17 / 61
第1章
第17話:私の為に色々と動いてくれていた様です
しおりを挟む
グレイ様のお誕生日から1週間が過ぎた。あの後すぐに私の誕生日を聞いてきたグレイ様。実は先月既に18歳の誕生日を迎えていたことを伝えると、物凄く残念そうな顔をしていた。
それでも
“遅くなったがこれ、誕生日プレゼントだ”
そう言って、可愛らしいブレスレットとネックレスをくれた。そして、おしゃれなレストランに連れて行ってくれた。
“来年はきちんと祝うから。本当にすまない”
そう言って何度も頭を下げたグレイ様。来年…その言葉が心に響く。グレイ様はきっと、あまり深く考えずに言ったのだろう。それでも私は、未来の約束が出来る事が嬉しくてたまらない。来年も一緒に、いられるといいな…
そしてグレイ様の誕生日パーティーで仲良くなったリンダさんの家に、先日遊びに行かせてもらった。コメットさんとの話も色々と聞かせてもらった。子供の頃からずっと一緒に居て、一緒にいる事が当たり前だった事。10歳で離れ離れになり、寂しくて何度も泣いた事。そしてやっと結ばれた事。
嬉しそうに話してくれるリンダさん。実はリンダさん、コメットさんが村を出る際に受けた告白を断ったらしい。ずっと一緒にいすぎて、その時はコメットさんの大切さがわからなかったらしい。でも離れてみて、やっぱりコメットさんが好きだとわかり、自分から会いに行ったとの事。
“幸せは待っているだけで中々訪れないもの。自分から掴みに行かないとね”
そう言って笑ったリンダさん。その言葉が胸に響いた。よく考えてみたら、私は今まで自分から行動したことがあっただろうか…デビッドの時も、向こうから近づいてきたし。食堂で働きだしたのも、デビッドが“何か仕事でもした方がいいんじゃない?”そう言ったのがきっかけだ。
今の生活だって、グレイ様のご厚意で置いてもらっている。“ずっとここに居てもいい”と言ってくれたグレイ様の言葉に甘えて…
本格的にグレイ様との事を考えるなら、いつまでもこの家にお世話になっている訳には行かない。きっとグレイ様にとって、私は妹の様な存在なのだろう。妹ではダメよね。そろそろ独り立ちして、妹から脱出しないと。そうは思っても、中々重い腰が上がらない。本当に情けない。自分の弱さに、ため息が出る。
結局まだ行動に移せないまま、今日もグレイ様と一緒に夕食を食べる。相変わらず私のお料理を美味しいと言ってくれるグレイ様。その姿を見ると、やっぱりまだこの家に居たいと言う気持ちが大きくなるのだ。
食後、グレイ様に誘われて一緒にティータイムだ。手作りケーキとお茶を出し、ソファーに座った。
「スカーレット、実は君に話さないといけない事があるんだ」
急に真剣な表情になったグレイ様。まさか好きな人が出来たから、家から出て行ってくれとかかしら?一気に不安になる。そんな私に気が付いたのか
「そんなに不安そうな顔をしないでくれ。でも、君にとっては辛い話かもしれない。実は君の元夫、デビッドの件なんだが、色々と調べた結果、君のご両親が残した遺産を全てあの女に使い込んでいた。その調査報告が昨日届いた」
そう言うと、私に分厚い資料を見せてくれた。どうやら両親はかなりの遺産を、私に残してくれていたらしい。でも、ほとんど使われていて残っていない様だ。
「本来スカーレットしか引き出せないお金を、キャロリーナと言う女が君のふりをして引き出したらしい」
「そんな事、出来るのですか?」
さすがにそんな事は出来ないだろう。そう思ったのだが…
「通帳と夫でもあるデビッドの身分証明書で引き出せたらしい。ただ、本来は本人も身分証明書を提示しないといけないのだが…どうやら銀行員に協力者がいたらしい。その協力者に、多額のお金を渡している証拠も出て来た」
「随分と面倒な事をしたのですね。でも、どうして私を連れて行かなかったのでしょうか?その方が手間もかかりませんのに…」
「君に両親の遺産がいくらあるのか、知られたくなったのだろう。そもそもあの男、仕事もせずに君の両親の遺産で買い与えた女の家に入り浸っていたらしい。スカーレットが稼いだお金で、ほぼ生計を立てていたのではないのかい?」
「確かに、デビッドの働いたお金は将来の為に貯金をして、私の働いたお金で生活をしようと言われておりました」
まさか毎日出掛けては、あの女性の家で生活をしていたのか…正直昔の私なら発狂していただろうが、今は話を聞いても、あぁ、なるほどとしか思わない。でも、まさか両親の遺産を使い果たしていたなんて…
「本当にどうしようもないクズだな。それで、本題に入ろう。要するに、デビッドと今の妻は、本来君のお金でもあるご両親の財産を勝手に使った。たとえ夫婦であっても、個人の財産を使う権利はないにも関わらずだ。要するに、泥棒という事だな。さらに、スカーレットの私物まで売り払った。そうそう、残りの2点も昨日買い戻した」
そう言って机の上に、ブレスレットとブローチを置いた。間違いない、私のものだ。まさか全て買い戻してくれるなんて。
嬉しくて、ブレスレットとブローチをギューッと抱きしめた。本当にグレイ様には感謝しかない。感動している私をしり目に、さらに話を続けるグレイ様。
「それで、デビッドと妻のキャロリーナを窃盗で訴えたいと思っている。もちろん、スカーレットの両親の遺産も、売り払ったスカーレットの私物の買い取り費用も全て請求するつもりだ。でも、訴えるのは実際に被害にあった君しか出来ない。スカーレットがどうしても元旦那を訴えたくないと言うなら、それでもいいと俺は思っている。それで、君はどうしたい?」
「私は…」
急にデビッドとその奥さんを訴えると言われても、頭が付いていかない。
「すまない、急にこんな話をしたから、頭が混乱しているよな。とにかく一度ゆっくり考えて、結論を出して欲しい」
そう言って私の手を握ったグレイ様。その温もりを感じたとたん、今までの動揺がスーッと消えていく。
「グレイ様、私の為に動いて下さり、ありがとうございます。一度ゆっくり考えてみますわ」
それでも
“遅くなったがこれ、誕生日プレゼントだ”
そう言って、可愛らしいブレスレットとネックレスをくれた。そして、おしゃれなレストランに連れて行ってくれた。
“来年はきちんと祝うから。本当にすまない”
そう言って何度も頭を下げたグレイ様。来年…その言葉が心に響く。グレイ様はきっと、あまり深く考えずに言ったのだろう。それでも私は、未来の約束が出来る事が嬉しくてたまらない。来年も一緒に、いられるといいな…
そしてグレイ様の誕生日パーティーで仲良くなったリンダさんの家に、先日遊びに行かせてもらった。コメットさんとの話も色々と聞かせてもらった。子供の頃からずっと一緒に居て、一緒にいる事が当たり前だった事。10歳で離れ離れになり、寂しくて何度も泣いた事。そしてやっと結ばれた事。
嬉しそうに話してくれるリンダさん。実はリンダさん、コメットさんが村を出る際に受けた告白を断ったらしい。ずっと一緒にいすぎて、その時はコメットさんの大切さがわからなかったらしい。でも離れてみて、やっぱりコメットさんが好きだとわかり、自分から会いに行ったとの事。
“幸せは待っているだけで中々訪れないもの。自分から掴みに行かないとね”
そう言って笑ったリンダさん。その言葉が胸に響いた。よく考えてみたら、私は今まで自分から行動したことがあっただろうか…デビッドの時も、向こうから近づいてきたし。食堂で働きだしたのも、デビッドが“何か仕事でもした方がいいんじゃない?”そう言ったのがきっかけだ。
今の生活だって、グレイ様のご厚意で置いてもらっている。“ずっとここに居てもいい”と言ってくれたグレイ様の言葉に甘えて…
本格的にグレイ様との事を考えるなら、いつまでもこの家にお世話になっている訳には行かない。きっとグレイ様にとって、私は妹の様な存在なのだろう。妹ではダメよね。そろそろ独り立ちして、妹から脱出しないと。そうは思っても、中々重い腰が上がらない。本当に情けない。自分の弱さに、ため息が出る。
結局まだ行動に移せないまま、今日もグレイ様と一緒に夕食を食べる。相変わらず私のお料理を美味しいと言ってくれるグレイ様。その姿を見ると、やっぱりまだこの家に居たいと言う気持ちが大きくなるのだ。
食後、グレイ様に誘われて一緒にティータイムだ。手作りケーキとお茶を出し、ソファーに座った。
「スカーレット、実は君に話さないといけない事があるんだ」
急に真剣な表情になったグレイ様。まさか好きな人が出来たから、家から出て行ってくれとかかしら?一気に不安になる。そんな私に気が付いたのか
「そんなに不安そうな顔をしないでくれ。でも、君にとっては辛い話かもしれない。実は君の元夫、デビッドの件なんだが、色々と調べた結果、君のご両親が残した遺産を全てあの女に使い込んでいた。その調査報告が昨日届いた」
そう言うと、私に分厚い資料を見せてくれた。どうやら両親はかなりの遺産を、私に残してくれていたらしい。でも、ほとんど使われていて残っていない様だ。
「本来スカーレットしか引き出せないお金を、キャロリーナと言う女が君のふりをして引き出したらしい」
「そんな事、出来るのですか?」
さすがにそんな事は出来ないだろう。そう思ったのだが…
「通帳と夫でもあるデビッドの身分証明書で引き出せたらしい。ただ、本来は本人も身分証明書を提示しないといけないのだが…どうやら銀行員に協力者がいたらしい。その協力者に、多額のお金を渡している証拠も出て来た」
「随分と面倒な事をしたのですね。でも、どうして私を連れて行かなかったのでしょうか?その方が手間もかかりませんのに…」
「君に両親の遺産がいくらあるのか、知られたくなったのだろう。そもそもあの男、仕事もせずに君の両親の遺産で買い与えた女の家に入り浸っていたらしい。スカーレットが稼いだお金で、ほぼ生計を立てていたのではないのかい?」
「確かに、デビッドの働いたお金は将来の為に貯金をして、私の働いたお金で生活をしようと言われておりました」
まさか毎日出掛けては、あの女性の家で生活をしていたのか…正直昔の私なら発狂していただろうが、今は話を聞いても、あぁ、なるほどとしか思わない。でも、まさか両親の遺産を使い果たしていたなんて…
「本当にどうしようもないクズだな。それで、本題に入ろう。要するに、デビッドと今の妻は、本来君のお金でもあるご両親の財産を勝手に使った。たとえ夫婦であっても、個人の財産を使う権利はないにも関わらずだ。要するに、泥棒という事だな。さらに、スカーレットの私物まで売り払った。そうそう、残りの2点も昨日買い戻した」
そう言って机の上に、ブレスレットとブローチを置いた。間違いない、私のものだ。まさか全て買い戻してくれるなんて。
嬉しくて、ブレスレットとブローチをギューッと抱きしめた。本当にグレイ様には感謝しかない。感動している私をしり目に、さらに話を続けるグレイ様。
「それで、デビッドと妻のキャロリーナを窃盗で訴えたいと思っている。もちろん、スカーレットの両親の遺産も、売り払ったスカーレットの私物の買い取り費用も全て請求するつもりだ。でも、訴えるのは実際に被害にあった君しか出来ない。スカーレットがどうしても元旦那を訴えたくないと言うなら、それでもいいと俺は思っている。それで、君はどうしたい?」
「私は…」
急にデビッドとその奥さんを訴えると言われても、頭が付いていかない。
「すまない、急にこんな話をしたから、頭が混乱しているよな。とにかく一度ゆっくり考えて、結論を出して欲しい」
そう言って私の手を握ったグレイ様。その温もりを感じたとたん、今までの動揺がスーッと消えていく。
「グレイ様、私の為に動いて下さり、ありがとうございます。一度ゆっくり考えてみますわ」
103
あなたにおすすめの小説
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています
腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。
「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」
そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった!
今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。
冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。
彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――
契約結婚の相手が優しすぎて困ります
みみぢあん
恋愛
ペルサル伯爵の婚外子リアンナは、学園に通い淑女の教育を受けているが、帰宅すれば使用人のような生活をおくっていた。 学園の卒業が近くなったある日、リアンナは父親と変わらない年齢の男爵との婚約が決まる。 そんなリアンナにフラッドリー公爵家の後継者アルベールと契約結婚をしないかと持ちかけられた。
婚約破棄されたけれど、どうぞ勝手に没落してくださいませ。私は辺境で第二の人生を満喫しますわ
鍛高譚
恋愛
「白い結婚でいい。
平凡で、静かな生活が送れれば――それだけで幸せでしたのに。」
婚約破棄され、行き場を失った伯爵令嬢アナスタシア。
彼女を救ったのは“冷徹”と噂される公爵・ルキウスだった。
二人の結婚は、互いに干渉しない 『白い結婚』――ただの契約のはずだった。
……はずなのに。
邸内で起きる不可解な襲撃。
操られた侍女が放つ言葉。
浮かび上がる“白の一族”の血――そしてアナスタシアの身体に眠る 浄化の魔力。
「白の娘よ。いずれ迎えに行く」
影の王から届いた脅迫状が、運命の刻を告げる。
守るために剣を握る公爵。
守られるだけで終わらせないと誓う令嬢。
契約から始まったはずの二人の関係は、
いつしか互いに手放せない 真実の愛 へと変わってゆく。
「君を奪わせはしない」
「わたくしも……あなたを守りたいのです」
これは――
白い結婚から始まり、影の王を巡る大いなる戦いへ踏み出す、
覚醒令嬢と冷徹公爵の“運命の恋と陰謀”の物語。
---
旦那様、政略結婚ですので離婚しましょう
おてんば松尾
恋愛
王命により政略結婚したアイリス。
本来ならば皆に祝福され幸せの絶頂を味わっているはずなのにそうはならなかった。
初夜の場で夫の公爵であるスノウに「今日は疲れただろう。もう少し互いの事を知って、納得した上で夫婦として閨を共にするべきだ」と言われ寝室に一人残されてしまった。
翌日から夫は仕事で屋敷には帰ってこなくなり使用人たちには冷たく扱われてしまうアイリス……
(※この物語はフィクションです。実在の人物や事件とは関係ありません。)
所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜
しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。
高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。
しかし父は知らないのだ。
ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。
そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。
それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。
けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。
その相手はなんと辺境伯様で——。
なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。
彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。
それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。
天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。
壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。
突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。
橘ハルシ
恋愛
ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!
リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。
怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。
しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。
全21話(本編20話+番外編1話)です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる