15 / 50
第15話:自分の気持ちに正直に生きてみたい~ディーノ視点~
しおりを挟む
僕は今まで本当に何を見て来ていたのだろう。父上と母上の本心も知らずに、立派な王太子になる事ばかりにこだわっていて…
ただ、そんな両親の気持ちに気づかせてくれたのもきっと、ヴィクトリア嬢なのだろう。彼女は本当にすごい、僕の心にスッと入り込んでくるのだから。
両親との話が終わり、自室へと戻ってきた。なぜだろう、両親と話をしてから、心がまた軽くなった。
まさか父上が母上の事が好きで、猛アプローチしていただなんて意外だったな。僕はてっきり、政略結婚したものとばかり思っていた。確かによく考えてみれば、今でも父上と母上は仲良しだ。全く興味がなかったから気が付かなかった。
僕は今まで、本当に何も見えていなかったのだな。これからは色々なものにも、目を向けていこう。
翌日、ヴィクトリアの父親、シーディス侯爵に呼び出されたのだ。
「殿下、昨日はヴィクトリアが失礼な態度を取ってしまい、申し訳ございませんでした。その上、領地で採れたサツマイモを使ったスイートポテトを催促するだなんて…やはりヴィクトリアには、お妃候補には向いていなかったのでしょう。これ以上侯爵家の恥をさらす訳にはいきません。どうか辞退をさせて下さい」
深々と頭を下げるシーディス侯爵。
「侯爵、どうか頭を上げて下さい。それから、どうかヴィクトリア嬢の辞退は考え直していただきたい。僕は今まで、感情がない人形の様な人間でした。立派な王太子になるため、己の心を偽り、心を殺していたのです。ですが昨日、ヴィクトリア嬢に会って、人間の心を取り戻したのです。自分でもびっくりする程、感情が溢れ出る様になったのです。失礼を承知で申し上げますが、ヴィクトリア嬢は魔法か何かが使えるのでしょうか?」
真剣な表情で侯爵に問いかける。キョトンとした表情をしていた侯爵だったが、すぐに正気を取り戻した様で。
「ヴィクトリアは魔法使いではございません。ただ、領地で育ったせいか自由奔放と申しますか…令嬢らしくないと申しますか…いや、マナーなどは完璧にこなすから、ある意味要領だけはいい方か。頭も悪くないし…」
どうやら侯爵も混乱している様だ。なるほど、実の父親でもある侯爵ですら、扱いきれない令嬢という事か。
「侯爵、僕はヴィクトリア嬢に今、猛烈に興味があるのです。出来れば彼女を僕の伴侶にと考えているくらいです。ですからどうか、お妃候補を辞退するなんてことは言わないで下さい。お妃候補辞退は、貴族の権利なのは分かっています。ですが僕は、どうしてもヴィクトリア嬢に傍にいて欲しいのです。お願いします」
まさか僕が、こんな風に貴族に我が儘を言うだなんて、昨日までは考えられなかった。でも僕は、何が何でもヴィクトリア嬢を失いたくはない。自分でもびっくりする程、すらすらと言葉が出てくるのだ。
「殿下、頭をお上げください。分かりました、殿下がそうおっしゃってくださるのでしたら、お妃候補辞退はご遠慮させていただきます。ですがその…あなた様の婚約者は、既にマーリン嬢に決まっていると…」
「それは世間が言っているだけの噂ですよ。僕はもちろん、両親もヴィクトリア嬢を僕の伴侶にと考えているのです。調べたところ、彼女は圧倒的知識で、お妃候補の試験を満点で突破したそうではありませんか。さらにマナー試験も満点。非の打ち所がない令嬢と聞いています。きっと素晴らしい王妃になってくれると、僕も両親も信じております」
「そんな…まさかヴィクトリアの事を、殿下がそんな風にお考えだなんて…あのヴィクトリアが王妃だなんて…これは夢なのだろうか。まさか我がシーディス侯爵家から王妃が出るかもしれないだなんて。たとえ王妃になれなかったとしても、こんな風にヴィクトリアを評価して頂けるだなんて、こんな名誉なことはない。殿下、ありがとうございます。どうかヴィクトリアの事を、よろしくお願いいたします」
僕の手を握り、何度も何度も頭を下げるシーディス侯爵。こんなにも喜んでもらえるだなんて。正直僕が我が儘な人間だと軽蔑されたらと思っていたが、意外と受け入れられるものなのだな…
ただ、そんな両親の気持ちに気づかせてくれたのもきっと、ヴィクトリア嬢なのだろう。彼女は本当にすごい、僕の心にスッと入り込んでくるのだから。
両親との話が終わり、自室へと戻ってきた。なぜだろう、両親と話をしてから、心がまた軽くなった。
まさか父上が母上の事が好きで、猛アプローチしていただなんて意外だったな。僕はてっきり、政略結婚したものとばかり思っていた。確かによく考えてみれば、今でも父上と母上は仲良しだ。全く興味がなかったから気が付かなかった。
僕は今まで、本当に何も見えていなかったのだな。これからは色々なものにも、目を向けていこう。
翌日、ヴィクトリアの父親、シーディス侯爵に呼び出されたのだ。
「殿下、昨日はヴィクトリアが失礼な態度を取ってしまい、申し訳ございませんでした。その上、領地で採れたサツマイモを使ったスイートポテトを催促するだなんて…やはりヴィクトリアには、お妃候補には向いていなかったのでしょう。これ以上侯爵家の恥をさらす訳にはいきません。どうか辞退をさせて下さい」
深々と頭を下げるシーディス侯爵。
「侯爵、どうか頭を上げて下さい。それから、どうかヴィクトリア嬢の辞退は考え直していただきたい。僕は今まで、感情がない人形の様な人間でした。立派な王太子になるため、己の心を偽り、心を殺していたのです。ですが昨日、ヴィクトリア嬢に会って、人間の心を取り戻したのです。自分でもびっくりする程、感情が溢れ出る様になったのです。失礼を承知で申し上げますが、ヴィクトリア嬢は魔法か何かが使えるのでしょうか?」
真剣な表情で侯爵に問いかける。キョトンとした表情をしていた侯爵だったが、すぐに正気を取り戻した様で。
「ヴィクトリアは魔法使いではございません。ただ、領地で育ったせいか自由奔放と申しますか…令嬢らしくないと申しますか…いや、マナーなどは完璧にこなすから、ある意味要領だけはいい方か。頭も悪くないし…」
どうやら侯爵も混乱している様だ。なるほど、実の父親でもある侯爵ですら、扱いきれない令嬢という事か。
「侯爵、僕はヴィクトリア嬢に今、猛烈に興味があるのです。出来れば彼女を僕の伴侶にと考えているくらいです。ですからどうか、お妃候補を辞退するなんてことは言わないで下さい。お妃候補辞退は、貴族の権利なのは分かっています。ですが僕は、どうしてもヴィクトリア嬢に傍にいて欲しいのです。お願いします」
まさか僕が、こんな風に貴族に我が儘を言うだなんて、昨日までは考えられなかった。でも僕は、何が何でもヴィクトリア嬢を失いたくはない。自分でもびっくりする程、すらすらと言葉が出てくるのだ。
「殿下、頭をお上げください。分かりました、殿下がそうおっしゃってくださるのでしたら、お妃候補辞退はご遠慮させていただきます。ですがその…あなた様の婚約者は、既にマーリン嬢に決まっていると…」
「それは世間が言っているだけの噂ですよ。僕はもちろん、両親もヴィクトリア嬢を僕の伴侶にと考えているのです。調べたところ、彼女は圧倒的知識で、お妃候補の試験を満点で突破したそうではありませんか。さらにマナー試験も満点。非の打ち所がない令嬢と聞いています。きっと素晴らしい王妃になってくれると、僕も両親も信じております」
「そんな…まさかヴィクトリアの事を、殿下がそんな風にお考えだなんて…あのヴィクトリアが王妃だなんて…これは夢なのだろうか。まさか我がシーディス侯爵家から王妃が出るかもしれないだなんて。たとえ王妃になれなかったとしても、こんな風にヴィクトリアを評価して頂けるだなんて、こんな名誉なことはない。殿下、ありがとうございます。どうかヴィクトリアの事を、よろしくお願いいたします」
僕の手を握り、何度も何度も頭を下げるシーディス侯爵。こんなにも喜んでもらえるだなんて。正直僕が我が儘な人間だと軽蔑されたらと思っていたが、意外と受け入れられるものなのだな…
389
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています
腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。
「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」
そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった!
