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第38話:頭が混乱しています
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この人は何を言っているの?私をからかっているの?もしかして今まで散々殿下に迷惑をかけて来たから、仕返しをされているのかしら?
「ソフィーナ嬢、いいや…ソフィーナ。僕と婚約を結んでくれるよね。これからはずっと一緒にいようね」
いつの間にか私の隣に来ていた殿下が、私の髪をひと房とり、口づけをしたのだ。
「で…殿下、私をからかうのはお止め下さい。とにかく一度父に相談してみないと、私の一存では決められませんわ」
「公爵はソフィーナがいいと言えば、僕との婚約を認めると言ってくれているよ。だから君が“はい”と言えば、僕たちは晴れて婚約者同士だ」
「で…ですが、急にその様な事を言われても…」
「さっきソフィーナは言ってくれたよね。自分にできる事なら、何でもするって。僕の婚約者になる事など、そんなに難しい事ではないよね。それとも、あの言葉は嘘だったの?僕の事を、からかっただけだったとか?」
悲しそうな顔をする殿下。
「嘘だなんて、決してそのような事はございませんわ。ただ私は、殿下はてっきり私の事を嫌っているとばかり思っておりましたので。それで私が、殿下の恋のキューピットになろうと思ったのです。
殿下がソラ様とルドルフ様の恋の、キューピットになったように」
「それじゃあ、僕とソフィーナの恋のキューピットになってくれ。そうすれば、君の願いも叶うよ」
確かにそうなのだが…まさか私が殿下と婚約だなんて。だめだ、頭が付いていかない。一度家に帰って、気持ちを整理しないと。
「殿下、急用を思い出しましたわ。これで失礼…」
「今日は丸1日、ソフィーナは空いていると公爵から聞いているのだが…もしかして、僕との婚約が嫌すぎて、逃げ出そうとしているのかい?僕、そんなに魅力がない男かな…
そういえばアレックとセシルと、2人きりでデートをしたらしいね。それに定期的に文通もしていると聞いた。もしかして、彼らとの婚約を考えているのかい?アレック、セシル、どちらかが好きなのかい?」
殿下が笑顔で詰め寄って来る。ものすごく笑顔なのだが、目が笑っていない。何なの、この人、いつのも殿下とは違いすぎるわ。
「あ…あの…私は…その…」
どうしよう、アレック様もセシル様も、今は大切なお友達なのだが…そう言いたいが、うまく口が回らない。
「お取込み中、失礼いたします。リレイスト公爵殿が、お見えになられておられます」
使用人と一緒に入って来たのは、お父様だ。
「お父様!」
無意識にお父様に飛びついてしまった。さすがにはしたなかったが、今回ばかりは仕方がない。
「ソフィーナ、どうしたのだい?急に甘えて。可愛い子だ。殿下、申し訳ございません。急用が出来てしまって。今日はこれでお暇させていただきます。ソフィーナ、すまないな。せっかく殿下と話をしていたのに」
「いえ、私は…」
「公爵、話しが違うではありませんか。今日は1日、ソフィーナは時間があると」
「申し訳ございません、殿下。この穴埋めは、必ずいたしますので。それでは失礼いたします。ソフィーナ、帰ろう」
私の手をがっちり握ったお父様。
「殿下、申し訳ございません。失礼いたします」
「待って、まだ話は…」
「それでは失礼いたします」
殿下が何か言いかけていたが、覆いかぶさるようにお父様が殿下に挨拶をした。そして足早に部屋から出ると、急ぎ足で馬車に乗り込んだ。
「ソフィーナ、使用人から聞いたよ。殿下に無理やり婚約者にさせられそうになった様だね。まさか殿下が、その様な暴挙に出るだなんて」
「いえ、私が殿下に、何でも言う事を聞くと申し上げたのがいけなかったのですわ。私はてっきり、殿下は私との婚約を嫌がり、別の令嬢との婚約を望んでいるとばかり思っておりましたので」
まさかあの場で、私と婚約したいと言い出すだなんて、夢にも思っていなかったのだ。
「ソフィーナが殿下に、申し訳なく思う気持ちは分かる。だが、その言葉はまずかったね。とにかく殿下には、私から話しをしておくから」
「ありがとうございます、お父様。私の軽はずみな言葉のせいで、本当にごめんなさい」
口は災いの元。本当にその通りだ。今回の件で、軽はずみにあのような事を言ってはいけないという事を痛感した。
