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第32話:隠されていた公爵の想い~ロイド視点~
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怒りからそのまま部屋から出た僕は、公爵を探した。ちょうど部屋から出た時、公爵が角を曲がるのが見えたのだ。
急いで追いかけたが、姿を見失った。あの男、歩くのが早いのだな。
でも…どうしてこっちの方に歩いて行ったのだ?外に出るための玄関は、逆方向なのに…
不思議に思いつつも、公爵を探していると…
「よかった…私のセイラ、生きてくれて本当によかった」
えっ?この声は…
ほんの少しドアが開いている部屋から、誰かの泣き声が聞こえてきたのだ。そっとドアの隙間から中をのぞく。
すると、公爵がセイラの姿絵を抱きしめながら、涙を流していたのだ。これは一体、どういう事だ?あの公爵が、涙を流しているだなんて。
あまりの衝撃的な姿に、僕は物音をたててしまったのだ。しまった!そう思った時には、すでに遅かった。
「殿下、どうしてあなた様がこちらにいらっしゃるのですか?のぞきみなど、さすがに悪趣味ですぞ」
「申し訳ございません。あまりにも公爵のセイラに対する態度が目に余るものがあったので、一言モノ申したいと思って来たのですが…この部屋は…」
「ここは私の書斎です」
公爵の書斎には、セイラの幼い時の姿絵から今の姿絵まで飾られていた。さらに奥には、銀色の髪をした美しい女性の姿絵も。その女性は、幼い少女を抱っこしている。
「彼女はセイラの母親です。セイラによく似ているでしょう?彼女は私以外に愛する男性がいたのですよ。でも、家の為に私と結婚した。そして病気になり、幼いセイラを残してこの世を去ったのです。本当に、哀れな女性ですよ。私にさえ愛されなければ、死なずに済んだかもしれないのに…」
悲しそうに呟く公爵。
「夫人もセイラと同じ病で、亡くなったそうですね」
「ええ、そうです。今まで病名は知りませんでしたが、今さっき初めて妻の病名を知りました。妻はきっと、昔好きだった男への想いを断ち切れずに、恋焦がれ病にかかったのでしょう。私が妻を愛してしまったせいで、妻は命を落としたのです」
「愛していたのなら、どうして大切にしなかったのですか?」
「彼女は私の事を嫌っていましたから。嫌いな男に愛されても、迷惑なだけでしょう。だから極力、妻の前には姿を見せない様にしていたのです」
昔の僕と一緒だ…僕も同じことを考えて、セイラを避けていた。
「夫人を避けていた理由は分かりましたが、どうしてセイラにまで冷たくしたのですか?セイラは母親を亡くし、あなたしか頼る人がいなかったのに…」
「セイラは妻によく似ています。セイラを見ていると、どうしても亡くなった妻を思い出して…私は本当にどうしようもない男なのです。愛する人を不幸にし、命を奪い、娘にまで寂しい思いをさせてしまったのだから。ですから私は、独りぼっちがお似合いなのです」
悲しそうに呟く公爵。
公爵は公爵なりに、悩み苦しんできたのだな。まさか夫人にそんな思い人がいただなんて…
「お話し中失礼いたします。ツィンクル公爵様、少し宜しいでしょうか?」
やって来たのは、僕の執事だ。彼が話に入ってくるだなんて、珍しい。彼は絶対にこういう時、話しに入ってくることはないのだが。
「ライト殿…君にも申し訳ない事をした。私が彼女を愛したばかりに。君はセレイナを愛していたのだろう?セレイナと一緒になるために、必死に勉強をして陛下の家臣になった事、そして新たに爵位を賜ろうとしていたことを、私は知っている。それは全て、セレイナと一緒になるためだったのだろう?」
今なんて言った?僕の専属執事が、セイラの母を愛していただと?確か彼は、ウィグリー侯爵家の次男だった。非常に優秀で、その優秀さが認められ、伯爵位を与えられようとしたそうだが、それを辞退したと。
政治の一線から退き、自ら僕の執事になったと、父上から聞いたことがある。
まさか彼が、セイラの母を愛していただなんて。
急いで追いかけたが、姿を見失った。あの男、歩くのが早いのだな。
でも…どうしてこっちの方に歩いて行ったのだ?外に出るための玄関は、逆方向なのに…
不思議に思いつつも、公爵を探していると…
「よかった…私のセイラ、生きてくれて本当によかった」
えっ?この声は…
ほんの少しドアが開いている部屋から、誰かの泣き声が聞こえてきたのだ。そっとドアの隙間から中をのぞく。
すると、公爵がセイラの姿絵を抱きしめながら、涙を流していたのだ。これは一体、どういう事だ?あの公爵が、涙を流しているだなんて。
あまりの衝撃的な姿に、僕は物音をたててしまったのだ。しまった!そう思った時には、すでに遅かった。
「殿下、どうしてあなた様がこちらにいらっしゃるのですか?のぞきみなど、さすがに悪趣味ですぞ」
「申し訳ございません。あまりにも公爵のセイラに対する態度が目に余るものがあったので、一言モノ申したいと思って来たのですが…この部屋は…」
「ここは私の書斎です」
公爵の書斎には、セイラの幼い時の姿絵から今の姿絵まで飾られていた。さらに奥には、銀色の髪をした美しい女性の姿絵も。その女性は、幼い少女を抱っこしている。
「彼女はセイラの母親です。セイラによく似ているでしょう?彼女は私以外に愛する男性がいたのですよ。でも、家の為に私と結婚した。そして病気になり、幼いセイラを残してこの世を去ったのです。本当に、哀れな女性ですよ。私にさえ愛されなければ、死なずに済んだかもしれないのに…」
悲しそうに呟く公爵。
「夫人もセイラと同じ病で、亡くなったそうですね」
「ええ、そうです。今まで病名は知りませんでしたが、今さっき初めて妻の病名を知りました。妻はきっと、昔好きだった男への想いを断ち切れずに、恋焦がれ病にかかったのでしょう。私が妻を愛してしまったせいで、妻は命を落としたのです」
「愛していたのなら、どうして大切にしなかったのですか?」
「彼女は私の事を嫌っていましたから。嫌いな男に愛されても、迷惑なだけでしょう。だから極力、妻の前には姿を見せない様にしていたのです」
昔の僕と一緒だ…僕も同じことを考えて、セイラを避けていた。
「夫人を避けていた理由は分かりましたが、どうしてセイラにまで冷たくしたのですか?セイラは母親を亡くし、あなたしか頼る人がいなかったのに…」
「セイラは妻によく似ています。セイラを見ていると、どうしても亡くなった妻を思い出して…私は本当にどうしようもない男なのです。愛する人を不幸にし、命を奪い、娘にまで寂しい思いをさせてしまったのだから。ですから私は、独りぼっちがお似合いなのです」
悲しそうに呟く公爵。
公爵は公爵なりに、悩み苦しんできたのだな。まさか夫人にそんな思い人がいただなんて…
「お話し中失礼いたします。ツィンクル公爵様、少し宜しいでしょうか?」
やって来たのは、僕の執事だ。彼が話に入ってくるだなんて、珍しい。彼は絶対にこういう時、話しに入ってくることはないのだが。
「ライト殿…君にも申し訳ない事をした。私が彼女を愛したばかりに。君はセレイナを愛していたのだろう?セレイナと一緒になるために、必死に勉強をして陛下の家臣になった事、そして新たに爵位を賜ろうとしていたことを、私は知っている。それは全て、セレイナと一緒になるためだったのだろう?」
今なんて言った?僕の専属執事が、セイラの母を愛していただと?確か彼は、ウィグリー侯爵家の次男だった。非常に優秀で、その優秀さが認められ、伯爵位を与えられようとしたそうだが、それを辞退したと。
政治の一線から退き、自ら僕の執事になったと、父上から聞いたことがある。
まさか彼が、セイラの母を愛していただなんて。
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