1 / 66
第1話:完璧公爵令息の秘密を知ってしまいました
しおりを挟む
「見て、ルミナス。今日もカルロス様、カッコいいわね。きゃぁぁ、こっちをちらっと見たわよ!」
友人たちが隣でキャーキャー騒いでいる。彼女たちが見ているのは、貴族学院3年の公爵令息で、この国の副騎士団長をしている、カルロス・クラッセル様だ。
燃える様な真っ赤な髪にグリーンの瞳をしたかなりの美形。さらに勉学も武術にも優れており、学院を卒院後は騎士団長になる事も決まっているらしい。まさに、エリート中のエリート。
そんな男性を令嬢たちが放っておく訳がない、毎日の様に令嬢たちに群がられているのだが、本人はあまり令嬢に興味がない様で、眉間に皺を寄せてあしらっているのだ。
ただその姿を見て、クールでカッコいいと、さらに人気が上がっている。ただ、私は彼には興味がない。
「ねえ、ルミナス。聞いているの?本当にあなたは、令息に興味がないのだから」
そう言って友人のマリーヌが頬を膨らませて怒っている。
「ごめんごめん、さあ、そろそろ教室に戻りましょう。午後の授業に遅れてしまうわ」
マリーヌたちと一緒に教室へと戻る。
正直私は、色恋何て興味がない。それに…騎士団なんて大嫌いだ。
私、ルミナス・カリオスティーノは、カリオスティーノ侯爵家の令嬢で貴族学院2年の16歳だ。
私の父は8年前、命を落とした。父は当時騎士団長だった父は、我が国の東の森に棲んでいる魔物たちが街を襲ったため、魔物討伐に出掛けて命を落としたのだ。父の頑張りのお陰で無事魔物たちは退治できたが、私たちは一家の大黒柱でもある父を失った。
父は名誉騎士団長として崇められ、国からもかなりのお金が支給されたのだが…一家の大黒柱を失った我が家は、まだ12歳だった兄が侯爵家を受け継ぐことになった。私達家族は必死に兄を支えた。でも、12歳の少年が侯爵になったのだ。意地悪な貴族からバカにされる事もあった。
兄を騙そうと、悪い人間が寄って来た事もあった。それでも兄は必死に勉強し、さらに父の執事や父と交流のあった貴族たちに支えられ、今ではそれなりに侯爵をしている。
ただ…
兄は父の血を色濃く受け継ぎ、父が命を落とすまでは、いずれは父の後を継ぎ騎士団長になるのではないかと言われていたのだ。兄も騎士団の稽古が大好きだった。
でも…
兄は父が亡くなった事で、騎士団長の夢を諦め、家の為に全てを捧げて来たのだ。兄自身は
“もう俺は騎士団には興味がないよ”
と言っているが、時折寂しそうな顔をしている兄の顔を見ると、胸が張り裂けそうになる。だからこそ、騎士団期待の星と言われている、カルロス様を見ると腹が立つのだ。
兄が本当ならなるはずだったポディションを手に入れて行くあの人が…
まあ、ただの八つ当たりと言われればそうなのだが…
「ルミナス、あなたまたボーっとして。授業が終わったわよ。今日はお茶でもして行かない?」
いつの間にか授業が終わった様だ。
「ごめんなさい、今日はお兄様に頼まれて、調べ物をしないといけないの。ちょっと図書館棟に寄っていくわ」
「ルミナスは本当に家族思いね。分かったわ、それじゃあね」
マリーヌと別れ、図書館棟へと向かう。貴族学院の図書館棟には、本当に色々な本があるのだ。あったあった、これね。
早速お目当ての本を見つけ、自分なりに調べていく。お兄様にそのまま本を渡してもいいのだけれど、お忙しいお兄様の手助けになればと、出来る事は何でもしたいと思っている。
それに去年やっとお兄様も結婚をして、先日甥も生まれた。お兄様には出来るだけ、子供と一緒に過ごして欲しい。12歳からずっと大変な思いをして来たのだものね。
時間が経つのも忘れ、必死にまとめる。
「ルミナス嬢、そろそろ閉館の時間なのですが…」
「あら、もうそんな時間なのね。ごめんなさい」
急いで片づけを済ませ、図書館棟を後にした。既に辺りは薄暗く、生徒たちはみんな帰った後の様だ。なんだか怖いわね、急いで帰らないと。
ここからだと裏庭を通った方が近い。そう思い裏庭へと向かうと…
「あぁ、よかった。俺の可愛い可愛いルミタン」
ん?ルミタン?
声の方を向くとそこにいたのは、女の子のぬいぐるみを頬ずりして、締まりのない顔をしたカルロス様だ。いつものクールなイメージとは似ても似つかない姿に、私の顔も引きつる。
あまりの衝撃に、うっかりカバンを落としてしまった。
ガサッという音が響く。
しまった!
