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第15話:イリとの再会を夢見て~アドレア視点~
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イリが旅立った翌日。僕は無意識に王都の街に出ていた。でも…
いつもいるはずのイリは、もういない。それが無性に辛かった。イリの代わりに僕が悪党たちを、そう思ったが、今の僕にはまだそんな力はない。
その日から僕は、寝る間も惜しんで魔力をコントロールする事に集中した。確かイリはこんな風に力を使っていたはず。
そう、僕にはイリがどのように魔力を使っているのか、なぜかわかったのだ。イリは無意識に魔力を一か所に集めていた。そしてその魔力が光となって体を覆った時、魔力の力を発揮できる。
ただ、どうやらあの光は僕にしか見えないようだ。一緒にいたイリの手下たちに聞いても、イリが光る姿なんて見た事ないと言っていた。
僕だけが知っている、イリの秘密。僕とイリだけが持っている、魔力。僕とイリは、魔力で繋がっている。僕はずっと、魔力が大嫌いだった。魔力のせいで、僕はずっと孤独だったのだ。でも今は、イリと僕だけが持っている魔力が、愛おしいとさえ思える様になった。
こんな風に変えてくれたのは、まぎれもないイリだろう。
そしてもっともっと魔力の事を理解したいと思う様になった。魔力を理解するという事は、イリの事も理解するという事、なんだかそんな気がしたのだ。
そんな僕の心の変化に応える様に、魔力も僕の体の中で暴走する事がなくなった。それどころか、今まで全くと言っていいほど扱えなかった魔力を、どんどんうまく扱える様になったのだ。
そしてある日、僕は魔力を完全にマスターする事が出来たのだ。魔力をマスターするだなんて、一生無理だと思っていた。そんな僕が、魔力を使いこなすことが出来るようになるだなんて。
それが嬉しくてたまらない。魔力を使いこなせるようになった僕は、今までが嘘のように、体は丈夫になり、勉強がはかどる様になった。
それでも僕は、今まで以上に武術の稽古に挑み、勉学に励んだ。それこそ、何かに憑りつかれた様に…
そんな日々を送っているうちに、気が付けばイリと別れて2年が過ぎていた。この2年、週に1回は街に足を運んでいる。荒くれ者がいれば、僕がイリの代わりに締め上げ、新たに仕事や住む場所を提供してきた。
少しでもイリに近づきたくて、イリと同じことをして過ごす。でも…
イリがいないこの場所は、虚しいだけ…
「イリ…会いたいよ。僕、イリの様に魔力を使いこなせるようになったよ。イリ、僕に言ったよね。イリより強くなったら、結婚してくれるって…イリ、今どこにいるの?」
イリがよくいた裏路地を見つめながら、イリへの想いが溢れ出す。
イリ、会いたい、会いたくてたまらない。
今君はどこにいるのだい?僕はこんなに強くなったのに。今の僕を見て欲しいのに…
この2年、溜まっていた気持ちが一気にあふれ出す。感情がコントロールできなくなった僕の魔力が、一気に放出しようとした時だった。
「アドレア、落ち着きなさい。魔力が暴走しようとしているよ」
僕に声をかけてきたのは、父上だ。
「父上がこんな場所に来るだなんて、一体どういうつもりですか?」
「2年間、本当によく頑張ったアドレアに、私からささやかなアドバイスをあげようと思ってね。さあ、家に帰ろう」
僕にアドバイスだって?いつも僕を突き放してきた父上が、僕に?正直信じられない。何を企んでいるのだろう。
そう思いつつも、父上と一緒に屋敷に戻ってきた。
「そんな怪訝そうな顔をしないでくれ。君はこの2年、本当によく頑張ったね。まさか魔力をマスターするだなんて。それもこれも、イリさんのお陰かな?」
「どうして父上が、イリの事を?」
「私は君の事なら何でも知っているよ。それで、アドレアはこれからどうしたいのだい?イリさんが帰って来るのを、ずっと指をくわえて待っているつもりかい?」
父上が真っすぐ僕を見つめた。
僕は…
いつもいるはずのイリは、もういない。それが無性に辛かった。イリの代わりに僕が悪党たちを、そう思ったが、今の僕にはまだそんな力はない。
その日から僕は、寝る間も惜しんで魔力をコントロールする事に集中した。確かイリはこんな風に力を使っていたはず。
そう、僕にはイリがどのように魔力を使っているのか、なぜかわかったのだ。イリは無意識に魔力を一か所に集めていた。そしてその魔力が光となって体を覆った時、魔力の力を発揮できる。
ただ、どうやらあの光は僕にしか見えないようだ。一緒にいたイリの手下たちに聞いても、イリが光る姿なんて見た事ないと言っていた。
僕だけが知っている、イリの秘密。僕とイリだけが持っている、魔力。僕とイリは、魔力で繋がっている。僕はずっと、魔力が大嫌いだった。魔力のせいで、僕はずっと孤独だったのだ。でも今は、イリと僕だけが持っている魔力が、愛おしいとさえ思える様になった。
こんな風に変えてくれたのは、まぎれもないイリだろう。
そしてもっともっと魔力の事を理解したいと思う様になった。魔力を理解するという事は、イリの事も理解するという事、なんだかそんな気がしたのだ。
そんな僕の心の変化に応える様に、魔力も僕の体の中で暴走する事がなくなった。それどころか、今まで全くと言っていいほど扱えなかった魔力を、どんどんうまく扱える様になったのだ。
そしてある日、僕は魔力を完全にマスターする事が出来たのだ。魔力をマスターするだなんて、一生無理だと思っていた。そんな僕が、魔力を使いこなすことが出来るようになるだなんて。
それが嬉しくてたまらない。魔力を使いこなせるようになった僕は、今までが嘘のように、体は丈夫になり、勉強がはかどる様になった。
それでも僕は、今まで以上に武術の稽古に挑み、勉学に励んだ。それこそ、何かに憑りつかれた様に…
そんな日々を送っているうちに、気が付けばイリと別れて2年が過ぎていた。この2年、週に1回は街に足を運んでいる。荒くれ者がいれば、僕がイリの代わりに締め上げ、新たに仕事や住む場所を提供してきた。
少しでもイリに近づきたくて、イリと同じことをして過ごす。でも…
イリがいないこの場所は、虚しいだけ…
「イリ…会いたいよ。僕、イリの様に魔力を使いこなせるようになったよ。イリ、僕に言ったよね。イリより強くなったら、結婚してくれるって…イリ、今どこにいるの?」
イリがよくいた裏路地を見つめながら、イリへの想いが溢れ出す。
イリ、会いたい、会いたくてたまらない。
今君はどこにいるのだい?僕はこんなに強くなったのに。今の僕を見て欲しいのに…
この2年、溜まっていた気持ちが一気にあふれ出す。感情がコントロールできなくなった僕の魔力が、一気に放出しようとした時だった。
「アドレア、落ち着きなさい。魔力が暴走しようとしているよ」
僕に声をかけてきたのは、父上だ。
「父上がこんな場所に来るだなんて、一体どういうつもりですか?」
「2年間、本当によく頑張ったアドレアに、私からささやかなアドバイスをあげようと思ってね。さあ、家に帰ろう」
僕にアドバイスだって?いつも僕を突き放してきた父上が、僕に?正直信じられない。何を企んでいるのだろう。
そう思いつつも、父上と一緒に屋敷に戻ってきた。
「そんな怪訝そうな顔をしないでくれ。君はこの2年、本当によく頑張ったね。まさか魔力をマスターするだなんて。それもこれも、イリさんのお陰かな?」
「どうして父上が、イリの事を?」
「私は君の事なら何でも知っているよ。それで、アドレアはこれからどうしたいのだい?イリさんが帰って来るのを、ずっと指をくわえて待っているつもりかい?」
父上が真っすぐ僕を見つめた。
僕は…
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