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第2章
第22話:グレイ様が北の森に向かいました
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退院してから1ヶ月。相変わらず忙しいグレイ様。それでも1日に1度は家に帰って来て、私の様子を見に来てくれている。さらに頻繁に通信機で連絡をくれる。本当に頻繁に通信をくれるため、通信機をずっと手元に置いているのだ。
一度通信に気が付かなかったことがあるのだが、その時は心配して家まで見に来る始末。どこまでも過保護なグレイ様だ。
今日も通信機をポケットに入れ、夕食の準備を行う。するといつもより早く“ガチャリ”と鍵が開く音が。急いで玄関に向かうと、グレイ様が立っていた。
「今日は随分と早いのですね。晩御飯は食べられそうですか?」
「ああ、食べるよ。着替えてくるから、少し待っていてくれ」
着替えてくる?いつもはそのまま晩御飯を食べて、またすぐ出かけてしまうのに。一体どうしたのかしら?
疑問に思いつつも食卓に食事を並べていく。そしてグレイ様が戻ってきたところで、食事がスタートした。
「スカーレット、明日から北の森に向かう事になった。しばらくは帰ってこられないだろう」
「まあ、北の森ですって?それで、どれくらい行くのですか?」
「分からない…ただ、1ヶ月は留守にすると思う。もちろん、通信機で連絡は取るつもりだが、ただ今の様に頻繁には連絡は出来ないだろう。丸1日以上連絡を取れない日も出てくるかもしれない」
「あの…北の森に犯罪組織のアジトがあるのですか?そのアジトを攻めるのですか?」
私の質問に、一瞬大きく目を見開いたグレイ様。
「どうしてそれを知っているんだ?誰に聞いた?」
「誰に聞いたとかではなく、そう思っただけですわ」
昔ミミリィさんが、犯罪組織のアジトがどうのこうの言っていたから、そうなのかと思ったのだ。でも、何となくミミリィさんの名前を出してはいけない気がして、そう濁しておいた。
「スティーブンの奴、妻に話してやがったか…まあいい、そうだ。アジトが北の森にあるため、そこに攻め込む事になった。ただ複数アジトがあるから、きっと時間がかかるだろう。とにかく1人残らず捕まえるために、慎重に行うからな」
なるほど。でもきっと犯罪組織のアジトを攻めるのだから、かなり危険な任務なのだろう…
「グレイ様、どうかご無事で…」
「ありがとう、スカーレット。今日は明日からの戦いに備え、各自家で過ごすことになっている。スカーレットともしばらく会えなくなるかなら。今日はずっとスカーレットに触れていたい…」
そう言うと、ギューッと抱きしめて来たグレイ様。しばらくこの温もりもお預けなのね。急いで食事を済ませると、2人で仲良く後片付けだ。言葉通り、ひと時も離れないグレイ様。時折寂しそうな顔をしている。
きっと物凄く危険な戦いになる事は私にもわかる。残念ながら命を落としてしまう騎士団員たちもいるかもしれない。どうか無理だけはしないで欲しい…
2人でお風呂に入った後は、髪もほとんど渇いていないままベッドに向かう。そして、夜遅くまでお互いを激しく求めあった2人であった。
翌日
「グレイ様、これ、北の森に行く途中にでも食べて下さい。それからこのネックレス、初めてグレイ様が私の為に買い戻してくれた、両親の形見のネックレスです。どうかこれを私だと思って、お持ちください」
「ありがとう、スカーレット。君には色々と気苦労を掛けてすまない。必ず全てを終わらせて帰ってくるから、どうか俺を信じて待っていて欲しい」
「ええ、もちろんです」
本当は離れたくはない。ずっとグレイ様のそばに居たい、そんな思いから、無意識にグレイ様に抱き着いていた。そして、自ら唇を重ねる。本来なら恥ずかしくてたまらないが、今はそんな事を言っていられない。
「今日のスカーレットは随分と甘えん坊だね。無事帰っていたら、君がやりたい事、行きたいところに全て行こう。きっと長期休暇も貰えるだろうから、君が生まれ育った街にも遊びに行こうな」
「それは楽しみですわ。その為にも、どうか元気で帰って来て下さいね」
「もちろんだ、それじゃあ行ってくる」
私に口づけをし、ギューッと最後に抱きしめた後、歩き始めてグレイ様。グレイ様の後ろ姿を見つめ、ずっと手を振る。そんな私に気が付いたのか、グレイ様も何度も振り返り、手を振り返してくれた。
結局グレイ様が見えなくなるまで、ずっと手を振り続けたのであった。
一度通信に気が付かなかったことがあるのだが、その時は心配して家まで見に来る始末。どこまでも過保護なグレイ様だ。
今日も通信機をポケットに入れ、夕食の準備を行う。するといつもより早く“ガチャリ”と鍵が開く音が。急いで玄関に向かうと、グレイ様が立っていた。
「今日は随分と早いのですね。晩御飯は食べられそうですか?」
「ああ、食べるよ。着替えてくるから、少し待っていてくれ」
着替えてくる?いつもはそのまま晩御飯を食べて、またすぐ出かけてしまうのに。一体どうしたのかしら?
疑問に思いつつも食卓に食事を並べていく。そしてグレイ様が戻ってきたところで、食事がスタートした。
「スカーレット、明日から北の森に向かう事になった。しばらくは帰ってこられないだろう」
「まあ、北の森ですって?それで、どれくらい行くのですか?」
「分からない…ただ、1ヶ月は留守にすると思う。もちろん、通信機で連絡は取るつもりだが、ただ今の様に頻繁には連絡は出来ないだろう。丸1日以上連絡を取れない日も出てくるかもしれない」
「あの…北の森に犯罪組織のアジトがあるのですか?そのアジトを攻めるのですか?」
私の質問に、一瞬大きく目を見開いたグレイ様。
「どうしてそれを知っているんだ?誰に聞いた?」
「誰に聞いたとかではなく、そう思っただけですわ」
昔ミミリィさんが、犯罪組織のアジトがどうのこうの言っていたから、そうなのかと思ったのだ。でも、何となくミミリィさんの名前を出してはいけない気がして、そう濁しておいた。
「スティーブンの奴、妻に話してやがったか…まあいい、そうだ。アジトが北の森にあるため、そこに攻め込む事になった。ただ複数アジトがあるから、きっと時間がかかるだろう。とにかく1人残らず捕まえるために、慎重に行うからな」
なるほど。でもきっと犯罪組織のアジトを攻めるのだから、かなり危険な任務なのだろう…
「グレイ様、どうかご無事で…」
「ありがとう、スカーレット。今日は明日からの戦いに備え、各自家で過ごすことになっている。スカーレットともしばらく会えなくなるかなら。今日はずっとスカーレットに触れていたい…」
そう言うと、ギューッと抱きしめて来たグレイ様。しばらくこの温もりもお預けなのね。急いで食事を済ませると、2人で仲良く後片付けだ。言葉通り、ひと時も離れないグレイ様。時折寂しそうな顔をしている。
きっと物凄く危険な戦いになる事は私にもわかる。残念ながら命を落としてしまう騎士団員たちもいるかもしれない。どうか無理だけはしないで欲しい…
2人でお風呂に入った後は、髪もほとんど渇いていないままベッドに向かう。そして、夜遅くまでお互いを激しく求めあった2人であった。
翌日
「グレイ様、これ、北の森に行く途中にでも食べて下さい。それからこのネックレス、初めてグレイ様が私の為に買い戻してくれた、両親の形見のネックレスです。どうかこれを私だと思って、お持ちください」
「ありがとう、スカーレット。君には色々と気苦労を掛けてすまない。必ず全てを終わらせて帰ってくるから、どうか俺を信じて待っていて欲しい」
「ええ、もちろんです」
本当は離れたくはない。ずっとグレイ様のそばに居たい、そんな思いから、無意識にグレイ様に抱き着いていた。そして、自ら唇を重ねる。本来なら恥ずかしくてたまらないが、今はそんな事を言っていられない。
「今日のスカーレットは随分と甘えん坊だね。無事帰っていたら、君がやりたい事、行きたいところに全て行こう。きっと長期休暇も貰えるだろうから、君が生まれ育った街にも遊びに行こうな」
「それは楽しみですわ。その為にも、どうか元気で帰って来て下さいね」
「もちろんだ、それじゃあ行ってくる」
私に口づけをし、ギューッと最後に抱きしめた後、歩き始めてグレイ様。グレイ様の後ろ姿を見つめ、ずっと手を振る。そんな私に気が付いたのか、グレイ様も何度も振り返り、手を振り返してくれた。
結局グレイ様が見えなくなるまで、ずっと手を振り続けたのであった。
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