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第16話:失敗しました
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そして私の目の前に差し掛かったクロエ様が、目で合図を送る。今だわ!そう思い、クロエ様の背後へと近づく。でも…
「ごめんなさい、やっぱりこんな高さからクロエ様を突き落とすなんて、私にはできませんわ」
クロエ様の背後に回った瞬間、階段の下までの高さを見て、怖気づいてしまったのだ。
「ちょっと、本当にあなたは役に立たないわね。いいわよ!とにかくあなたはそこに立っていなさい。いい?私がうまくやるから、あのセリフを言うのよ!」
そう私に伝えると
「キャァァァ」
と、悲鳴を上げながら階段を転げ落ちていくクロエ様。
「クロエ様!!」
心配でクロエ様に駆け寄った。さらにクロエ様の悲鳴を聞いた人たちが、次々に集まってくる。
「あぁ、クロエ様、大丈夫ですか?どこか痛いところはありませんか?」
完全にパニックになった私は、涙を流しながら必死にクロエ様に問いかける。するとクロエ様が、ギロリと私を睨んで、口をパクパク動かして“セリフ”と言っている。
しまった、私ったらついセリフの存在を忘れておりましたわ。気が付くと、沢山の生徒が集まっていた。そこには、ブライン様の姿も。ここは私の出番ですわ。
「あ…あなたが悪いのよ。ブライン様に手を出すからこうなるのよ。いい気味ね」
昨日何度も練習した悪そうな顔を浮かべながら、クロエ様に向かって叫んだ。
「酷いですわ…私とブライン様はそんな関係ではありません。それなのに、いくら私が憎いからって、階段から突き落とすだなんて」
さすがクロエ様、シクシク泣いて演技をしている。さあ、ここでブライン様の出番だ。確かクロエ様の話では、クロエ様を突き落とした私を叱責し、クロエ様を抱え医務室へと向かうのよね。
誰かがこっちに近づいてくる足音が聞こえる。きっとブライン様だわ。そう思っていたのだが、なぜか複数の足音が聞こえる。
「オニキス様はクロエ様を突き落としてはおりませんわ。私達、一部始終見ておりました。クロエ様、あなた、勝手に転がっていきましたわよね」
あら?この声は…
声の方を振り向くと、先ほど私に話しかけてくれた令嬢たちが、怖い顔をしてクロエ様を睨んでいた。
「私も見ましたわ。それにオニキス様はクロエ様が勝手に転げ落ちて行った姿を見て、涙を浮かべて心配そうに飛んで行っておりましたし」
「そういえば、クロエ様が転がり落ちるとき、オニキス様が“やっぱりクロエ様を突き落とすなんて、私にはできません”て声も聞こえましたわ。もしかして、お優しいオニキス様を騙して、オニキス様を悪者にする作戦ですの?そんな事なら、私たちが許しませんわよ」
怖い顔で令嬢たちがクロエ様に迫っている。
さらに
「心優しいオニキス嬢が、令嬢を突き落とすなんておかしいと思ったんだよな」
「確かにオニキス様は、そんな人じゃないわ」
と言った声まで聞こえる。これはマズイわ。どうしましょう。
「あの…私は…」
何とかしないとと思った時だった!
「ミレィシャル嬢、君とオニキスが最近仲がいいのは知っていたけれど、こういった危険な遊びを提案するのは止めてもらえるかい?オニキス、君は次期王妃になる人物だ。この様なふざけた遊びは、慎んでくれ。いいな、分かったな」
相変わらず私の顔を見ずに、そう呟くと去って行ったブライン様。
「なんだ、クロエ譲とオニキス嬢の遊びだったのか」
そう言って皆も去っていく。
「あ…あの、違うんです。本当に私、クロエ様が憎くて突き落としたのです」
必死にそう訴えたが
「オニキス様、この期に及んで嘘はいけませんよ。あなた様はきっと、クロエ様を庇っていらっしゃるのですね。オニキス様らしいですわ。でも、今後このようなお遊びはお控えになった方がよろしいですわ。クロエ様、今後はオニキス様を変なお遊びに巻き込むのはお止めください。さあ、オニキス様、教室に戻りましょう」
私を連れ、令嬢たちが教室に戻ろうとする。でも…
「あの、皆様、お待ちください。申し訳ございません。私はクロエ様のお怪我が心配ですので、どうか先に戻っていてください」
たとえ演技だったとしても、一番上の段から転げ落ちたのだ。無傷という事はないはずだ。
「オニキス様、あなた様はどれだけお優しいのですか…本当にもう」
呆れる友人たちに頭を下げ、すぐにクロエ様の元に向かう。
「クロエ様、大丈夫ですか?ごめんなさい、失敗してしまった様で」
「本当よ!それより足をくじいてしまって…肩を貸してくれるかしら?」
「まあ、それは大変ですわ。誰かクロエ様を医務室まで運んでくださる方はいらっしゃいますか?」
私が声を掛けると、1人の令息が名乗りを上げてくれた。たしか彼は、クラッシーノ侯爵家のブレッド様だわ。
「ブレッド様、ありがとうございます。それでは、お願いできますか?」
勇ましい体のブレッド様ならきっと、クロエ様を無理なく医務室に運んでくれるはずだ。
「ちょっとオニキス、私はあなたに肩を貸してもらえれば大丈夫よ。だから、断って頂戴」
なぜか遠慮深いクロエ様が、必死に訴えている。
「クロエ様、そんなに遠慮しなくても大丈夫ですわ。ブレッド様は勇ましい体をしておりますので、身をゆだねても安心ですわ」
「そうだよ、俺は体を鍛えているからね。それにしても令嬢の体って、こんなに柔らかいんだ…それにいい匂いもするし…」
「ちょっと、どこを触っているのよ。本当に私は大丈夫よ」
ギャーギャー文句を言うクロエ様を、優しく運んでくださるブレッド様。なんてお優しい方なのかしら?
その後ブレッド様のお陰で、無事医務室で治療を受ける事が出来たクロエ様だった。
「ごめんなさい、やっぱりこんな高さからクロエ様を突き落とすなんて、私にはできませんわ」
クロエ様の背後に回った瞬間、階段の下までの高さを見て、怖気づいてしまったのだ。
「ちょっと、本当にあなたは役に立たないわね。いいわよ!とにかくあなたはそこに立っていなさい。いい?私がうまくやるから、あのセリフを言うのよ!」
そう私に伝えると
「キャァァァ」
と、悲鳴を上げながら階段を転げ落ちていくクロエ様。
「クロエ様!!」
心配でクロエ様に駆け寄った。さらにクロエ様の悲鳴を聞いた人たちが、次々に集まってくる。
「あぁ、クロエ様、大丈夫ですか?どこか痛いところはありませんか?」
完全にパニックになった私は、涙を流しながら必死にクロエ様に問いかける。するとクロエ様が、ギロリと私を睨んで、口をパクパク動かして“セリフ”と言っている。
しまった、私ったらついセリフの存在を忘れておりましたわ。気が付くと、沢山の生徒が集まっていた。そこには、ブライン様の姿も。ここは私の出番ですわ。
「あ…あなたが悪いのよ。ブライン様に手を出すからこうなるのよ。いい気味ね」
昨日何度も練習した悪そうな顔を浮かべながら、クロエ様に向かって叫んだ。
「酷いですわ…私とブライン様はそんな関係ではありません。それなのに、いくら私が憎いからって、階段から突き落とすだなんて」
さすがクロエ様、シクシク泣いて演技をしている。さあ、ここでブライン様の出番だ。確かクロエ様の話では、クロエ様を突き落とした私を叱責し、クロエ様を抱え医務室へと向かうのよね。
誰かがこっちに近づいてくる足音が聞こえる。きっとブライン様だわ。そう思っていたのだが、なぜか複数の足音が聞こえる。
「オニキス様はクロエ様を突き落としてはおりませんわ。私達、一部始終見ておりました。クロエ様、あなた、勝手に転がっていきましたわよね」
あら?この声は…
声の方を振り向くと、先ほど私に話しかけてくれた令嬢たちが、怖い顔をしてクロエ様を睨んでいた。
「私も見ましたわ。それにオニキス様はクロエ様が勝手に転げ落ちて行った姿を見て、涙を浮かべて心配そうに飛んで行っておりましたし」
「そういえば、クロエ様が転がり落ちるとき、オニキス様が“やっぱりクロエ様を突き落とすなんて、私にはできません”て声も聞こえましたわ。もしかして、お優しいオニキス様を騙して、オニキス様を悪者にする作戦ですの?そんな事なら、私たちが許しませんわよ」
怖い顔で令嬢たちがクロエ様に迫っている。
さらに
「心優しいオニキス嬢が、令嬢を突き落とすなんておかしいと思ったんだよな」
「確かにオニキス様は、そんな人じゃないわ」
と言った声まで聞こえる。これはマズイわ。どうしましょう。
「あの…私は…」
何とかしないとと思った時だった!
「ミレィシャル嬢、君とオニキスが最近仲がいいのは知っていたけれど、こういった危険な遊びを提案するのは止めてもらえるかい?オニキス、君は次期王妃になる人物だ。この様なふざけた遊びは、慎んでくれ。いいな、分かったな」
相変わらず私の顔を見ずに、そう呟くと去って行ったブライン様。
「なんだ、クロエ譲とオニキス嬢の遊びだったのか」
そう言って皆も去っていく。
「あ…あの、違うんです。本当に私、クロエ様が憎くて突き落としたのです」
必死にそう訴えたが
「オニキス様、この期に及んで嘘はいけませんよ。あなた様はきっと、クロエ様を庇っていらっしゃるのですね。オニキス様らしいですわ。でも、今後このようなお遊びはお控えになった方がよろしいですわ。クロエ様、今後はオニキス様を変なお遊びに巻き込むのはお止めください。さあ、オニキス様、教室に戻りましょう」
私を連れ、令嬢たちが教室に戻ろうとする。でも…
「あの、皆様、お待ちください。申し訳ございません。私はクロエ様のお怪我が心配ですので、どうか先に戻っていてください」
たとえ演技だったとしても、一番上の段から転げ落ちたのだ。無傷という事はないはずだ。
「オニキス様、あなた様はどれだけお優しいのですか…本当にもう」
呆れる友人たちに頭を下げ、すぐにクロエ様の元に向かう。
「クロエ様、大丈夫ですか?ごめんなさい、失敗してしまった様で」
「本当よ!それより足をくじいてしまって…肩を貸してくれるかしら?」
「まあ、それは大変ですわ。誰かクロエ様を医務室まで運んでくださる方はいらっしゃいますか?」
私が声を掛けると、1人の令息が名乗りを上げてくれた。たしか彼は、クラッシーノ侯爵家のブレッド様だわ。
「ブレッド様、ありがとうございます。それでは、お願いできますか?」
勇ましい体のブレッド様ならきっと、クロエ様を無理なく医務室に運んでくれるはずだ。
「ちょっとオニキス、私はあなたに肩を貸してもらえれば大丈夫よ。だから、断って頂戴」
なぜか遠慮深いクロエ様が、必死に訴えている。
「クロエ様、そんなに遠慮しなくても大丈夫ですわ。ブレッド様は勇ましい体をしておりますので、身をゆだねても安心ですわ」
「そうだよ、俺は体を鍛えているからね。それにしても令嬢の体って、こんなに柔らかいんだ…それにいい匂いもするし…」
「ちょっと、どこを触っているのよ。本当に私は大丈夫よ」
ギャーギャー文句を言うクロエ様を、優しく運んでくださるブレッド様。なんてお優しい方なのかしら?
その後ブレッド様のお陰で、無事医務室で治療を受ける事が出来たクロエ様だった。
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