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第1話:完璧公爵令息の秘密を知ってしまいました
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「見て、ルミナス。今日もカルロス様、カッコいいわね。きゃぁぁ、こっちをちらっと見たわよ!」
友人たちが隣でキャーキャー騒いでいる。彼女たちが見ているのは、貴族学院3年の公爵令息で、この国の副騎士団長をしている、カルロス・クラッセル様だ。
燃える様な真っ赤な髪にグリーンの瞳をしたかなりの美形。さらに勉学も武術にも優れており、学院を卒院後は騎士団長になる事も決まっているらしい。まさに、エリート中のエリート。
そんな男性を令嬢たちが放っておく訳がない、毎日の様に令嬢たちに群がられているのだが、本人はあまり令嬢に興味がない様で、眉間に皺を寄せてあしらっているのだ。
ただその姿を見て、クールでカッコいいと、さらに人気が上がっている。ただ、私は彼には興味がない。
「ねえ、ルミナス。聞いているの?本当にあなたは、令息に興味がないのだから」
そう言って友人のマリーヌが頬を膨らませて怒っている。
「ごめんごめん、さあ、そろそろ教室に戻りましょう。午後の授業に遅れてしまうわ」
マリーヌたちと一緒に教室へと戻る。
正直私は、色恋何て興味がない。それに…騎士団なんて大嫌いだ。
私、ルミナス・カリオスティーノは、カリオスティーノ侯爵家の令嬢で貴族学院2年の16歳だ。
私の父は8年前、命を落とした。父は当時騎士団長だった父は、我が国の東の森に棲んでいる魔物たちが街を襲ったため、魔物討伐に出掛けて命を落としたのだ。父の頑張りのお陰で無事魔物たちは退治できたが、私たちは一家の大黒柱でもある父を失った。
父は名誉騎士団長として崇められ、国からもかなりのお金が支給されたのだが…一家の大黒柱を失った我が家は、まだ12歳だった兄が侯爵家を受け継ぐことになった。私達家族は必死に兄を支えた。でも、12歳の少年が侯爵になったのだ。意地悪な貴族からバカにされる事もあった。
兄を騙そうと、悪い人間が寄って来た事もあった。それでも兄は必死に勉強し、さらに父の執事や父と交流のあった貴族たちに支えられ、今ではそれなりに侯爵をしている。
ただ…
兄は父の血を色濃く受け継ぎ、父が命を落とすまでは、いずれは父の後を継ぎ騎士団長になるのではないかと言われていたのだ。兄も騎士団の稽古が大好きだった。
でも…
兄は父が亡くなった事で、騎士団長の夢を諦め、家の為に全てを捧げて来たのだ。兄自身は
“もう俺は騎士団には興味がないよ”
と言っているが、時折寂しそうな顔をしている兄の顔を見ると、胸が張り裂けそうになる。だからこそ、騎士団期待の星と言われている、カルロス様を見ると腹が立つのだ。
兄が本当ならなるはずだったポディションを手に入れて行くあの人が…
まあ、ただの八つ当たりと言われればそうなのだが…
「ルミナス、あなたまたボーっとして。授業が終わったわよ。今日はお茶でもして行かない?」
いつの間にか授業が終わった様だ。
「ごめんなさい、今日はお兄様に頼まれて、調べ物をしないといけないの。ちょっと図書館棟に寄っていくわ」
「ルミナスは本当に家族思いね。分かったわ、それじゃあね」
マリーヌと別れ、図書館棟へと向かう。貴族学院の図書館棟には、本当に色々な本があるのだ。あったあった、これね。
早速お目当ての本を見つけ、自分なりに調べていく。お兄様にそのまま本を渡してもいいのだけれど、お忙しいお兄様の手助けになればと、出来る事は何でもしたいと思っている。
それに去年やっとお兄様も結婚をして、先日甥も生まれた。お兄様には出来るだけ、子供と一緒に過ごして欲しい。12歳からずっと大変な思いをして来たのだものね。
時間が経つのも忘れ、必死にまとめる。
「ルミナス嬢、そろそろ閉館の時間なのですが…」
「あら、もうそんな時間なのね。ごめんなさい」
急いで片づけを済ませ、図書館棟を後にした。既に辺りは薄暗く、生徒たちはみんな帰った後の様だ。なんだか怖いわね、急いで帰らないと。
ここからだと裏庭を通った方が近い。そう思い裏庭へと向かうと…
「あぁ、よかった。俺の可愛い可愛いルミタン」
ん?ルミタン?
声の方を向くとそこにいたのは、女の子のぬいぐるみを頬ずりして、締まりのない顔をしたカルロス様だ。いつものクールなイメージとは似ても似つかない姿に、私の顔も引きつる。
あまりの衝撃に、うっかりカバンを落としてしまった。
ガサッという音が響く。
しまった!
その瞬間、物凄い勢いで、カルロス様がこちらを振り向いた。これはマズイ…
「あ…あの、私は何も見ていませ~ん!!!」
急いでカバンを拾い上げ、自分でもびっくりする程のスピードでその場を後にしたのだった。
~あとがき~
新連載始めました。
よろしくお願いしますm(__)m
友人たちが隣でキャーキャー騒いでいる。彼女たちが見ているのは、貴族学院3年の公爵令息で、この国の副騎士団長をしている、カルロス・クラッセル様だ。
燃える様な真っ赤な髪にグリーンの瞳をしたかなりの美形。さらに勉学も武術にも優れており、学院を卒院後は騎士団長になる事も決まっているらしい。まさに、エリート中のエリート。
そんな男性を令嬢たちが放っておく訳がない、毎日の様に令嬢たちに群がられているのだが、本人はあまり令嬢に興味がない様で、眉間に皺を寄せてあしらっているのだ。
ただその姿を見て、クールでカッコいいと、さらに人気が上がっている。ただ、私は彼には興味がない。
「ねえ、ルミナス。聞いているの?本当にあなたは、令息に興味がないのだから」
そう言って友人のマリーヌが頬を膨らませて怒っている。
「ごめんごめん、さあ、そろそろ教室に戻りましょう。午後の授業に遅れてしまうわ」
マリーヌたちと一緒に教室へと戻る。
正直私は、色恋何て興味がない。それに…騎士団なんて大嫌いだ。
私、ルミナス・カリオスティーノは、カリオスティーノ侯爵家の令嬢で貴族学院2年の16歳だ。
私の父は8年前、命を落とした。父は当時騎士団長だった父は、我が国の東の森に棲んでいる魔物たちが街を襲ったため、魔物討伐に出掛けて命を落としたのだ。父の頑張りのお陰で無事魔物たちは退治できたが、私たちは一家の大黒柱でもある父を失った。
父は名誉騎士団長として崇められ、国からもかなりのお金が支給されたのだが…一家の大黒柱を失った我が家は、まだ12歳だった兄が侯爵家を受け継ぐことになった。私達家族は必死に兄を支えた。でも、12歳の少年が侯爵になったのだ。意地悪な貴族からバカにされる事もあった。
兄を騙そうと、悪い人間が寄って来た事もあった。それでも兄は必死に勉強し、さらに父の執事や父と交流のあった貴族たちに支えられ、今ではそれなりに侯爵をしている。
ただ…
兄は父の血を色濃く受け継ぎ、父が命を落とすまでは、いずれは父の後を継ぎ騎士団長になるのではないかと言われていたのだ。兄も騎士団の稽古が大好きだった。
でも…
兄は父が亡くなった事で、騎士団長の夢を諦め、家の為に全てを捧げて来たのだ。兄自身は
“もう俺は騎士団には興味がないよ”
と言っているが、時折寂しそうな顔をしている兄の顔を見ると、胸が張り裂けそうになる。だからこそ、騎士団期待の星と言われている、カルロス様を見ると腹が立つのだ。
兄が本当ならなるはずだったポディションを手に入れて行くあの人が…
まあ、ただの八つ当たりと言われればそうなのだが…
「ルミナス、あなたまたボーっとして。授業が終わったわよ。今日はお茶でもして行かない?」
いつの間にか授業が終わった様だ。
「ごめんなさい、今日はお兄様に頼まれて、調べ物をしないといけないの。ちょっと図書館棟に寄っていくわ」
「ルミナスは本当に家族思いね。分かったわ、それじゃあね」
マリーヌと別れ、図書館棟へと向かう。貴族学院の図書館棟には、本当に色々な本があるのだ。あったあった、これね。
早速お目当ての本を見つけ、自分なりに調べていく。お兄様にそのまま本を渡してもいいのだけれど、お忙しいお兄様の手助けになればと、出来る事は何でもしたいと思っている。
それに去年やっとお兄様も結婚をして、先日甥も生まれた。お兄様には出来るだけ、子供と一緒に過ごして欲しい。12歳からずっと大変な思いをして来たのだものね。
時間が経つのも忘れ、必死にまとめる。
「ルミナス嬢、そろそろ閉館の時間なのですが…」
「あら、もうそんな時間なのね。ごめんなさい」
急いで片づけを済ませ、図書館棟を後にした。既に辺りは薄暗く、生徒たちはみんな帰った後の様だ。なんだか怖いわね、急いで帰らないと。
ここからだと裏庭を通った方が近い。そう思い裏庭へと向かうと…
「あぁ、よかった。俺の可愛い可愛いルミタン」
ん?ルミタン?
声の方を向くとそこにいたのは、女の子のぬいぐるみを頬ずりして、締まりのない顔をしたカルロス様だ。いつものクールなイメージとは似ても似つかない姿に、私の顔も引きつる。
あまりの衝撃に、うっかりカバンを落としてしまった。
ガサッという音が響く。
しまった!
その瞬間、物凄い勢いで、カルロス様がこちらを振り向いた。これはマズイ…
「あ…あの、私は何も見ていませ~ん!!!」
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