちょくちょく顔を出すだろうから、よろしく頼むよ」
女性に俺を紹介するフィル。
「まあ、騎士団長様ですか?初めまして、スカーレットと申します。いつもこの街を守ってくださっている騎士団の皆様には本当に感謝しております。どうかこれから、よろしくお願いしますね」
そう言うと、再びほほ笑んだスカーレット殿。なんて…なんて可愛らしい人なんだ…一気に鼓動が早くなる。正直どう対応していいかわからず
「ああ…よろしく頼む」
そうぶっきらぼうに答えてしまった。これが彼女と俺の初めての出会いだった。
もともと女好きだった父は、母を含め、4人の妻がいた。そんな中、俺の母は平民でさらに元メイドだ。他の3人の妻はみんな男爵家の娘。その為、母はずっと他の妻たちに嫌がらせをされていた。
もちろん、俺も異母兄弟たちから酷い扱いを受けていた。殴られたり蹴られたりは日常茶飯事だった。毎日傷だらけになる俺を見て、いつも母は
「私が平民なばかりに…ごめんね、グレイ」
そう言って涙を流していた。そんな母を少しでも安心させたくて、6歳から騎士団に入った。そして誰よりも強くなって、金をたくさん稼いで母と一緒にこの家を出よう。そんな思いから、血の滲むような努力を重ねた。
日に日に強くなる俺を見て、異母兄弟たちは俺に手を出さなくなっていった。ただ、母への嫌がらせは相変わらずだった。そんな母を庇いもしない父親。いいや、こんな奴、父親なんかじゃない。早く金をためて、この家から出て行かないと!
そんな思いから、必死に稽古に励み、15歳と言う若さで副騎士団長になった。それと同時に、母を連れて家を出た。なぜか父は母と別れる事を拒んだが、俺が少し強めの口調で迫ると、しぶしぶ離縁を承諾した。
あらかじめ騎士団に事情を話し、王都から離れた土地で副騎士団長として働かせてもらえる事も決まっていた為、母を連れて急いで王都を離れた。もう母をイジメる奴もいない。2人での生活は物凄く順調だった。今まで元気のなかった母も、息を吹き返したように元気になった。
さらに食堂で仕事を始め、まさに順風満帆だった。でも…俺が18歳の時、母は病気で亡くなった。唯一の家族でもある母を失い、生きる意味すら見失いかけた俺を救ってくれたのは、当時の騎士団長だ。
俺にはもう守るものなど何もない。これからどうやって生きていけばいいのか…そう頭を抱える俺に
「お前には騎士団の仕事があるだろう。お前にはこの街の人を守ると言う、立派な仕事があるじゃないか?違うか?」
そう言って肩を叩いたのだ。確かに騎士団はこの街の人を守るのが仕事だ。母がいなくなっても、俺には騎士団の仕事がある。これからは、この街で暮らす人の為に全力を尽くしていこう。そう決意した。
その後も必死に訓練を続け、ついに18歳の時、騎士団長になった。騎士団長として最初にお世話になった街は、あまり治安が良くないところだった。その為、物凄く忙しくて、眠る暇もないほどがむしゃらに働いた。
そのお陰か、俺が騎士団長として街にやって来てから1年ほどで、治安も随分と落ち着いた。街の人たちからはかなり感謝された。やはり感謝されると嬉しいものだ。結局この街では、3年間騎士団長として働いた。
そして21歳の時、また別の街へと移動になった。次の街は比較的治安のよい街だった。その為どちらかと言うと、若手の騎士団員を育てるのが俺の仕事との事。
そして迎えた初日、騎士団の稽古場に向かう。案内してくれたのは、副騎士団長をしているフィルと言う男だ。なんと、こいつの父親はこの街の裁判所に努めている裁判官らしい。さらに兄たちも裁判官や弁護士をしているらしい。そんな家系の人間がどうして騎士団なんかに?
そう思って聞いてみると
「俺は父親や兄たちみたいに頭が良くないからな。それに、裁判所も騎士団も悪を退治し、困った人を助けるところだろ?俺は別の方面から、困っている市民を助けたいと思ったんだ」
そう教えてくれた。なるほど、そう言う考え方もあるのか。
結局フィルとはすぐに仲良くなった。そして迎えた昼休み
「グレイ、騎士団内は食堂がないんだ。その為、みんな近くの食堂に食べに行く。さあ、早速飯を食いに行こう」
そう言って俺を連れて食堂へと向かうフィル。騎士団のすぐ近くには、沢山の食堂が軒を連ねている。
「色々あるんだが、やっぱりここが一番おいしいんだよな」
そう言って、1軒のお店に入った。物凄く人気の様で、既に沢山の客がいた。もちろん、騎士団員もたくさんいる。
「いらっしゃいませ、こちらへどうぞ」
俺たちの対応をしてくれたのは、金色の髪に緑の瞳をした可愛らしい女性だ。その笑顔を見た瞬間、一気に鼓動が早くなった。何なんだ、この気持ちは…
正直今まで、女性にこんな感情を抱いた事なんてなかった。俺は自分で言うのもなんだか、物凄く奥手だ。この21年間、一度も女性と交際するどころか、手も繋いだことがない。それに女性を見ても、こんな風にときめく事なんてなかったのに…
1人動揺する俺に
「やあ、スカーレットちゃん、こいつ、今日から騎士団長としてこの街に来たグレイだ。ちょくちょく顔を出すだろうから、よろしく頼むよ」
女性に俺を紹介するフィル。
「まあ、騎士団長様ですか?初めまして、スカーレットと申します。いつもこの街を守ってくださっている騎士団の皆様には本当に感謝しております。どうかこれから、よろしくお願いしますね」
そう言うと、再びほほ笑んだスカーレット殿。なんて…なんて可愛らしい人なんだ…一気に鼓動が早くなる。正直どう対応していいかわからず
「ああ…よろしく頼む」
そうぶっきらぼうに答えてしまった。これが彼女と俺の初めての出会いだった。
98
あなたにおすすめの小説
突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。
橘ハルシ
恋愛
ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!
リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。
怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。
しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。
全21話(本編20話+番外編1話)です。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
契約結婚の相手が優しすぎて困ります
みみぢあん
恋愛
ペルサル伯爵の婚外子リアンナは、学園に通い淑女の教育を受けているが、帰宅すれば使用人のような生活をおくっていた。 学園の卒業が近くなったある日、リアンナは父親と変わらない年齢の男爵との婚約が決まる。 そんなリアンナにフラッドリー公爵家の後継者アルベールと契約結婚をしないかと持ちかけられた。
婚約者に捨てられた私ですが、なぜか宰相様の膝の上が定位置になっています
さら
恋愛
王太子との婚約を一方的に破棄され、社交界で居場所を失った令嬢エリナ。絶望の淵に沈む彼女の前に現れたのは、冷徹と名高い宰相だった。
「君の居場所は、ここだ」
そう言って彼は、ためらいもなくエリナを自らの膝の上に抱き上げる。
それ以来、エリナの定位置はなぜか宰相様の膝の上に固定されてしまう。
周囲からの嘲笑や陰口、そして第一王子派の陰謀が二人を取り巻くが、宰相は一切怯むことなく、堂々とエリナを膝に抱いたまま権力の中枢に立ち続ける。
「君がいる限り、私は負けぬ」
その揺るぎない言葉に支えられ、エリナは少しずつ自信を取り戻し、やがて「宰相の妻」としての誇りを胸に刻んでいく。
