前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません

Karamimi

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第17話:楽しい時間を過ごしました

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「ソフィーナ嬢は花が好きなのかい?それならもっと珍しい花が、奥に咲いているよ。一緒に見に行こう」

 あら?この声は。

「ファラオ。どうしてここにいるのだい?主役の君が、こんなところにいてはダメだろう。それにソラ嬢も放置して」

「虹の花なら俺も知っているし、ファラオはホールに戻った方がいいよ。ソフィーナ嬢、あっちに虹色に輝く花があるんだ。一緒に見に行こう」

 すっとセシル様が私の手を取ったのだ。

「虹色に光る花ですか?そんな美しい花があるだなんて。ぜひ見たいです。どっちですか?こっちかしら?」

「そっちじゃなくてこっちだよ。さあ、行こう。少し奥にあるから、足元に気を付けて」

「はい、ありがとうございます」

 確かにここからは、ライトアップされていない様だ。ふと隣のセシル様を見た。

「セシル様の赤い髪、月の光に照らされてとても綺麗ですわ。まるで炎の神様みたい」

 セシル様の燃える様な赤い髪。本当に素敵だ。彼は騎士団でかなり活躍していて、次期団長と言われている人。きっとものすごく強いのだろう。

「それは言うなら君は、月の女神様だね。銀色の髪が月の光に照らされて、とても綺麗だよ」

「確かにソフィーナ嬢の髪、月の光でキラキラと輝いているね。月に連れていかれそうで、不安になるほどに…」

 いつの間にかついて来ていたアレック様まで、その様な事を言いだしたのだ。これはお世辞合戦かしら?それなら

「それを言うならアレック様の青い髪も、とても素敵ですわ。海の神様ですね」

「海の神か。なんだか偉大だね」

 そう言ってアレック様が笑っていた。アレック様は非常に頭脳が高く、勉学に優れていらっしゃる方だ。よく考えてみるとお兄様のお友達は、皆才能に溢れている人ばかり。

「ソフィーナ嬢、見て。あれが虹色に輝く花だよ」

 アレック様が指さす先には

「本当に虹色に輝いていますわ。なんて綺麗なのかしら…こんなにも美しいお花、私、初めて見ましたわ。素敵…まるで天界にいるみたい…」

 それほどまでに神秘的なのだ。こんなにも幻想的な世界が、この世に存在しているだなんて。そう思うほど、美しいのだ。

「ソフィーナ嬢は、表現が非常に豊かなのだね。それに表情も豊かだし。君にそんな一面があるだなんて、僕はちっとも知らなかったよ」

 この声は、殿下だ。どうして殿下がまだここにいるのかしら?

「ここが天界なら、君は天女だね。本当に綺麗な髪だ」

 すっと私の髪をひと房掴むと、そのまま口づけをしたのだ。この人、一体何をしているのかしら?

「ファラオ、一体何をしているのだい。君にはソラ嬢がいるだろう。その様な事をするのは良くないよ」

「そうだよ。それに君は王太子だろう?節度は保つべきだ」

 2人が殿下に詰め寄っている。髪の毛を触られたくらい、どうってことないのだが…でも、確かにソラ様が見たら、きっといやな気持になるわよね。そもそも、好きな人がいるのに、他の女性の髪に口づけをするのは、さすがに非常識だわ。

「君たちは何か誤解をしている様だからはっきり言うが、僕とソラ嬢は…」

「ソフィーナ、ここにいたのだな。随分探したのだよ。さあ、帰ろう」

「お兄様!もう令嬢たちとの交流はよろしいのですか?」

「…ああ、もう十分だ。これ以上ここにいても面倒なだけだから、ソフィーナを迎えに来たのだよ。アレック、セシル、それにファラオ、ソフィーナを見ていてくれてありがとう」

「3人とも今日はありがとうございます。とても楽しい1日でしたわ。それでは私はこれで失礼いたします」

 お兄様の手を握り、笑顔で3人に手を振って別れた。

「ソフィーナ、大丈夫だったかい?彼らに何か嫌な事をされなかったかい?まさかファラオまで来ているだなんて、思わなかったよ。今日の主役がホールを抜け出すだなんて、あいつらしくない事をして、一体何を考えているのだか」

「嫌な事だなんて。むしろ色々とお話しが出来て楽しかったですわ。あんなにも酷い事をした私を許してくださるだけでなく、優しくしてくださったのです。感謝しかありません。

 それに今日はとても楽しかったですわ。色々な令息とのダンス、美味しいお料理、それに綺麗なお花。お兄様、私、虹色に光る花を見せていただいたのです。とっても綺麗でしたわ」

 まさか夜会がこんなにも楽しい場所だっただなんて。これからは夜会にも積極的に参加していこう。あわよくば友達が出来ると嬉しいな。


 ※次回、ソリティオ視点です。
 よろしくお願いします。
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