今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。
冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。
彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――
私が生きていたことは秘密にしてください
月山 歩
恋愛
メイベルは婚約者と妹によって、崖に突き落とされ、公爵家の領地に倒れていた。
見つけてくれた彼は一見優しそうだが、行方不明のまま隠れて生きて行こうとする私に驚くような提案をする。
「少年の世話係になってくれ。けれど人に話したら消す。」
【完結】見返りは、当然求めますわ
楽歩
恋愛
王太子クリストファーが突然告げた言葉に、緊張が走る王太子の私室。
この国では、王太子が10歳の時に婚約者が二人選ばれ、そのうちの一人が正妃に、もう一人が側妃に決められるという時代錯誤の古いしきたりがある。その伝統に従い、10歳の頃から正妃候補として選ばれたエルミーヌとシャルロットは、互いに成長を支え合いながらも、その座を争ってきた。しかしーー
「私の正妃は、アンナに決めたんだ。だから、これからは君たちに側妃の座を争ってほしい」
微笑ながら見つめ合う王太子と子爵令嬢。
正妃が正式に決定される半年を前に、二人の努力が無視されるかのようなその言葉に、驚きと戸惑いが広がる。
※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))
婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね
ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。
失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。
【完結】レイハート公爵夫人の時戻し
風見ゆうみ
恋愛
公爵夫人である母が亡くなったのは、私、ソラリアが二歳になり、妹のソレイユが生まれてすぐのことだ。だから、母の記憶はないに等しい。
そんな母が私宛に残していたものがあった。
青色の押し花付きの白い封筒に入った便箋が三枚。
一枚目には【愛するソラリアへ】三枚目に【母より】それ以外、何も書かれていなかった。
父の死後、女性は爵位を継ぐことができないため、私は公爵代理として、領民のために尽くした。
十九歳になった私は、婚約者に婿入りしてもらい、彼に公爵の爵位を継いでもらった。幸せな日々が続くかと思ったが、彼との子供を授かったとわかった数日後、私は夫と実の妹に殺されてしまう。
けれど、気がついた時には、ちょうど一年前になる初夜の晩に戻っており、空白だったはずの母からの手紙が読めるようになっていた。
殺されたことで羊の形をした使い魔が見えるようになっただけでなく『時戻しの魔法』を使えるようになった私は、爵位を取り返し、妹と夫を家から追い出すことに決める。だが、気弱な夫は「ソラリアを愛している。別れたくない」と泣くばかりで、離婚を認めてくれず――。
私と幼馴染と十年間の婚約者
川村 あかり
恋愛
公爵令嬢ロゼリアは、王子アルベルトとの婚約を結んでいるが、彼の心は無自覚に幼馴染のミナに奪われていた。ミナの魔法【魅了】が無意識に周りの男性を狂わせ、アルベルトもその例外ではない。
それぞれが生まれつき得意な魔法があり、ロゼリアは見たものや聞いたものを完璧に記録できる【記録・再生】の魔法を持ち、二人の関係に耐えきれず胃の痛みに悩む日々。そんな中、彼女の唯一の理解者の冷静沈着なキースや毒舌のマリーが心の支えとなる。
アルベルトの側近であるガストンは、魔法【増幅】で騒動を盛り上げる一方、ミナの友人リリィは【幻影】の魔法を使ってロゼリアを貶めようと画策する。
婚約者と幼馴染の行動に振り回されるロゼリア。魔法が絡んだ恋愛模様の中で、彼女は本当の愛を見つけられるのか?
【完結】うちの悪役令嬢はヒロインよりも愛らしい
らんか
恋愛
前世の記憶を思い出した今なら分かる。
ヒロインだからって、簡単に王子様を手に入れていいの?
婚約者である悪役令嬢は、幼い頃から王子妃になる為に、厳しい淑女教育を受けて、頑張ってきたのに。
そりゃ、高圧的な態度を取る悪役令嬢も悪いけど、断罪するほどの事はしていないでしょ。
しかも、孤独な悪役令嬢である彼女を誰も助けようとしない。
だから私は悪役令嬢の味方なると決めた。
ゲームのあらすじ無視ちゃいますが、問題ないよね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる