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第48話:さようなら、ジェーン元殿下~デイズ視点~
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翌日、フランソアには急遽領地に行くと嘘を付いて屋敷を出る。そしてジェーン元殿下を乗せた馬車の後を付けた。
ジェーン元殿下、自分の置かれている状況が分かっていない様で
「どうして僕がこんな質素な場所で食事をしないといけないのだ!」
「こんな狭い馬車に乗せるだなんて、腰が痛くてたまらないじゃないか」
などなど、休憩を取るために文句を言っていた。今回ジェーン元殿下に付けられた騎士は2人。騎士団長が言っていた通り、2人ともかつての僕の同僚だ。その上1人は、パーソティ侯爵家の次男だ。まさか彼を元殿下に付けるだなんて…
ちなみに彼らは元殿下を守るためにいるのではない。逃走しないか見張るためにいるのだ。毎回毎回我が儘ばかり言う元殿下に、騎士たちもイライラしている。
そりゃそうだろう、全く自分の状況の理解できていないのだから。本当にどうしようもない奴だな…
「おい、デイズ。悪いがもう俺は我慢できそうにない。さっさとあいつを処分しよう。あいつ、自分がどれほど恐ろしい事を行ったのか分かっていないぞ。本当にどうしようもない奴だ!」
「落ち着いてくれ。明日には、予定している森に差し掛かる。あと1日、どうか堪えてくれ」
今にも剣を抜きそうな騎士たちを必死に宥める。どうして僕が、こいつらをなだめないといけないのだろう…ただ、こいつらの気持ちもよく分かるが…
そしてついに、騎士団長と打ち合わせをしていた森に入った。僕は目的地に先回りして、馬車が来るのを待つ。しばらく待っていると、馬車がやって来た。そして予定通り、馬車が停まった。
予定通り、騎士たちがジェーン元殿下を引きずりおろした。
「君たち、僕を誰だと思っているんだ!こんなところに放り出すだなんて」
すかさず騎士たちに怒鳴っている。ただ、騎士たちもギロリと元殿下を睨んでいる。さすがに恐怖を感じたのか、元殿下が後ずさっている。
「誰って、犯罪者でしょう?あなたの様な我が儘でどうしようもない人間は、ぜひこの森で人生の幕を閉じて頂こうと思いましてね」
そう言うと、ニヤリと笑った騎士たち。そろそろ僕も登場するか。
「ふざけた事を言うな。早く北の街に僕を連れて行け!」
ギャーギャー元殿下が叫んでいる前に、僕が姿を現した。
「相変わらず、威勢だけは良いようですね。それにしても、本当にあなたはどうしようもない人だ」
「ど…どうしてデイズがここに居るのだ?もしかして、僕に文句を言いに来たのか?文句を言いたいのは僕の方だ。フランソアは僕のものだ!必ず僕は、フランソアを連れ戻すからな!」
「まだそんな戯言をおっしゃっているのですか?フランソアは僕の婚約者です。もう二度と、僕の可愛いフランソアの名前を呼ばないで下さい。まあ、もう二度と呼べなくなりますけれどね」
ニヤリと殿下に向かってほほ笑んだ後、スッと剣を抜いた。
「ま…待ってくれ!デイズ。まさか、僕を殺す気じゃないよね…」
「もちろん、そのつもりですが」
「お…落ち着いてくれ!フランソアは君にあげるから、どうか命だけは」
腰を抜かし、ガタガタと震えているジェーン元殿下。本当に情けない男だ。そもそもフランソアは君にあげるだと?本当にこの男は、最後までフランソアの事を何だと思っているのだろう。
体中から怒りがこみ上げて来た。
「悪いが許すつもりはない!お前は死に値する罪を犯したのだ。さようなら、ジェーン元殿下」
再びニヤリと笑うと、一気にあの男に切りかかった。
「ギャァァァァ」
悲鳴を上げ、倒れ込む元ジェーン殿下。ちょっと気合が入りすぎた様だな。それにかなりの返り血を浴びてしまった。
「デイズ、返り血をかなり浴びているぞ。この男の後始末は俺たちがやっておくから、お前は馬車の中で着替えを済ませて、早くフランソア嬢の元に戻ってやれ」
そう言ってくれたのは、かつての同僚の騎士たちだ。
「ありがとう、そうさせてもらうよ。それじゃあ、後はよろしく頼む」
これで全てが終わった。早くフランソアの元に帰ろう。
馬車の中で着替えを済ませ、足早に立ち去ったのであった。
※次回、最終話です。
よろしくお願いします。
ジェーン元殿下、自分の置かれている状況が分かっていない様で
「どうして僕がこんな質素な場所で食事をしないといけないのだ!」
「こんな狭い馬車に乗せるだなんて、腰が痛くてたまらないじゃないか」
などなど、休憩を取るために文句を言っていた。今回ジェーン元殿下に付けられた騎士は2人。騎士団長が言っていた通り、2人ともかつての僕の同僚だ。その上1人は、パーソティ侯爵家の次男だ。まさか彼を元殿下に付けるだなんて…
ちなみに彼らは元殿下を守るためにいるのではない。逃走しないか見張るためにいるのだ。毎回毎回我が儘ばかり言う元殿下に、騎士たちもイライラしている。
そりゃそうだろう、全く自分の状況の理解できていないのだから。本当にどうしようもない奴だな…
「おい、デイズ。悪いがもう俺は我慢できそうにない。さっさとあいつを処分しよう。あいつ、自分がどれほど恐ろしい事を行ったのか分かっていないぞ。本当にどうしようもない奴だ!」
「落ち着いてくれ。明日には、予定している森に差し掛かる。あと1日、どうか堪えてくれ」
今にも剣を抜きそうな騎士たちを必死に宥める。どうして僕が、こいつらをなだめないといけないのだろう…ただ、こいつらの気持ちもよく分かるが…
そしてついに、騎士団長と打ち合わせをしていた森に入った。僕は目的地に先回りして、馬車が来るのを待つ。しばらく待っていると、馬車がやって来た。そして予定通り、馬車が停まった。
予定通り、騎士たちがジェーン元殿下を引きずりおろした。
「君たち、僕を誰だと思っているんだ!こんなところに放り出すだなんて」
すかさず騎士たちに怒鳴っている。ただ、騎士たちもギロリと元殿下を睨んでいる。さすがに恐怖を感じたのか、元殿下が後ずさっている。
「誰って、犯罪者でしょう?あなたの様な我が儘でどうしようもない人間は、ぜひこの森で人生の幕を閉じて頂こうと思いましてね」
そう言うと、ニヤリと笑った騎士たち。そろそろ僕も登場するか。
「ふざけた事を言うな。早く北の街に僕を連れて行け!」
ギャーギャー元殿下が叫んでいる前に、僕が姿を現した。
「相変わらず、威勢だけは良いようですね。それにしても、本当にあなたはどうしようもない人だ」
「ど…どうしてデイズがここに居るのだ?もしかして、僕に文句を言いに来たのか?文句を言いたいのは僕の方だ。フランソアは僕のものだ!必ず僕は、フランソアを連れ戻すからな!」
「まだそんな戯言をおっしゃっているのですか?フランソアは僕の婚約者です。もう二度と、僕の可愛いフランソアの名前を呼ばないで下さい。まあ、もう二度と呼べなくなりますけれどね」
ニヤリと殿下に向かってほほ笑んだ後、スッと剣を抜いた。
「ま…待ってくれ!デイズ。まさか、僕を殺す気じゃないよね…」
「もちろん、そのつもりですが」
「お…落ち着いてくれ!フランソアは君にあげるから、どうか命だけは」
腰を抜かし、ガタガタと震えているジェーン元殿下。本当に情けない男だ。そもそもフランソアは君にあげるだと?本当にこの男は、最後までフランソアの事を何だと思っているのだろう。
体中から怒りがこみ上げて来た。
「悪いが許すつもりはない!お前は死に値する罪を犯したのだ。さようなら、ジェーン元殿下」
再びニヤリと笑うと、一気にあの男に切りかかった。
「ギャァァァァ」
悲鳴を上げ、倒れ込む元ジェーン殿下。ちょっと気合が入りすぎた様だな。それにかなりの返り血を浴びてしまった。
「デイズ、返り血をかなり浴びているぞ。この男の後始末は俺たちがやっておくから、お前は馬車の中で着替えを済ませて、早くフランソア嬢の元に戻ってやれ」
そう言ってくれたのは、かつての同僚の騎士たちだ。
「ありがとう、そうさせてもらうよ。それじゃあ、後はよろしく頼む」
これで全てが終わった。早くフランソアの元に帰ろう。
馬車の中で着替えを済ませ、足早に立ち去ったのであった。
※次回、最終話です。
よろしくお願いします。
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