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第33話:愚かすぎて…
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「殿下、レイリス嬢も来てくださった事ですし、宴を始めましょう。レイリス嬢、顔色があまり宜しくない様ですが、大丈夫ですか?」
大丈夫な訳ないでしょう。ただでさえ体調がよくないのに、こんな愚か者が王太子と知った時の絶望とショックは、計り知れないわよ!と言いたいが…
「申し訳ございません。体の調子があまりよくなくて…」
フラフラとその場に倒れ込みそうなところを、男性が支えた。
「そうですか…どうやら今日集まっているお妃候補の方たちも、体調があまり良くない方が多数いらっしゃる様で。でも皆様、健康面は証明されている方たちですので、何ら問題ないでしょう。さあ、始めましょう」
ちょっと、健康面が証明されているとは、一体どういうことよ!そもそも皆体調が悪いだなんて…
まあ、あんな愚か者を目の当りにしたら、体調も悪くなるか…
仕方なく席に座る。
「さあ、僕ちゃんのお妃候補たち。思う存分ご飯を食べてくれ。僕ちゃんが好きな料理を、沢山準備したよ。嬉しいだろう?僕ちゃん天才」
体をくねくねさせ、気持ちわる事を言っている王太子。見た目は確かに悪くはない。どちらかといえば、令嬢たちから好かれる容姿をしているだろう。そんな美しい男から発せられるあまりにも幼稚な言葉に、令嬢たちの顔が一気に引きつる。
そもそも自分の事を僕ちゃんって…
こいつ、いくつなんだ?見た感じ、私と同じ歳くらいに見えるのだけれど。
「あれ?皆、僕ちゃんがせっかく準備した料理、食べないの?」
不思議そうに首をかしげる王太子。皆あなたのギャップに驚いて、料理どころではないのよ!本当にこの男、どこまで愚かなのかしら。
「いただきますわ、殿下。このお料理、本当に美味しゅうございますわ」
「本当ですわ、さすが殿下が選んでくださっただけありますわ。この様な美味しいお料理、初めて食べましたわ」
令嬢たちが急いで料理を口にしだしたのだ。そこまで美味しいのなら私も一口。
うん、悪くはないが、レアの家の料理の方が美味しいわね。とはいえ、お腹が空いているから我慢して頂くとするか。
あら?あの子、さっきから一切料理に手を付けていないわ。一体どうしたのかしら?
とはいえ、声をかけるのも面倒だ。そっとしておこう。そう思っていたのだが…
「あら?メリーア様、お食事に全く手を付けていない様ですが。体調でも優れいないのですか?」
放っておいてあげたらいいものを、私の隣に座っていた令嬢が、彼女に話しかけたのだ。
「あの…私は…その、少し体調がすぐれなくて。その…」
「僕ちゃんの準備した料理が食べられないというのかい?なんて女だ、この女を地下牢に連れて行け」
何を思ったのか、急に王太子が立ち上がったと思ったら、そんなあり得ない事を叫んだのだ。いやいや、料理が食べられないくらいで地下牢に入れられたら、たまったものではないだろう。
案の定
「殿下、どうかお許しください。私、本当に体調がすぐれなくて…」
涙を流し、必死に訴えている。そもそも、こんなバカげたことを、騎士たちが聞くはずが…
「さあ、さっさとこっちにこい!」
聞くんかい!!!!
泣いて必死に抵抗する令嬢を、そのまま引きずりながら連れていく護衛たち。
ちょっと待ってよ!いくら何でもこんなの、権力の乱用でしょう。こんな事がまかり通ったら、貴族社会は滅茶苦茶になってしまうわ。
伯爵令嬢の私でもわかる事を、愚かとはいえ王太子がやるだなんて…
この国は一体どうなっているの?国王と王妃殿下はどこにいるのよ。
「さあ、目障りなのはいなくなったし、僕ちゃんの準備した料理、沢山食べてね」
気持ち悪い笑みを浮かべた王太子が、皆に話しかけている。この男、頭が狂っているの?
こんな男がいる王宮なんて、一秒だっていたくない。ここにいたら、命がいくつあっても足りないわ。何とかして抜け出す方法を考えないと。
※次回、アドレア視点です。
よろしくお願いします。
大丈夫な訳ないでしょう。ただでさえ体調がよくないのに、こんな愚か者が王太子と知った時の絶望とショックは、計り知れないわよ!と言いたいが…
「申し訳ございません。体の調子があまりよくなくて…」
フラフラとその場に倒れ込みそうなところを、男性が支えた。
「そうですか…どうやら今日集まっているお妃候補の方たちも、体調があまり良くない方が多数いらっしゃる様で。でも皆様、健康面は証明されている方たちですので、何ら問題ないでしょう。さあ、始めましょう」
ちょっと、健康面が証明されているとは、一体どういうことよ!そもそも皆体調が悪いだなんて…
まあ、あんな愚か者を目の当りにしたら、体調も悪くなるか…
仕方なく席に座る。
「さあ、僕ちゃんのお妃候補たち。思う存分ご飯を食べてくれ。僕ちゃんが好きな料理を、沢山準備したよ。嬉しいだろう?僕ちゃん天才」
体をくねくねさせ、気持ちわる事を言っている王太子。見た目は確かに悪くはない。どちらかといえば、令嬢たちから好かれる容姿をしているだろう。そんな美しい男から発せられるあまりにも幼稚な言葉に、令嬢たちの顔が一気に引きつる。
そもそも自分の事を僕ちゃんって…
こいつ、いくつなんだ?見た感じ、私と同じ歳くらいに見えるのだけれど。
「あれ?皆、僕ちゃんがせっかく準備した料理、食べないの?」
不思議そうに首をかしげる王太子。皆あなたのギャップに驚いて、料理どころではないのよ!本当にこの男、どこまで愚かなのかしら。
「いただきますわ、殿下。このお料理、本当に美味しゅうございますわ」
「本当ですわ、さすが殿下が選んでくださっただけありますわ。この様な美味しいお料理、初めて食べましたわ」
令嬢たちが急いで料理を口にしだしたのだ。そこまで美味しいのなら私も一口。
うん、悪くはないが、レアの家の料理の方が美味しいわね。とはいえ、お腹が空いているから我慢して頂くとするか。
あら?あの子、さっきから一切料理に手を付けていないわ。一体どうしたのかしら?
とはいえ、声をかけるのも面倒だ。そっとしておこう。そう思っていたのだが…
「あら?メリーア様、お食事に全く手を付けていない様ですが。体調でも優れいないのですか?」
放っておいてあげたらいいものを、私の隣に座っていた令嬢が、彼女に話しかけたのだ。
「あの…私は…その、少し体調がすぐれなくて。その…」
「僕ちゃんの準備した料理が食べられないというのかい?なんて女だ、この女を地下牢に連れて行け」
何を思ったのか、急に王太子が立ち上がったと思ったら、そんなあり得ない事を叫んだのだ。いやいや、料理が食べられないくらいで地下牢に入れられたら、たまったものではないだろう。
案の定
「殿下、どうかお許しください。私、本当に体調がすぐれなくて…」
涙を流し、必死に訴えている。そもそも、こんなバカげたことを、騎士たちが聞くはずが…
「さあ、さっさとこっちにこい!」
聞くんかい!!!!
泣いて必死に抵抗する令嬢を、そのまま引きずりながら連れていく護衛たち。
ちょっと待ってよ!いくら何でもこんなの、権力の乱用でしょう。こんな事がまかり通ったら、貴族社会は滅茶苦茶になってしまうわ。
伯爵令嬢の私でもわかる事を、愚かとはいえ王太子がやるだなんて…
この国は一体どうなっているの?国王と王妃殿下はどこにいるのよ。
「さあ、目障りなのはいなくなったし、僕ちゃんの準備した料理、沢山食べてね」
気持ち悪い笑みを浮かべた王太子が、皆に話しかけている。この男、頭が狂っているの?
こんな男がいる王宮なんて、一秒だっていたくない。ここにいたら、命がいくつあっても足りないわ。何とかして抜け出す方法を考えないと。
※次回、アドレア視点です。
よろしくお願いします。
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