次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました

Karamimi

文字の大きさ
7 / 66

第7話:うまく丸め込まれました

しおりを挟む
公爵様と夫人に頭を下げられるだなんて。とにかく、早く頭を上げてもらわないと。

「あの、どうか頭をお上げください。まさか父とカルロス様がそんなお約束をしていただなんて、全く知らなくて。その上、その約束を守ろうとしてくれていただなんて…」

「ありがとう、ルミナス嬢。カルロスとの婚約を受けてくれるのだね。それじゃあ、早速今この場で婚約を結んでしまおう。やはり早い方がいいからね」

「そうですわね。ルミナス、よかったわね。あなたは次期公爵夫人でかつ騎士団長の妻になれるのよ。こんな名誉なことはないわ」

「そうよね、カルロス様は本当に素敵な方ですもの。ルミナスちゃん、本当に素敵な殿方に見初められてよかったわね」

「ルミナス、君には家の事で随分苦労を掛けたな。カルロス殿、どうかルミナスを幸せにしてやってください。お願いします」

「義兄上、頭を上げて下さい。ルミナス嬢は必ず幸せにしますから。それじゃあ、早速婚約届にサインをしていきましょう」

「まさかカルロス殿と家族になる日が来るなんてな…そうですな、早くサインをしないと」

ちょっと待ってよ!私、婚約を受けるなんて一言も言っていないわよ。それなのに、どんどん話を進めていくだなんて。お母様なんて、涙を流して喜んでいるし。お兄様もお義姉様も、物凄く嬉しそうだし…

公爵や夫人も、満面の笑みだ。この状況で、今更婚約は少し待って欲しいだなんて、言える訳ないじゃない。でも…

チラリとカルロス様の方を見ると、目があった。そして、ニヤリと笑ったのだ。その瞬間、背筋がゾクリと凍るのを感じた。やっぱり、彼と結婚なんて無理だわ。

「あの…私は…」

「さあ、後はルミナスがサインをすれば完了だ。よかったな、ルミナス。幸せになるのだよ」

私の言葉をかき消すように、満面の笑みでお兄様が婚約届を手渡してきた。皆が笑顔で私の方を見つめている…



やっぱり今更婚約を待ってくれなんて言えない空気だ。

「どうしたの?ルミナスちゃん、緊張しているの?名前を書くだけでいいのよ」

お義姉様が声を掛けてくれる。さらに私にペンを握らせたのだ。これはサインしろという事だろう。でも、どうしてもサインが出来ない。

“ルミタンは自分の名前も書けないのかい?可愛いね。俺が手伝ってあげるよ”

そんな恐ろしい言葉と共に、私の手を握ったのはカルロス様だ。そして、サラサラと名前を書かせた。ちょっと、なんて事をしてくれたのよ。

「ルミナス嬢はかなり緊張していたみたいだよ。ほら、サインが出来たよ。すぐに提出してきてもらっていいかな?それから、他の貴族にも伝えないとね」

満面の笑みでカルロス様が近くに控えていた執事に、婚約届を手渡した。紙を受け取ると、そのまま部屋から出ていく執事。

お願い、待って…

「これで2人は晴れて婚約者だ。せっかくだから、盛大に婚約披露パーティーをしましょう。2ヶ月もあれば準備が出来るでしょうから、2ヶ月後なんていかがですか?」

「いいですね。そうしましょう。やはりめでたい事は、大々的に報告しないといけませんから」

お兄様と公爵様が盛り上がっている。さらに

「ドレスはどんなのがいいかしら?」

「カルロス様の瞳の色に合わせて、グリーンなんていいのではなくって?赤い宝石も準備しないとね」

「宝石商なら、贔屓にしているところがありますの。よかったら今度、我が家で一緒に、デザインを決めませんか?」

「公爵家がご贔屓にしている宝石商なら、間違いないですわね。それでは今度、公爵家にお邪魔させていただいてもよろしいかしら?」

「もちろんですわ。なんだか楽しくなってきましたわね」

こっちでは女性陣達が盛り上がっている。完全に私は蚊帳の外だ。

でも、お母様やお兄様のあんなにも嬉しそうな顔を見ていると、これでよかったのかな、なんて考えてしまう。やっぱり私は、家族が喜ぶ顔を見るのが一番幸せなのだ。

“あぁ、やっとルミタンが手に入った。ずっと君の事だけを思い続けていたのだよ。そう、ずっとね…これからはずっとずっと一緒だよ。この命が尽きるまで…いいや、尽きてからもずっと一緒だ。そう…永遠にね…”

私を後ろから抱きしめながら、そんな恐ろしい事を呟くカルロス様。

ギャーーーー!

やっぱり私、この人の結婚なんて無理だわ!

一瞬でもカルロス様と婚約してよかっただなんて思った私がバカだった。やっぱりあの時、空気をぶった切ってでも断るべきだった。

カルロス様の恐ろしいほどの笑みをチラリと見ながら、とてつもない後悔の念に駆られるのだった。


※次回、カルロス視点です。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の妾腹の子ですが、義母となった公爵夫人が優しすぎます!

ましゅぺちーの
恋愛
リデルはヴォルシュタイン王国の名門貴族ベルクォーツ公爵の血を引いている。 しかし彼女は正妻の子ではなく愛人の子だった。 父は自分に無関心で母は父の寵愛を失ったことで荒れていた。 そんな中、母が亡くなりリデルは父公爵に引き取られ本邸へと行くことになる そこで出会ったのが父公爵の正妻であり、義母となった公爵夫人シルフィーラだった。 彼女は愛人の子だというのにリデルを冷遇することなく、母の愛というものを教えてくれた。 リデルは虐げられているシルフィーラを守り抜き、幸せにすることを決意する。 しかし本邸にはリデルの他にも父公爵の愛人の子がいて――? 「愛するお義母様を幸せにします!」 愛する義母を守るために奮闘するリデル。そうしているうちに腹違いの兄弟たちの、公爵の愛人だった実母の、そして父公爵の知られざる秘密が次々と明らかになって――!? ヒロインが愛する義母のために強く逞しい女となり、結果的には皆に愛されるようになる物語です! 完結まで執筆済みです! 小説家になろう様にも投稿しています。

愛する夫が目の前で別の女性と恋に落ちました。

ましゅぺちーの
恋愛
伯爵令嬢のアンジェは公爵家の嫡男であるアランに嫁いだ。 子はなかなかできなかったが、それでも仲の良い夫婦だった。 ――彼女が現れるまでは。 二人が結婚して五年を迎えた記念パーティーでアランは若く美しい令嬢と恋に落ちてしまう。 それからアランは変わり、何かと彼女のことを優先するようになり……

【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます

鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
 一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────  私、この子と生きていきますっ!!  シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。  幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。  時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。  やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。  それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。  けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────  生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。 ※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

偽聖女と追放された私は、辺境で定食屋をはじめます~こっそり生活魔法で味付けしていたら、氷の騎士団長様が毎日通ってくるんですけど!?~

咲月ねむと
恋愛
【アルファポリス女性向けHOTランキング1位達成作品!!】 あらすじ 「役立たずの偽聖女め、この国から出て行け!」 ​聖女として召喚されたものの、地味な【生活魔法】しか使えず「ハズレ」の烙印を押されたエリーナ。 彼女は婚約者である王太子に婚約破棄され、真の聖女と呼ばれる義妹の陰謀によって国外追放されてしまう。 ​しかし、エリーナはめげなかった。 実は彼女の【生活魔法】は、一瞬で廃墟を新築に変え、どんな食材も極上の味に変えるチートスキルだったのだ! ​北の辺境の地へ辿り着いたエリーナは、念願だった自分の定食屋『陽だまり亭』をオープンする。 すると、そこへ「氷の騎士団長」と恐れられる冷徹な美形騎士・クラウスがやってきて――。 ​「……味がする。お前の料理だけが、俺の呪いを解いてくれるんだ」 ​とある呪いで味覚を失っていた彼は、エリーナの料理にだけ味を感じると判明。 以来、彼は毎日のように店に通い詰め、高額な代金を置いていったり、邪魔する敵を排除したりと、エリーナを過保護なまでに溺愛し始める。 ​最強の騎士団長と騎士たちに胃袋を掴んで守られながら、エリーナは辺境で幸せなスローライフを満喫中?

王妃を蔑ろにし、愛妾を寵愛していた王が冷遇していた王妃と入れ替わるお話。

ましゅぺちーの
恋愛
王妃を蔑ろにして、愛妾を寵愛していた王がある日突然その王妃と入れ替わってしまう。 王と王妃は体が元に戻るまで周囲に気づかれないようにそのまま過ごすことを決める。 しかし王は王妃の体に入ったことで今まで見えてこなかった愛妾の醜い部分が見え始めて・・・!? 全18話。

愛する夫にもう一つの家庭があったことを知ったのは、結婚して10年目のことでした

ましゅぺちーの
恋愛
王国の伯爵令嬢だったエミリアは長年の想い人である公爵令息オリバーと結婚した。 しかし、夫となったオリバーとの仲は冷え切っていた。 オリバーはエミリアを愛していない。 それでもエミリアは一途に夫を想い続けた。 子供も出来ないまま十年の年月が過ぎ、エミリアはオリバーにもう一つの家庭が存在していることを知ってしまう。 それをきっかけとして、エミリアはついにオリバーとの離婚を決意する。 オリバーと離婚したエミリアは第二の人生を歩み始める。 一方、最愛の愛人とその子供を公爵家に迎え入れたオリバーは後悔に苛まれていた……。

公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています

六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった! 『推しのバッドエンドを阻止したい』 そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。 推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?! ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱ ◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!  皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*) (外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)

愛されなかった公爵令嬢のやり直し

ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。 母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。 婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。 そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。 どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。 死ぬ寸前のセシリアは思う。 「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。 目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。 セシリアは決意する。 「自分の幸せは自分でつかみ取る!」 幸せになるために奔走するセシリア。 だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。 小説家になろう様にも投稿しています。 タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。

処理中です...