余命3ヶ月と言われたので静かに余生を送ろうと思ったのですが…大好きな殿下に溺愛されました

Karamimi

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第33話:明かされる真実~ロイド視点~

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 何も話さない執事に、僕も公爵も視線を送る。

 すると小さくため息をついた執事が、真っすぐと公爵の方を向いた。

「確かに私は、セレイナ嬢を愛しておりました。彼女は美しいだけでなく、誰にでも優しくて笑顔が素敵で、一緒にいるだけで幸せになれる人でした。あわよくばセレイナ嬢と共に未来を歩めたら…そう願った時もありました。ですが…」

 一瞬悲しそうな顔をした執事だったが、すぐに元の真顔に戻った。

 そして

「ですが、セレイナ嬢に、はっきりとフラれたのです。”私には心から愛している方がいます。私は彼の元に嫁ぎたい、だからあなた様のお気持ちには応えられません。申し訳ございません“と。ショックでした、正直私の方が、セレイナ嬢との仲は良かったと思っていたから。でも、違ったのです。セレイナ嬢は、ツィンクル公爵様、あなた様を愛していらしたのです。だから私は、身を引きました」

「そんなはずはない。セレイナはずっと君を…」

「それは本人から聞いたのですか?」

「いや…だが…」

「あなた様と結婚した後、時折寂しそうにあなた様を見つめている姿に、私はどうしようもなく胸が締め付けられました。ですが、彼女が愛しているのはあなた様なのだから、私にはどうする事も出来ない。そう思い、歯がゆい思いをしたこともありました。そんな中、彼女が病に倒れたと聞きました。まさか恋焦がれ病だったとは…

 もしあの時、私があなた様にセレイナ嬢の気持ちを伝えていれば…もしあの時、あなた様としっかり話していれば、セレイナ嬢は命を落とすことはなかったでしょう。セイラ様も、寂しい思いをする事もなかったかもしれません。そう思うと、私はやりきれなくて…」

 いつも冷静で何を考えているか分からない執事が、ポロポロと涙を流し出したのだ。

「そんな…それじゃあ、セレイナは、私を思って死んでいったというのか?そんな…」

 泣き崩れる公爵に、執事がそっと寄り添った。

「あなた様だけのせいではありません。誤解を与える様な行動を起こした私にも、責任があるのです。セレイナ嬢にフラれたあの日、私はセレイナ嬢の幸せを間違いなく願っていたはずなのに…彼女が辛い思いをしている事を薄々気が付いていたのに、何もして差し上げられませんでした。

 それはセイラ様にも言える事です。セイラ様が王宮で寂しそうにしていらしたのに、何もして差し上げられなかった。セイラ様は、あまりにもセレイナ嬢に似ています。セイラ様を見ると、胸が締め付けられて苦しくて…」

「いいや、君のせいではない。私が愚かだったのだよ。すまない、セレイナ。本当にすまない。私が愚かなばかりに、君を死なせてしまった」

 声を上げて泣く公爵に寄り添い、涙を流す執事。彼らもまた、辛い思いをして来たのだろう。

「公爵殿、あなたは僕に似ておりますね。僕も一歩間違えれば、あなたと同じ道をたどっていた事でしょう。僕もセイラが病気になった時、何度も何度も後悔しました。過去に戻れるなら戻りたいと。

 セイラの命が尽きた時ですら、僕は傍にいてあげられませんでした。僕は最後までダメな人間です。そんな中、セイラは奇跡的に息を吹き返しました。僕はもう二度と、セイラから離れるつもりはありません。

 確かにセイラの母上の件は、もうどうする事も出来ません。ですが、セイラはまだ生きています。公爵、どうか今からでもセイラに目を向けてあげてください。セイラはずっと、あなたの愛情を求めていたはずですから」

「だが私は、あの子から母親を奪ったのです。その上、今まで父親らしいことを、何一つしてあげられなかった。そんな私が、今更父親面なんて出来る訳がない。セイラだってきっと、私の事を憎んでいるでしょう。母親を死に追いやったのだから」

「セイラがその事実に気が付いているかはわかりません。ですがセイラは、誰よりも優しい子です。僕はずっと、彼女に酷い事をしていたのに、それでもセイラは僕を愛してくれていました。僕の方こそ、どの面下げてセイラの前に顔を出したらいいのやら。それでも僕は、セイラが大好きです。ずっとセイラの傍にいたい。だから僕は、しっかりセイラに謝罪し、これからはずっとセイラの傍にいるつもりです。公爵はセイラの事が嫌いなのですか?セイラの傍にいたくないのですか?」

「いたくない訳ない。だが、私は…」

「ブツブツ言っていないで、一緒にセイラの元に向かいましょう」

 公爵の腕を掴み、セイラの部屋へと向かった。
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