婚約破棄を希望しておりますが、なぜかうまく行きません

Karamimi

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第15話:階段突き落とし大作戦です

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今日はいよいよ悪役令嬢として、第1回目の作戦を決行する日だ。なんだか緊張してきたわ。朝から落ち着きがない。

何度も何度も、クロエ様が書いてくれた作戦の紙を確認する。

「お嬢様、昨日から何をソワソワしていらっしゃるのですか?」

不思議そうな顔で、マリンが話しかけてくる。

「マリン、聞いてちょうだい。実は今日、初めて悪役令嬢としての大仕事をする日なの。それでなんだか緊張してしまって。私、上手くできるかしら?」

「お嬢様、本当にそんなバカげた作戦を行うのですか?それで、一体何をなさる予定なのですか?」

はあ~とため息を付きながら、あきれ顔で呟いている。本当に失礼ね。この日の為に、クロエ様と入念に作戦を立ててきたのに。

「今日は私がクロエ様を階段から突き落とす予定なの。でも…万が一クロエ様がお怪我でもされたらと思うと、なんだか心配で…」

打ち所が悪ければ、それこそ取り返しのつかない事になるのだ。本当に大丈夫なのか、心配でたまらない。

「お嬢様、人を階段から突き落とすだなんて、そんな危険な事を本当になさるおつもりですか?あなた様は一体、どこを目指しているのですか?」

「もちろん、ブライン様との婚約破棄よ」

「婚約破棄と階段からクロエ様を突き落とすのと、何の関係があるのですか?第一、どんなにお嬢様が酷い事をなされても、絶対に婚約は解消されませんよ。マリンが保証いたします」

「もう、マリンったら。大丈夫よ、ちゃんと婚約破棄が出来るわ。だってクロエ様は、前世という記憶があり、未来を動かすことが出来る偉大な人物なのですもの。クロエ様の言う通りにすれば、間違いないのよ」

「…色々と間違いだらけの様な気がしますが…まあ、いいです。お好きになさってください」

再びため息を付くマリン。

おっとこんなところで油を売っている場合じゃないわ。早く学院に行かないと、遅刻してしまう。

急いで馬車に乗り込み、学院を目指した。そしてお昼休み、仲良しの令嬢たちに断りを入れ、クロエ様との待ち合わせ場所へと向かう。

「クロエ様、お待たせしました」

満面の笑みでクロエ様の元に向かう。

「ちょっと、遅いじゃない。それより何よ、その顔は!あなたは悪役令嬢、オニキスなのよ。もっと悪そうな顔をしなさいよ」

悪そうな顔とは、どうするのかしら?よくわからず、首をコテンと傾ける。

「…もういいわよ。早速実行に移すわよ。いい?私が階段を降りていくから、あなたはここから私を突き落とすのよ。遠慮はいらないわ。一気に突き落としてちょうだい」

「ええ!こんな高い位置から突き落とすのですか?それではクロエ様が、大けがをしてしまいますわ!そんな事、さすがに出来ません。既に階段を降り終える寸前で突き落としましょう。そうすればきっと、怪我もしませんし、安全ですわ」

さすがにこんな一番上から突き落としたら、クロエ様が怪我をしてしまう。万が一頭でも打ったら…考えただけで恐ろしい。

「ちょっとオニキス、あなたは何を言っているの?そんな下の方から落としても、何にもならないじゃない!いい?あなたは悪役令嬢なのよ。そう、悪い子なの。悪い子は相手の事なんて考えなくていいの。分かった?たとえ私が怪我をしても、それはそれでいいの。それに私は、ヒロインなのだから死んだりしないから安心しなさい」

安心しなさいと言われても、さすがにこんなところから突き落とすだなんて。

「いいわね、遠慮なく突き落とすのよ。分かったわね」

「…わかりましたわ。私、悪役令嬢になれるように頑張ります!」

とにかく、クロエ様を突き落とせばいいのよね。

「そう、それじゃあいくわよ。私は上の方からゆっくり降りてくるから、いい、遠慮なく一気に突き落とすのよ。そして転げ落ちる私にこう言うの“ブライン様に手を出すからこうなるのよ。いい気味ね”て。分かっているわね」

「はい、セリフは何度も何度も練習しましたので、ばっちりです。ただ…やっぱりクロエ様が怪我をしないかだけが…」

「だから私はヒロインだから大丈夫と言っているでしょう?それに、捻挫くらいはしないと、ブライン様に医務室に運んでもらえないでしょう。ここでは初めてブライン様にお姫様抱っこで運んでもらうと言うイベントがあるのだから。いい、絶対に失敗しないでよ。それじゃあ、行くわよ」

そう言うと、階段を上がり始めたクロエ様。いよいよ始まるのね、なんだか緊張してきたわ。

その時だった。

「あら?オニキス様、こんなところで何をしていらっしゃるのですか?」

私に話しかけてきたのは、クラスの令嬢たちだ。マズイわ、こんなところで、彼女たちに会うなんて。

「えっと…ちょっと今取り込んでおりまして。どうか私の事は気にしないで下さいまし」

それでは失礼。と言わんばかりに、手を振って見送る。

「オニキス様?」

不思議そうな顔をしながらも、その場を去って行く令嬢たち。よかった。彼女たちが行ってくれたわ。

その時だった。クロエ様がゆっくりと階段を降りて来たのだ。いよいよね。
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