婚約破棄を希望しておりますが、なぜかうまく行きません

Karamimi

文字の大きさ
9 / 51

第9話:可愛い可愛いオニキスとの出会い~ブライン視点~

しおりを挟む
僕の名前はブライン・ディズ・ラーシャイ。ラーシャイ王国の国王と王妃の間に生を受けた僕は、生まれながらの王太子だ。父上も母上も一人息子の僕をそれはそれは可愛がってくれた。

でも僕は、王太子という肩書に溺れることなく、真面目に生きて来た。そんな時、ある運命的な出会いを果たす。それは8歳になった時の事だ、そろそろ僕に婚約者候補をとの事で、母上がお茶会を開いてくれたのだ。

そこで僕は、ある女性に一目ぼれしてしまう。燃えるような真っ赤な髪、吊り上がったオレンジ色の瞳、一見気の強そうに見える彼女だが、初めてのお茶会だった様で、不安そうにあたりをキョロキョロしていた。

その姿を見た瞬間、僕の心臓に矢が刺さったのだ。僕、この子と婚約したい!そんな思いから、僕は彼女に話しかけた。すると、美しいオレンジ色の瞳と目が合った。

その瞬間、一気に鼓動が早くなり、一瞬気を失いそうになったのだ。なんなんだ、あの眩しさは!それに心臓がものすごい速さで動いている。ダメだ、このまま彼女の傍にいては、意識を失いそうだ。

そう思い、一旦彼女から離れた。その後もつい彼女を目で追ってしまう。そんな僕に、肉食獣の様な令嬢たちが、ガンガンアタックしてくるのだ。どうやら令嬢たちは、僕の婚約者候補を選ぶためのお茶会と聞いてきている様だ。

あまりの令嬢の猛攻撃に耐えられなくなった僕は、一足先に部屋に戻る事にした。それにしても、令嬢とはあれほどまでに恐ろしいものなのか…体中が恐怖で震える。そんな僕を見た従者のヴェンが、心配そうに声を掛けてきた。

「殿下、顔色が悪いです。大丈夫ですか?それにしても、令嬢たちの猛アプローチはすごかったですね。まるで野生のゴリラ…失礼。とても白熱した戦いを繰り広げていらっしゃいました。殿下は完全に押されておりましたね。そりゃそうでしょう、どう見ても野生のゴリラの群れに放り込まれた、子ウサギの様でしたものね」

彼は僕より10歳上の伯爵家の次男だ。僕の良き相談役でもある。それにしても、令嬢たちを野生のゴリラというなんて…でも、彼女たちはゴリラどころではない、怪獣だった…思い出しただけでも寒気がする。

「大丈夫ですか?殿下。温かい飲み物を準備いたしました。王妃様には、よさそうな令嬢はいなかったと、私から報告させていただきます。ですので、どうか殿下はお休みください」

ん?よさそうな令嬢はいなかっただと?

「ちょっと待ってくれ、ヴァン。誰がよさそうな令嬢はいなかったと言った?僕はどうしても、婚約を結びたい令嬢がいるんだ。こうしちゃいられない、すぐに母上の元に向かわないと!」

彼女、本当に可愛かったな…ダメだ、思い出しただけで鼻血が出そうだ!とにかく彼女を誰かに取られてしまう前に、何が何でも婚約を結ばないと!

「母上、大事なお話があります!」

「ブライン、ノックもせずに部屋に入ってくるとは何事ですか!それよりあなた、令嬢たちに猛アプローチを受けて、逃げてきたそうじゃない…この分だと、婚約者候補はまだ先の様ね…」

母上がはぁっとため息を付いてそう言ったのだ。

「母上、確かに僕は令嬢たちの攻撃に耐えきれずに、逃げてきました。でも、しっかり婚約者にしたい女性を見つけたのです。僕、絶対に絶対に、ぜぇったいに、彼女と婚約します!!」

鼻息荒く母上に詰め寄る。

「ブライン、落ち着いて。あなたがこんなに興奮しているなんて、珍しいわね…それで、その令嬢はどこの子なの?名前は?」

「え?名前?」

しまった、あまりの美しさについ見とれてしまって、名前を聞くのを忘れていた。

「あなた、まさか名前を聞かなかったの?まあいいわ、それで、どんな子なの?特徴は?」

特徴か…

「燃える様な真っ赤な髪に、少し吊り上がったオレンジの瞳、背筋をピシッと伸ばし凛としたイメージとは裏腹に、不安げにキョロキョロと辺りを見渡していた彼女。あぁ…思い出しただけでも鼻血が…」

「ちょっと、ブライン!本当に鼻血が出ているわ。今すぐブラインに応急処置を。とにかく横になりなさい!」

彼女を思い出したら興奮してしまい、鼻血が出てしまった様だ。母上の指示でメイドたちが大慌てで僕の処置を行う。それにしても、本当に可愛かったな…あの子…

「ブライン、そのニヤニヤした、だらしない顔は止めなさい。赤い髪にオレンジの瞳で、少し吊り上がった目と言えば、きっとメッション公爵家のオニキスちゃんね。分かったわ、公爵には、明日にでも話をしておくわ。でも、公爵はオニキスちゃんを溺愛していると聞くし、承諾してくれるかしら?まあ、ごねたら夫人に頼むからいいわ。あの人、夫人に弱いのよね」

彼女、オニキスというのか…可愛い名前だな。

「母上、何が何でもオニキスを僕の婚約者にして下さい。絶対ですよ」

「ええ、任せておきなさい。それにしても、あなたがオニキスちゃんをね」

なぜか母上がニヤニヤしている。

そして翌日、なんと公爵家の方から、僕とオニキスを婚約させたいと申し入れがあったのだ。

「よかったわね、オニキスちゃんたっての希望で、あなたの婚約者に決まったわ。まさかブラインがこの国一の大貴族、メッション公爵家の令嬢を選ぶなんて。これで王家も安泰ね」

そう言って笑った母上。まさかオニキスの方から、僕と婚約したいと言い出すなんて…あぁ、これでオニキスと婚約できる。またあの可愛らしい顔を見る事が出来るのか…

「ちょっとブライン!また鼻血が出ているわ。誰か応急処置を!」

僕の周りで、母上やメイドたちがギャーギャー騒いでいる。でも、今はそれどころじゃない。だって、オニキスと婚約できたのだから…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

差し出された毒杯

しろねこ。
恋愛
深い森の中。 一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。 「あなたのその表情が見たかった」 毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。 王妃は少女の美しさが妬ましかった。 そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。 スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。 お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。 か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。 ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。 同名キャラで複数の作品を書いています。 立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。 ところどころリンクもしています。 ※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!

【完結】第一王子の婚約者になりましたが、妃になるにはまだまだ先がみえません!

風見ゆうみ
恋愛
「王族に嫁いだ者は、夫を二人もつ事を義務化とする」  第二王子の婚約者である私の親友に恋をした第三王子のワガママなお願いを無効にするまでのもう一人の夫候補として思い浮かんだのは、私に思いを寄せてくれていた次期公爵。  夫候補をお願いしたことにより第一王子だけでなく次期公爵からも溺愛される事に?!  彼らを好きな令嬢やお姫様達ともひと悶着ありですが、親友と一緒に頑張ります! /「小説家になろう」で完結済みです。本作からお読みいただいてもわかるようにしておりますが、拙作の「身を引いたつもりが逆効果でした」の続編になります。 基本はヒロインが王子と次期公爵から溺愛される三角関係メインの甘めな話です。揺れるヒロインが苦手な方は、ご遠慮下さい。

裏切り者として死んで転生したら、私を憎んでいるはずの王太子殿下がなぜか優しくしてくるので、勘違いしないよう気を付けます

みゅー
恋愛
ジェイドは幼いころ会った王太子殿下であるカーレルのことを忘れたことはなかった。だが魔法学校で再会したカーレルはジェイドのことを覚えていなかった。 それでもジェイドはカーレルを想っていた。 学校の卒業式の日、貴族令嬢と親しくしているカーレルを見て元々身分差もあり儚い恋だと潔く身を引いたジェイド。 赴任先でモンスターの襲撃に会い、療養で故郷にもどった先で驚きの事実を知る。自分はこの宇宙を作るための機械『ジェイド』のシステムの一つだった。 それからは『ジェイド』に従い動くことになるが、それは国を裏切ることにもなりジェイドは最終的に殺されてしまう。 ところがその後ジェイドの記憶を持ったまま翡翠として他の世界に転生し元の世界に召喚され…… ジェイドは王太子殿下のカーレルを愛していた。 だが、自分が裏切り者と思われてもやらなければならないことができ、それを果たした。 そして、死んで翡翠として他の世界で生まれ変わったが、ものと世界に呼び戻される。 そして、戻った世界ではカーレルは聖女と呼ばれる令嬢と恋人になっていた。 だが、裏切り者のジェイドの生まれ変わりと知っていて、恋人がいるはずのカーレルはなぜか翡翠に優しくしてきて……

元男装傭兵、完璧な淑女を演じます。――嫁ぎ先はかつての団長でした!?

中野森
恋愛
貧乏男爵家の長女クラリスは、弟の学費を稼ぐために男装して傭兵団へ入団した。 副団長にまで上り詰め、団長をはじめとした仲間から信頼を得るが、決して正体は明かさなかった。 やがて戦争が終わり、傭兵団は解散となる。 出稼ぎするために流した嘘の悪評により、修道院入りを覚悟していたクラリスだったが、帰郷した彼女を待っていたのは父からの「嫁ぎ先が決まった」という一言だった。 慌ただしく始まる淑女教育、そして一度も未来の夫と顔合わせすることなく迎えた結婚式当日。 誓いの言葉を促され隣からきこてくる声に、クラリスは凍りつく。 ……嘘でしょ、団長!? かつての想い人でもある傭兵仲間が今は夫となり、妻の正体には気づいていない――気づかれてはいけないのだ、絶対に! 本作品はゆるふわ設定、ご都合主義、細かいことは気にしたら負け! ※この小説は、ほかの小説投稿サイトにも投稿しています。

この婚約は白い結婚に繋がっていたはずですが? 〜深窓の令嬢は赤獅子騎士団長に溺愛される〜

氷雨そら
恋愛
 婚約相手のいない婚約式。  通常であれば、この上なく惨めであろうその場所に、辺境伯令嬢ルナシェは、美しいベールをなびかせて、毅然とした姿で立っていた。  ベールから、こぼれ落ちるような髪は白銀にも見える。プラチナブロンドが、日差しに輝いて神々しい。  さすがは、白薔薇姫との呼び名高い辺境伯令嬢だという周囲の感嘆。  けれど、ルナシェの内心は、実はそれどころではなかった。 (まさかのやり直し……?)  先ほど確かに、ルナシェは断頭台に露と消えたのだ。しかし、この場所は確かに、あの日経験した、たった一人の婚約式だった。  ルナシェは、人生を変えるため、婚約式に現れなかった婚約者に、婚約破棄を告げるため、激戦の地へと足を向けるのだった。 小説家になろう様にも投稿しています。

虐げられ続けてきたお嬢様、全てを踏み台に幸せになることにしました。

ラディ
恋愛
 一つ違いの姉と比べられる為に、愚かであることを強制され矯正されて育った妹。  家族からだけではなく、侍女や使用人からも虐げられ弄ばれ続けてきた。  劣悪こそが彼女と標準となっていたある日。  一人の男が現れる。  彼女の人生は彼の登場により一変する。  この機を逃さぬよう、彼女は。  幸せになることに、決めた。 ■完結しました! 現在はルビ振りを調整中です! ■第14回恋愛小説大賞99位でした! 応援ありがとうございました! ■感想や御要望などお気軽にどうぞ! ■エールやいいねも励みになります! ■こちらの他にいくつか話を書いてますのでよろしければ、登録コンテンツから是非に。 ※一部サブタイトルが文字化けで表示されているのは演出上の仕様です。お使いの端末、表示されているページは正常です。

【完結】狂愛の第二皇子は兄の婚約者を所望する

七瀬菜々
恋愛
    兄の婚約者を手に入れたい第二皇子ジェレミーと、特に何も考えていない鈍感令嬢リリアンの執着と苦悩の物語。

本の虫令嬢ですが「君が番だ! 間違いない」と、竜騎士様が迫ってきます

氷雨そら
恋愛
 本の虫として社交界に出ることもなく、婚約者もいないミリア。 「君が番だ! 間違いない」 (番とは……!)  今日も読書にいそしむミリアの前に現れたのは、王都にたった一人の竜騎士様。  本好き令嬢が、強引な竜騎士様に振り回される竜人の番ラブコメ。 小説家になろう様にも投稿しています。

処理中です...