舞踏会での公然の宣言、王妃の承認、王宮評議会での糾弾――数々の試練を経ても、二人の絆は揺らがない。むしろ宰相は、すべての人々の前で「彼女こそ我が誇り」と高らかに示し、エリナ自身もまた「膝の上にいることこそ愛の証」と誇らしく胸を張るようになっていく。
そしてついに、宰相は人々の前で正式に求婚を告げる。
「エリナ。これから先、どんな嵐が来ようとも――君の定位置は私の膝の上だ」
私を虐げた人には絶望を ~貧乏令嬢は悪魔と呼ばれる侯爵様と契約結婚する~
香木陽灯
恋愛
「あなた達の絶望を侯爵様に捧げる契約なの。だから……悪く思わないでね?」
貧乏な子爵家に生まれたカレン・リドリーは、家族から虐げられ、使用人のように働かされていた。
カレンはリドリー家から脱出して平民として生きるため、就職先を探し始めるが、令嬢である彼女の就職活動は難航してしまう。
ある時、不思議な少年ティルからモルザン侯爵家で働くようにスカウトされ、モルザン家に連れていかれるが……
「変わった人間だな。悪魔を前にして驚きもしないとは」
クラウス・モルザンは「悪魔の侯爵」と呼ばれていたが、本当に悪魔だったのだ。
負の感情を糧として生きているクラウスは、社交界での負の感情を摂取するために優秀な侯爵を演じていた。
カレンと契約結婚することになったクラウスは、彼女の家族に目をつける。
そしてクラウスはカレンの家族を絶望させて糧とするため、動き出すのだった。
「お前を虐げていた者たちに絶望を」
※念のためのR-15です
※他サイトでも掲載中
【完結】アッシュフォード男爵夫人-愛されなかった令嬢は妹の代わりに辺境へ嫁ぐ-
七瀬菜々
恋愛
ブランチェット伯爵家はずっと昔から、体の弱い末の娘ベアトリーチェを中心に回っている。
両親も使用人も、ベアトリーチェを何よりも優先する。そしてその次は跡取りの兄。中間子のアイシャは両親に気遣われることなく生きてきた。
もちろん、冷遇されていたわけではない。衣食住に困ることはなかったし、必要な教育も受けさせてもらえた。
ただずっと、両親の1番にはなれなかったというだけ。
---愛されていないわけじゃない。
アイシャはずっと、自分にそう言い聞かせながら真面目に生きてきた。
しかし、その願いが届くことはなかった。
アイシャはある日突然、病弱なベアトリーチェの代わりに、『戦場の悪魔』の異名を持つ男爵の元へ嫁ぐことを命じられたのだ。
かの男は血も涙もない冷酷な男と噂の人物。
アイシャだってそんな男の元に嫁ぎたくないのに、両親は『ベアトリーチェがかわいそうだから』という理由だけでこの縁談をアイシャに押し付けてきた。
ーーーああ。やはり私は一番にはなれないのね。
アイシャはとうとう絶望した。どれだけ願っても、両親の一番は手に入ることなどないのだと、思い知ったから。
結局、アイシャは傷心のまま辺境へと向かった。
望まれないし、望まない結婚。アイシャはこのまま、誰かの一番になることもなく一生を終えるのだと思っていたのだが………?
※全部で3部です。話の進みはゆっくりとしていますが、最後までお付き合いくださると嬉しいです。
※色々と、設定はふわっとしてますのでお気をつけください。
※作者はザマァを描くのが苦手なので、ザマァ要素は薄いです。
【完結】王子から婚約解消されましたが、次期公爵様と婚約して、みんなから溺愛されています
金峯蓮華
恋愛
ヴィオレッタは幼い頃から婚約していた第2王子から真実の愛を見つけたと言って、婚約を解消された。
大嫌いな第2王子と結婚しなくていいとバンザイ三唱していたら、今度は年の離れた。筆頭公爵家の嫡男と婚約させられた。
のんびり過ごしたかったけど、公爵夫妻と両親は仲良しだし、ヴィオレッタのことも可愛がってくれている。まぁいいかと婚約者生活を過ごしていた。
ヴィオレッタは婚約者がプチヤンデレなことには全く気がついてなかった。
そんな天然気味のヴィオレッタとヴィオレッタ命のプチヤンデレユリウスの緩い恋の物語です。
ゆるふわな設定です。
暢気な主人公がハイスペプチヤンデレ男子に溺愛されます。
R15は保険です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる