21 / 47
第21話:初めての敗北
しおりを挟む
バカにしないでほしい、こんな風にわざと負けられても、悔しいだけだわ。
「ごめんね、君をどうしても傷つけたくはなかったのだよ。君の可愛い手に竹刀を当てるだなんて、絶対にしたくなくて…僕の実力不足だ。だからどうか、そんなに怒らないでほしい」
オロオロするレア。
「それじゃあ、今度は本気を出して。私、強い男が好きなの。本当に私と結婚したいと思うのなら、絶対に手加減しないで全力で戦って私に勝ってみなさいよ!」
「分かったよ、確かに君を傷つけたくなくて負けを選んだ僕は、間違いだったね。レイリス、失礼な事をしてごめん。君が僕の恋敵だと思って、死ぬ気で行くよ」
「そうしてちょうだい。次手加減したら、もう二度と会ってあげないからね」
「分かったよ」
気を取り直して、再び勝負開始だ。先ほどの同じく、激しい打ち合いが始まった。やはりレアは相当鍛えてきているのだろう。今回も私の攻撃を全て受け止めている。それどころか、押されている。
なぜだろう、今までどんなに戦っても疲れなんて感じなかったのに、なんだか今回は疲れてきている。まずいわ、集中しないと、このままでは本当に負けてしまう。
その時だった、レアの竹刀が私の竹刀を振り払ったのだ。ギリギリのところを狙われた事もあり、私の手にレアの竹刀が当たる事はなかった。
私…負けたの?この私が、負けたですって?
ショックでその場に座り込んだ。
「レイリス、大丈夫かい?すまない、怪我はないかい?」
「ええ、大丈夫よ。レア、あなた本当に強くなったのね。まさか私が敗北する日が来るだなんて…」
くやしいぃぃぃぃぃ!!!!どうして私が、レアなんかに!!!!!
こんな屈辱、生まれて初めてだわ!どうして私が!!
悔しさから感情が溢れ出す!その瞬間、再び体中に痛みが走った。
「レイリス、顔色が悪いが大丈夫かい?すまない、僕が君の魔力を封じたからかもしれない。とにかく一度、部屋に戻ろう」
ん?魔力?この男は一体何を言っているのだろう。
レアが私を抱きかかえた瞬間、再び痛みがスッと引いていく。ただ、なぜか疲労感が半端ない。私の体、一体どうしたのかしら?
「レア、あなた一体どんな訓練をしたの?まさか私があなたに負けるだなんて…」
悔しくてたまらないのよ!私は!
「僕はこれでも男だからね。それに寝る間も惜しんで訓練を積んだんだ。レイリス、君は女性だ。男女では筋肉量も体のつくりも全然違う。そんな中、この国で一番強い僕と互角に戦ったのだから、やっぱりレイリスはすごいよ」
「この国で一番強いですって?レアが?」
「そうだよ、この国では一番強い騎士を決める大会が、年に一度行われるのだよ。去年からその大会に出ているのだが、去年と今年、2年連続で僕が優勝している。それも、圧倒的な強さでね」
そんな大会があっただなんて…確かに今のレアなら、優勝してもおかしくはないだろう。それでもやはり、悔しい!
ん?ちょっと待って、一体どこに向かっているの?
「ちょっとレア、ここは…」
「さあ、出発しようか」
なぜか馬車に乗せられたのだ。
「ちょっと、どこに行くのよ。私はどこにも出かけるつもりなんてないのよ」
勝手に私を連れ出そうだなんて、百年早いのよ!プリプリ怒る私を、なぜか嬉しそうに見つめるレア。昔から少し変わっていると思っていたが、やっぱり変わっているわ。私が怒っているのを見て、ニコニコしているだなんて。
それにしても、一体どこに向かっているのかしら?
「ごめんね、君をどうしても傷つけたくはなかったのだよ。君の可愛い手に竹刀を当てるだなんて、絶対にしたくなくて…僕の実力不足だ。だからどうか、そんなに怒らないでほしい」
オロオロするレア。
「それじゃあ、今度は本気を出して。私、強い男が好きなの。本当に私と結婚したいと思うのなら、絶対に手加減しないで全力で戦って私に勝ってみなさいよ!」
「分かったよ、確かに君を傷つけたくなくて負けを選んだ僕は、間違いだったね。レイリス、失礼な事をしてごめん。君が僕の恋敵だと思って、死ぬ気で行くよ」
「そうしてちょうだい。次手加減したら、もう二度と会ってあげないからね」
「分かったよ」
気を取り直して、再び勝負開始だ。先ほどの同じく、激しい打ち合いが始まった。やはりレアは相当鍛えてきているのだろう。今回も私の攻撃を全て受け止めている。それどころか、押されている。
なぜだろう、今までどんなに戦っても疲れなんて感じなかったのに、なんだか今回は疲れてきている。まずいわ、集中しないと、このままでは本当に負けてしまう。
その時だった、レアの竹刀が私の竹刀を振り払ったのだ。ギリギリのところを狙われた事もあり、私の手にレアの竹刀が当たる事はなかった。
私…負けたの?この私が、負けたですって?
ショックでその場に座り込んだ。
「レイリス、大丈夫かい?すまない、怪我はないかい?」
「ええ、大丈夫よ。レア、あなた本当に強くなったのね。まさか私が敗北する日が来るだなんて…」
くやしいぃぃぃぃぃ!!!!どうして私が、レアなんかに!!!!!
こんな屈辱、生まれて初めてだわ!どうして私が!!
悔しさから感情が溢れ出す!その瞬間、再び体中に痛みが走った。
「レイリス、顔色が悪いが大丈夫かい?すまない、僕が君の魔力を封じたからかもしれない。とにかく一度、部屋に戻ろう」
ん?魔力?この男は一体何を言っているのだろう。
レアが私を抱きかかえた瞬間、再び痛みがスッと引いていく。ただ、なぜか疲労感が半端ない。私の体、一体どうしたのかしら?
「レア、あなた一体どんな訓練をしたの?まさか私があなたに負けるだなんて…」
悔しくてたまらないのよ!私は!
「僕はこれでも男だからね。それに寝る間も惜しんで訓練を積んだんだ。レイリス、君は女性だ。男女では筋肉量も体のつくりも全然違う。そんな中、この国で一番強い僕と互角に戦ったのだから、やっぱりレイリスはすごいよ」
「この国で一番強いですって?レアが?」
「そうだよ、この国では一番強い騎士を決める大会が、年に一度行われるのだよ。去年からその大会に出ているのだが、去年と今年、2年連続で僕が優勝している。それも、圧倒的な強さでね」
そんな大会があっただなんて…確かに今のレアなら、優勝してもおかしくはないだろう。それでもやはり、悔しい!
ん?ちょっと待って、一体どこに向かっているの?
「ちょっとレア、ここは…」
「さあ、出発しようか」
なぜか馬車に乗せられたのだ。
「ちょっと、どこに行くのよ。私はどこにも出かけるつもりなんてないのよ」
勝手に私を連れ出そうだなんて、百年早いのよ!プリプリ怒る私を、なぜか嬉しそうに見つめるレア。昔から少し変わっていると思っていたが、やっぱり変わっているわ。私が怒っているのを見て、ニコニコしているだなんて。
それにしても、一体どこに向かっているのかしら?
618
あなたにおすすめの小説
ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件
ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。
スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。
しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。
一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。
「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。
これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。
婚約破棄された地味伯爵令嬢は、隠れ錬金術師でした~追放された辺境でスローライフを始めたら、隣国の冷徹魔導公爵に溺愛されて最強です~
ふわふわ
恋愛
地味で目立たない伯爵令嬢・エルカミーノは、王太子カイロンとの政略婚約を強いられていた。
しかし、転生聖女ソルスティスに心を奪われたカイロンは、公開の舞踏会で婚約破棄を宣言。「地味でお前は不要!」と嘲笑う。
周囲から「悪役令嬢」の烙印を押され、辺境追放を言い渡されたエルカミーノ。
だが内心では「やったー! これで自由!」と大喜び。
実は彼女は前世の記憶を持つ天才錬金術師で、希少素材ゼロで最強ポーションを作れるチート級の才能を隠していたのだ。
追放先の辺境で、忠実なメイド・セシルと共に薬草園を開き、のんびりスローライフを始めるエルカミーノ。
作ったポーションが村人を救い、次第に評判が広がっていく。
そんな中、隣国から視察に来た冷徹で美麗な魔導公爵・ラクティスが、エルカミーノの才能に一目惚れ(?)。
「君の錬金術は国宝級だ。僕の国へ来ないか?」とスカウトし、腹黒ながらエルカミーノにだけ甘々溺愛モード全開に!
一方、王都ではソルスティスの聖魔法が効かず魔瘴病が流行。
エルカミーノのポーションなしでは国が危機に陥り、カイロンとソルスティスは後悔の渦へ……。
公開土下座、聖女の暴走と転生者バレ、国際的な陰謀……
さまざまな試練をラクティスの守護と溺愛で乗り越え、エルカミーノは大陸の救済者となり、幸せな結婚へ!
**婚約破棄ざまぁ×隠れチート錬金術×辺境スローライフ×冷徹公爵の甘々溺愛**
胸キュン&スカッと満載の異世界ファンタジー、全32話完結!
不愛想な婚約者のメガネをこっそりかけたら
柳葉うら
恋愛
男爵令嬢のアダリーシアは、婚約者で伯爵家の令息のエディングと上手くいっていない。ある日、エディングに会いに行ったアダリーシアは、エディングが置いていったメガネを出来心でかけてみることに。そんなアダリーシアの姿を見たエディングは――。
「か・わ・い・い~っ!!」
これまでの態度から一変して、アダリーシアのギャップにメロメロになるのだった。
出来心でメガネをかけたヒロインのギャップに、本当は溺愛しているのに不器用であるがゆえにぶっきらぼうに接してしまったヒーローがノックアウトされるお話。
大好きな婚約者に「距離を置こう」と言われました
ミズメ
恋愛
感情表現が乏しいせいで""氷鉄令嬢""と呼ばれている侯爵令嬢のフェリシアは、婚約者のアーサー殿下に唐突に距離を置くことを告げられる。
これは婚約破棄の危機――そう思ったフェリシアは色々と自分磨きに励むけれど、なぜだか上手くいかない。
とある夜会で、アーサーの隣に見知らぬ金髪の令嬢がいたという話を聞いてしまって……!?
重すぎる愛が故に婚約者に接近することができないアーサーと、なんとしても距離を縮めたいフェリシアの接近禁止の婚約騒動。
○カクヨム、小説家になろうさまにも掲載/全部書き終えてます
わたしとの約束を守るために留学をしていた幼馴染が、知らない女性を連れて戻ってきました
柚木ゆず
恋愛
「リュクレースを世界の誰よりも幸せにするって約束を果たすには、もっと箔をつけないといけない。そのために俺、留学することにしたんだ」
名門と呼ばれている学院に入学して優秀な成績を収め、生徒会長に就任する。わたしの婚約者であるナズアリエ伯爵家の嫡男ラウルは、その2つの目標を実現するため2年前に隣国に渡りました。
そんなラウルは長期休みになっても帰国しないほど熱心に勉学に励み、成績は常に学年1位をキープ。そういった部分が評価されてついに、一番の目標だった生徒会長への就任という快挙を成し遂げたのでした。
《リュクレース、ついにやったよ! 家への報告も兼ねて2週間後に一旦帰国するから、その時に会おうね!!》
ラウルから送られてきた手紙にはそういったことが記されていて、手紙を受け取った日からずっと再会を楽しみにしていました。
でも――。
およそ2年ぶりに帰ってきたラウルは終始上から目線で振る舞うようになっていて、しかも見ず知らずの女性と一緒だったのです。
そういった別人のような態度と、予想外の事態に困惑していると――。そんなわたしに対して彼は、平然とこんなことを言い放ったのでした。
「この間はああ言っていたけど、リュクレースと結んでいる婚約は解消する。こちらにいらっしゃるマリレーヌ様が、俺の新たな婚約者だ」
※8月5日に追記させていただきました。
少なくとも今週末まではできるだけ安静にした方がいいとのことで、しばらくしっかりとしたお礼(お返事)ができないため感想欄を閉じさせていただいております。
【完結】ブスと呼ばれるひっつめ髪の眼鏡令嬢は婚約破棄を望みます。
はゆりか
恋愛
幼き頃から決まった婚約者に言われた事を素直に従い、ひっつめ髪に顔が半分隠れた瓶底丸眼鏡を常に着けたアリーネ。
周りからは「ブス」と言われ、外見を笑われ、美しい婚約者とは並んで歩くのも忌わしいと言われていた。
婚約者のバロックはそれはもう見目の美しい青年。
ただ、美しいのはその見た目だけ。
心の汚い婚約者様にこの世の厳しさを教えてあげましょう。
本来の私の姿で……
前編、中編、後編の短編です。
前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる