余命3ヶ月と言われたので静かに余生を送ろうと思ったのですが…大好きな殿下に溺愛されました

Karamimi

文字の大きさ
4 / 46

第4話:お母様と同じ病気だそうです

しおりを挟む
「フォリスト公爵令息様、お嬢様を連れて帰って来てくださり、ありがとうございました。後は私共が見ますので」

 メイドたちがラファエル様にお礼を伝えている。

「私もセイラ嬢の容態が気になるので、診察を見守ります」

 何を思ったのか、診察を見守ると言い出したのだ。婚約者でもない男性が、令嬢の診察を見届けるのは、さすがによくない。使用人たちも同じことを考えた様で

「申し訳ございません。フォリスト公爵令息様。医者の診察時に、殿方がいらっしゃるとお嬢様も緊張してしまいます。どうかお引き取り願えないでしょうか?」

 メイドたちも、丁重にラファエル様に帰ってもらう様に促している。

「そうですね、さすがい私がいるのは良くないですね。分かりました、それでは、私は帰る事にします。セイラ嬢、どうか無理せず、ゆっくり休んで下さい。それでは私はこれで」

「ラファエル様、今日は本当にありがとうございました」

 ベッドの上から何度も頭を下げた。本当にラファエル様は、優しくて素敵な殿方だ。

「お嬢様、お医者様がいらっしゃいました。すぐに診察を」

 ラファエル様と入れ違いでやって来たお医者様。彼女はお母様の専属医師だった女性で、息を引き取るまで診察をしてくれた方だ。

「セイラお嬢様、一体どうされたのですか?」

「ちょっと王宮でせき込んだ拍子に、吐血してしまって。でも、大したことではないよ。最近色々とあって、きっとストレスが溜まっていたのね」

 そう笑顔で答えた。

「吐血ですって。ちょっと失礼します」

 何やら首の後ろを確認しだしたお医者様。一体どうしたのかしら?


「これは…なんて事でしょう。まさか奥様に続き、セイラお嬢様までこの病を患ってしまうだなんて…」

 お医者様が頭を抱えてしまった。メイドたちも、不安そうな顔をしている。

「お医者様、お嬢様の病気は一体何なのですか?治るのですよね?」

 不安そうな顔で、使用人たちもお医者様に話しかけている。私も一気に不安になった。

「正直に申し上げます。お嬢様の病気は、薬等で治すことはできません。いわば不治の病です。奥様も同じ病気で、命を落としました」

 目に涙を浮かべ、はっきりと告げたお医者様。不治の病…お母様と同じ病気…

「そんな…お医者様、何とかお嬢様を助けて下さい。お嬢様はまだ、15歳なのですよ」

「お願いします、お嬢様を助けて下さい」

 使用人たちが、次々にお医者様に詰め寄っている。

 私はずっと孤独だと思っていたけれど、こうやって心配してくれる使用人たちがいるのね。それがなんだか嬉しい。

「皆、私の為にありがとう。不治の病という事は、私は近いうちに命を落とすのね。それで一体どんな病気なの?」

 なぜだろう、正直今、心がとても穏やかなのだ。

「はい、お嬢様は今“恋焦がれ病”という病に侵されています。奥様の一族のみに受け継がれる病気で、愛する人からの愛情不足が原因で起こる病気と聞いております」

「恋焦がれ病?そんな病気があるのですか?」

「はい、非常に特殊な病気なので、診察できる医師は、亡くなった奥様の実家の専属医師の一族しか診察する事が出来ない病気です。私も奥様の輿入れと同時に、この家の専属医師になったのです」

 お母様の血筋にのみ現れる病気か…

「その病気は一体どんな病気なのですか?本当に治る方法はないのですか?このままお嬢様は、死を待つしかできないのですか?」

「この病気は、愛する人に愛されない寂しさが募り募って発病する病気だと聞いております。一度発病してしまうと、後は死を待つだけと…ただ、患者様、ここで言うお嬢様の愛する方が、心からお嬢様を愛しその事を全力で表現すれば助かる可能性もあるのではないかと言われております。あくまでも噂の範囲ですが…何よりも今まで発病された患者様は、誰一人助かる事はありませんでしたので、真実は私共にもわからないのです」

 言いにくそうにお医者様が教えてくれた。

 なるほど、私が愛する人と言えば、ロイド様だ。ロイド様への想いが募りに募って発病してしまったのだろう。ロイド様がミーア様を愛している以上、私はもう、死を待つのみという事か…

「お母様も発病したと言っていたけれど、お母様の相手はやはり、お父様だったの?」

「…はい、そうでございます。奥様は旦那様を心から愛しておられました。ですが旦那様は…」

 お母様を愛していなかったという訳ね。

 お母様はずっと、お父様を愛していた。もしかしたら結婚したら、少しは自分を見てくれると思っていたのかもしれない。でも、現実は…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

余命1年の侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
余命を宣告されたその日に、主人に離婚を言い渡されました

悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?

いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。 「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」 「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」 冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。 あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。 ショックで熱をだし寝込むこと1週間。 目覚めると夫がなぜか豹変していて…!? 「君から話し掛けてくれないのか?」 「もう君が隣にいないのは考えられない」 無口不器用夫×優しい鈍感妻 すれ違いから始まる両片思いストーリー

乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。 相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。 結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。 現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう… その時に前世の記憶を取り戻すのだった… 「悪役令嬢の兄の婚約者って…」 なんとも微妙なポジション。 しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。

婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました

Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、 あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。 ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。 けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。 『我慢するしかない』 『彼女といると疲れる』 私はルパート様に嫌われていたの? 本当は厭わしく思っていたの? だから私は決めました。 あなたを忘れようと… ※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。

愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。 人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。 それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。 嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。 二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。 するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー

【完結】これをもちまして、終了とさせていただきます

楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。 伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。 そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。 「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」 神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。 「お話はもうよろしいかしら?」 王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。 ※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m

【完】愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた

迦陵 れん
恋愛
「学園にいる間は、君と距離をおこうと思う」  待ちに待った定例茶会のその席で、私の大好きな婚約者は唐突にその言葉を口にした。 「え……あの、どうし……て?」  あまりの衝撃に、上手く言葉が紡げない。  彼にそんなことを言われるなんて、夢にも思っていなかったから。 ーーーーーーーーーーーーー  侯爵令嬢ユリアの婚約は、仲の良い親同士によって、幼い頃に結ばれたものだった。  吊り目でキツい雰囲気を持つユリアと、女性からの憧れの的である婚約者。  自分たちが不似合いであることなど、とうに分かっていることだった。  だから──学園にいる間と言わず、彼を自分から解放してあげようと思ったのだ。  婚約者への淡い恋心は、心の奥底へとしまいこんで……。 第18回恋愛小説大賞で、『奨励賞』をいただきましたっ! ※基本的にゆるふわ設定です。 ※プロット苦手派なので、話が右往左往するかもしれません。→故に、タグは徐々に追加していきます ※感想に返信してると執筆が進まないという鈍足仕様のため、返事は期待しないで貰えるとありがたいです。 ※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。 ※※しれっと短編から長編に変更しました。(だって絶対終わらないと思ったから!)  

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...