これからは、言葉選びには気を付けよう、そう心に決めたのだった。
※次回、ファラオ視点です。
よろしくお願いします。
「ソフィーナ嬢、いいや…ソフィーナ。僕と婚約を結んでくれるよね。これからはずっと一緒にいようね」
いつの間にか私の隣に来ていた殿下が、私の髪をひと房とり、口づけをしたのだ。
「で…殿下、私をからかうのはお止め下さい。とにかく一度父に相談してみないと、私の一存では決められませんわ」
「公爵はソフィーナがいいと言えば、僕との婚約を認めると言ってくれているよ。だから君が“はい”と言えば、僕たちは晴れて婚約者同士だ」
「で…ですが、急にその様な事を言われても…」
「さっきソフィーナは言ってくれたよね。自分にできる事なら、何でもするって。僕の婚約者になる事など、そんなに難しい事ではないよね。それとも、あの言葉は嘘だったの?僕の事を、からかっただけだったとか?」
悲しそうな顔をする殿下。
「嘘だなんて、決してそのような事はございませんわ。ただ私は、殿下はてっきり私の事を嫌っているとばかり思っておりましたので。それで私が、殿下の恋のキューピットになろうと思ったのです。
殿下がソラ様とルドルフ様の恋の、キューピットになったように」
「それじゃあ、僕とソフィーナの恋のキューピットになってくれ。そうすれば、君の願いも叶うよ」
確かにそうなのだが…まさか私が殿下と婚約だなんて。だめだ、頭が付いていかない。一度家に帰って、気持ちを整理しないと。
「殿下、急用を思い出しましたわ。これで失礼…」
「今日は丸1日、ソフィーナは空いていると公爵から聞いているのだが…もしかして、僕との婚約が嫌すぎて、逃げ出そうとしているのかい?僕、そんなに魅力がない男かな…
そういえばアレックとセシルと、2人きりでデートをしたらしいね。それに定期的に文通もしていると聞いた。もしかして、彼らとの婚約を考えているのかい?アレック、セシル、どちらかが好きなのかい?」
殿下が笑顔で詰め寄って来る。ものすごく笑顔なのだが、目が笑っていない。何なの、この人、いつのも殿下とは違いすぎるわ。
「あ…あの…私は…その…」
どうしよう、アレック様もセシル様も、今は大切なお友達なのだが…そう言いたいが、うまく口が回らない。
「お取込み中、失礼いたします。リレイスト公爵殿が、お見えになられておられます」
使用人と一緒に入って来たのは、お父様だ。
「お父様!」
無意識にお父様に飛びついてしまった。さすがにはしたなかったが、今回ばかりは仕方がない。
「ソフィーナ、どうしたのだい?急に甘えて。可愛い子だ。殿下、申し訳ございません。急用が出来てしまって。今日はこれでお暇させていただきます。ソフィーナ、すまないな。せっかく殿下と話をしていたのに」
「いえ、私は…」
「公爵、話しが違うではありませんか。今日は1日、ソフィーナは時間があると」
「申し訳ございません、殿下。この穴埋めは、必ずいたしますので。それでは失礼いたします。ソフィーナ、帰ろう」
私の手をがっちり握ったお父様。
「殿下、申し訳ございません。失礼いたします」
「待って、まだ話は…」
「それでは失礼いたします」
殿下が何か言いかけていたが、覆いかぶさるようにお父様が殿下に挨拶をした。そして足早に部屋から出ると、急ぎ足で馬車に乗り込んだ。
「ソフィーナ、使用人から聞いたよ。殿下に無理やり婚約者にさせられそうになった様だね。まさか殿下が、その様な暴挙に出るだなんて」
「いえ、私が殿下に、何でも言う事を聞くと申し上げたのがいけなかったのですわ。私はてっきり、殿下は私との婚約を嫌がり、別の令嬢との婚約を望んでいるとばかり思っておりましたので」
まさかあの場で、私と婚約したいと言い出すだなんて、夢にも思っていなかったのだ。
「ソフィーナが殿下に、申し訳なく思う気持ちは分かる。だが、その言葉はまずかったね。とにかく殿下には、私から話しをしておくから」
「ありがとうございます、お父様。私の軽はずみな言葉のせいで、本当にごめんなさい」
口は災いの元。本当にその通りだ。今回の件で、軽はずみにあのような事を言ってはいけないという事を痛感した。
これからは、言葉選びには気を付けよう、そう心に決めたのだった。
※次回、ファラオ視点です。
よろしくお願いします。
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