その瞬間、物凄い勢いで、カルロス様がこちらを振り向いた。これはマズイ…
「あ…あの、私は何も見ていませ~ん!!!」
急いでカバンを拾い上げ、自分でもびっくりする程のスピードでその場を後にしたのだった。
~あとがき~
新連載始めました。
よろしくお願いしますm(__)m
友人たちが隣でキャーキャー騒いでいる。彼女たちが見ているのは、貴族学院3年の公爵令息で、この国の副騎士団長をしている、カルロス・クラッセル様だ。
燃える様な真っ赤な髪にグリーンの瞳をしたかなりの美形。さらに勉学も武術にも優れており、学院を卒院後は騎士団長になる事も決まっているらしい。まさに、エリート中のエリート。
そんな男性を令嬢たちが放っておく訳がない、毎日の様に令嬢たちに群がられているのだが、本人はあまり令嬢に興味がない様で、眉間に皺を寄せてあしらっているのだ。
ただその姿を見て、クールでカッコいいと、さらに人気が上がっている。ただ、私は彼には興味がない。
「ねえ、ルミナス。聞いているの?本当にあなたは、令息に興味がないのだから」
そう言って友人のマリーヌが頬を膨らませて怒っている。
「ごめんごめん、さあ、そろそろ教室に戻りましょう。午後の授業に遅れてしまうわ」
マリーヌたちと一緒に教室へと戻る。
正直私は、色恋何て興味がない。それに…騎士団なんて大嫌いだ。
私、ルミナス・カリオスティーノは、カリオスティーノ侯爵家の令嬢で貴族学院2年の16歳だ。
私の父は8年前、命を落とした。父は当時騎士団長だった父は、我が国の東の森に棲んでいる魔物たちが街を襲ったため、魔物討伐に出掛けて命を落としたのだ。父の頑張りのお陰で無事魔物たちは退治できたが、私たちは一家の大黒柱でもある父を失った。
父は名誉騎士団長として崇められ、国からもかなりのお金が支給されたのだが…一家の大黒柱を失った我が家は、まだ12歳だった兄が侯爵家を受け継ぐことになった。私達家族は必死に兄を支えた。でも、12歳の少年が侯爵になったのだ。意地悪な貴族からバカにされる事もあった。
兄を騙そうと、悪い人間が寄って来た事もあった。それでも兄は必死に勉強し、さらに父の執事や父と交流のあった貴族たちに支えられ、今ではそれなりに侯爵をしている。
ただ…
兄は父の血を色濃く受け継ぎ、父が命を落とすまでは、いずれは父の後を継ぎ騎士団長になるのではないかと言われていたのだ。兄も騎士団の稽古が大好きだった。
でも…
兄は父が亡くなった事で、騎士団長の夢を諦め、家の為に全てを捧げて来たのだ。兄自身は
“もう俺は騎士団には興味がないよ”
と言っているが、時折寂しそうな顔をしている兄の顔を見ると、胸が張り裂けそうになる。だからこそ、騎士団期待の星と言われている、カルロス様を見ると腹が立つのだ。
兄が本当ならなるはずだったポディションを手に入れて行くあの人が…
まあ、ただの八つ当たりと言われればそうなのだが…
「ルミナス、あなたまたボーっとして。授業が終わったわよ。今日はお茶でもして行かない?」
いつの間にか授業が終わった様だ。
「ごめんなさい、今日はお兄様に頼まれて、調べ物をしないといけないの。ちょっと図書館棟に寄っていくわ」
「ルミナスは本当に家族思いね。分かったわ、それじゃあね」
マリーヌと別れ、図書館棟へと向かう。貴族学院の図書館棟には、本当に色々な本があるのだ。あったあった、これね。
早速お目当ての本を見つけ、自分なりに調べていく。お兄様にそのまま本を渡してもいいのだけれど、お忙しいお兄様の手助けになればと、出来る事は何でもしたいと思っている。
それに去年やっとお兄様も結婚をして、先日甥も生まれた。お兄様には出来るだけ、子供と一緒に過ごして欲しい。12歳からずっと大変な思いをして来たのだものね。
時間が経つのも忘れ、必死にまとめる。
「ルミナス嬢、そろそろ閉館の時間なのですが…」
「あら、もうそんな時間なのね。ごめんなさい」
急いで片づけを済ませ、図書館棟を後にした。既に辺りは薄暗く、生徒たちはみんな帰った後の様だ。なんだか怖いわね、急いで帰らないと。
ここからだと裏庭を通った方が近い。そう思い裏庭へと向かうと…
「あぁ、よかった。俺の可愛い可愛いルミタン」
ん?ルミタン?
声の方を向くとそこにいたのは、女の子のぬいぐるみを頬ずりして、締まりのない顔をしたカルロス様だ。いつものクールなイメージとは似ても似つかない姿に、私の顔も引きつる。
あまりの衝撃に、うっかりカバンを落としてしまった。
ガサッという音が響く。
しまった!
その瞬間、物凄い勢いで、カルロス様がこちらを振り向いた。これはマズイ…
「あ…あの、私は何も見ていませ~ん!!!」
急いでカバンを拾い上げ、自分でもびっくりする程のスピードでその場を後にしたのだった。
~あとがき~
新連載始めました。
よろしくお願いしますm(__)m
158
あなたにおすすめの小説
【完結】公爵家の妾腹の子ですが、義母となった公爵夫人が優しすぎます!
ましゅぺちーの
恋愛
リデルはヴォルシュタイン王国の名門貴族ベルクォーツ公爵の血を引いている。
しかし彼女は正妻の子ではなく愛人の子だった。
父は自分に無関心で母は父の寵愛を失ったことで荒れていた。
そんな中、母が亡くなりリデルは父公爵に引き取られ本邸へと行くことになる
そこで出会ったのが父公爵の正妻であり、義母となった公爵夫人シルフィーラだった。
彼女は愛人の子だというのにリデルを冷遇することなく、母の愛というものを教えてくれた。
リデルは虐げられているシルフィーラを守り抜き、幸せにすることを決意する。
しかし本邸にはリデルの他にも父公爵の愛人の子がいて――?
「愛するお義母様を幸せにします!」
愛する義母を守るために奮闘するリデル。そうしているうちに腹違いの兄弟たちの、公爵の愛人だった実母の、そして父公爵の知られざる秘密が次々と明らかになって――!?
ヒロインが愛する義母のために強く逞しい女となり、結果的には皆に愛されるようになる物語です!
完結まで執筆済みです!
小説家になろう様にも投稿しています。
愛する夫が目の前で別の女性と恋に落ちました。
ましゅぺちーの
恋愛
伯爵令嬢のアンジェは公爵家の嫡男であるアランに嫁いだ。
子はなかなかできなかったが、それでも仲の良い夫婦だった。
――彼女が現れるまでは。
二人が結婚して五年を迎えた記念パーティーでアランは若く美しい令嬢と恋に落ちてしまう。
それからアランは変わり、何かと彼女のことを優先するようになり……
【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
偽聖女と追放された私は、辺境で定食屋をはじめます~こっそり生活魔法で味付けしていたら、氷の騎士団長様が毎日通ってくるんですけど!?~
咲月ねむと
恋愛
【アルファポリス女性向けHOTランキング1位達成作品!!】
あらすじ
「役立たずの偽聖女め、この国から出て行け!」
聖女として召喚されたものの、地味な【生活魔法】しか使えず「ハズレ」の烙印を押されたエリーナ。
彼女は婚約者である王太子に婚約破棄され、真の聖女と呼ばれる義妹の陰謀によって国外追放されてしまう。
しかし、エリーナはめげなかった。
実は彼女の【生活魔法】は、一瞬で廃墟を新築に変え、どんな食材も極上の味に変えるチートスキルだったのだ!
北の辺境の地へ辿り着いたエリーナは、念願だった自分の定食屋『陽だまり亭』をオープンする。
すると、そこへ「氷の騎士団長」と恐れられる冷徹な美形騎士・クラウスがやってきて――。
「……味がする。お前の料理だけが、俺の呪いを解いてくれるんだ」
とある呪いで味覚を失っていた彼は、エリーナの料理にだけ味を感じると判明。
以来、彼は毎日のように店に通い詰め、高額な代金を置いていったり、邪魔する敵を排除したりと、エリーナを過保護なまでに溺愛し始める。
最強の騎士団長と騎士たちに胃袋を掴んで守られながら、エリーナは辺境で幸せなスローライフを満喫中?
王妃を蔑ろにし、愛妾を寵愛していた王が冷遇していた王妃と入れ替わるお話。
ましゅぺちーの
恋愛
王妃を蔑ろにして、愛妾を寵愛していた王がある日突然その王妃と入れ替わってしまう。
王と王妃は体が元に戻るまで周囲に気づかれないようにそのまま過ごすことを決める。
しかし王は王妃の体に入ったことで今まで見えてこなかった愛妾の醜い部分が見え始めて・・・!?
全18話。
愛する夫にもう一つの家庭があったことを知ったのは、結婚して10年目のことでした
ましゅぺちーの
恋愛
王国の伯爵令嬢だったエミリアは長年の想い人である公爵令息オリバーと結婚した。
しかし、夫となったオリバーとの仲は冷え切っていた。
オリバーはエミリアを愛していない。
それでもエミリアは一途に夫を想い続けた。
子供も出来ないまま十年の年月が過ぎ、エミリアはオリバーにもう一つの家庭が存在していることを知ってしまう。
それをきっかけとして、エミリアはついにオリバーとの離婚を決意する。
オリバーと離婚したエミリアは第二の人生を歩み始める。
一方、最愛の愛人とその子供を公爵家に迎え入れたオリバーは後悔に苛まれていた……。
公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています
六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった!
『推しのバッドエンドを阻止したい』
そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。
推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?!
ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱
◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!
皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*)
(外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)
愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる