前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません

Karamimi

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第37話:思っていたのと違う様な…

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「それはつまり、僕の言う事を何でも聞いてくれるという事かい?」

 ニヤリと笑った殿下。

「私にできる事なら、協力いたしますわ。もちろん、できない事もあるかもしれませんが、殿下が幸せになれる様、全力を尽くします。これでも我が家は、この国一の大貴族ですので」

 任せて下さい!そう言わんばかりに、胸を叩いた。

「それで、殿下はどの令嬢と婚約をなさりたいのですか?もしかしてソラ様?それはちょっと無理ですが、他の令嬢でしたら、我が家が全力で推薦する事が出来ますわ。大丈夫です、お父様やお兄様は、私に弱いので。もちろん私も、その令嬢のバックアップをいたします」

 もしかして殿下は、男爵令嬢が好きとか?前世で入院中に読んでいた異世界恋愛もの。王太子殿下と男爵令嬢の恋が、よく書かれていた。身分違いの恋に、意地悪な公爵令嬢のライバル。

 様々な障害を乗り越え、最後は結ばれる2人。あぁ、なんて素敵なのかしら。ソラ様の恋愛も素敵だけれど、殿下の身分違いの恋も素敵ね。

 ダメだわ、妄想が止まらない。

「ソフィーナ嬢は、どんな妄想をしているのかな?とても嬉しそうな顔をしているね。それじゃあ、僕のお願いを聞いてくれるかい?」

「ええ、もちろんですわ。どこの男爵令嬢ですか?」

「男爵令嬢?何の話をしているのだい?」

 あら?お相手は男爵令嬢ではなかったのかしら?まあいいわ。

「申し訳ございません。何でもありません。それで、どちらの令嬢と婚約を結びたいのですか?それとも、結婚は考えていないとかですか?」

 どんどん妄想が膨らむ私。もう誰も私の妄想を止められないだろう。さて、どんな回答が来るのかしら?何だか楽しくなってきた。

「結婚は考えているよ。僕は王太子だからね。もちろん、自分で選んだ子と結婚したいと思っているのだよ。僕はずっと、その子と結婚したいと言っていたのだけれど、誰も聞き入れてくれなくてね。

 本人も最初は乗り気だったのだけれど…

 それでもやっと最近、周りが認めてくれはじめてね。だが、今度は本人が僕に全く興味を失ってしまって。彼女の父親からも“娘を無理に殿下の元に嫁がせるつもりはありません”と、言われてしまって…

 本当にうまくいかなくて、困っていたのだよ」

「まあ、すれ違いの恋愛を、殿下はされていたのですね。私でよろしければ、その令嬢を説得いたしますわ。それで、ご令嬢のお名前はなんとおっしゃるのですか?」

 真っすぐ殿下を見つめて、そう伝えた。殿下も私の目を真っすぐ見つめている。さあ、早く私に言ってください。私が全力でサポートしますから。そんな思いで、彼の瞳を見つめ続ける。

「その令嬢の名前はね…ソフィーナ・リレイスト。そう、君だよ、ソフィーナ嬢」

「そうですか、私ですか…えっ?私?」

 今なんて言った?私の事が好きですって?

「殿下、私をからかうのはお止め下さい。今そんなご冗談を言っている場合ではないでしょう!」

 人が真面目に相談に乗ろうとしているのに、まさかこの場で冗談を言うだなんて。そんな私の手を、ギュッと握って来た殿下。

 そして

「冗談じゃないよ。僕はずっと、君の事が好きだったんだ。私にできる事があれば、何でも協力すると言ってくれたよね。僕と婚約をしてくれるかい?」

 私が殿下と婚約ですって?それにずっと好きだった?この人は一体何を言っているの?あり得ないわ!

「で…殿下、ご冗談を言わないで下さい。ずっと好きだっただなんて。あんなどうしようもない私を、好きだってですって?あり得ませんわ」

「そうだね、皆そう言うけれど、でも僕は、昔から君が好きだったんだ。もちろん、今の素直な君の事も大好きだよ。ソフィーナ嬢、改めて僕と婚約を結んでくれるよね?」
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