51 / 100
第51話:どうされたのですか?
しおりを挟む
「それでは私はこれで、失礼いたしますわ」
「待って、今日は君の家まで送らせてくれないかい?」
「私の家までですか?それは申し訳ないですわ。1人で帰れますので、大丈夫です」
「いいや、送らせてくれ。今日は少ししか、君との時間をとれなかっただろう?だから送っていくよ!」
すっと私の手を取り、ファラオ様が歩き出す。そこまで言って下さっているのなら、まあいいか。
馬車に2人で乗り込んだ。
「ファラオ様と馬車に乗るの、初めてですね。なんだか新鮮ですわ」
「確かにそうだね。ソフィーナとどこかに出掛ける事も、なかったものね。アレックやセシルとは、2人で出かけたのだったね」
「はい、お2人ともとてもよくしてくださって。そうそう、ちょうどあのあたりを、アレック様と出掛けましたの。私、街に出たのが初めてで。とても楽しく過ごせましたわ」
「…そう、それは良かったね…」
あら?何かまずい事を言ったかしら?声のトーンが低くなった様な…
「それで、セシルとはどうだったのだい?」
「えっと…セシル様と行った山は、とても綺麗な湖がありました。ボートに乗ったり花冠を作ったり。私、不器用でうまく花冠を作れなかったのですが、セシル様が丁寧に教えて下さって…それで…」
「そう、セシルが手取り足取り丁寧に教えてくれたんだ」
「ファラオ様?」
いつもニコニコしているファラオ様が真剣な顔で、私の隣に座ったのだ。そしてそっと私の髪に触れる。なんだか怒っているみたいだけれど。他の殿方の話をしたのがまずかったかしら?
「ソフィーナは僕がソラ嬢の件で動いている間に、楽しい事を沢山したのだね。アレックやセシルとも随分仲良くなっているみたいだし…」
「あの…私は…」
その瞬間、がたんと馬車が停まったのだ。窓の外を見ると、見慣れた我が家が。御者が扉を開けてくれた。
「ファラオ様、屋敷に着きましたわ。今日は送って下さり、ありがとうございます。それでは、私はこれで失礼いたします」
馬車の中で挨拶を済ませると、急いで降りる。
「待って、屋敷まで送っていくよ」
ファラオ様も一緒に降りてきたのだ。
「お帰り、ソフィーナ」
「「お帰り、ソフィーナ嬢」」
「アレック様、セシル様!」
なぜかお兄様と一緒に、アレック様とセシル様も私の事を出迎えてくれたのだ。
「どうしてアレックとセシルが、ソフィーナの家にいるのだい?まさか、ソフィーナを誘いに来たのか?」
「俺が2人を呼んだんだよ。領地の事で、2人に相談したい事があってね。それで今日はお昼にソフィーナが帰ってくることを話したら、2人も出迎えたいというから3人で待っていたのだよ。ファラオ、久しぶりだね。元気そうで何よりだ」
「そうだったのですね。アレック様とセシル様がいらっしゃるのなら、教えて下さればよかったのに。アレック様に教えてもらった本、とても面白くてすぐに読んでしまいましたわ。セシル様に頂いた木の実もとても美味しいかったです。その件でお礼も言いたくて」
「本を気に入ってくれてよかったよ。あの作者のお話しは、どれも面白いよ。また本屋に見に行こう」
「はい、ぜひ行きたいですわ」
「木の実も気に入ってくれてよかったよ。今度一緒に取りに行かないかい?とっておきの場所があるのだよ」
「そうなのですか?ぜひお供したいですわ」
ここ最近王宮にばかり足を運んでいて、2人に中々会えていなかったのだ。まさかこんなところで会う事が出来るだなんて。
「待って、今日は君の家まで送らせてくれないかい?」
「私の家までですか?それは申し訳ないですわ。1人で帰れますので、大丈夫です」
「いいや、送らせてくれ。今日は少ししか、君との時間をとれなかっただろう?だから送っていくよ!」
すっと私の手を取り、ファラオ様が歩き出す。そこまで言って下さっているのなら、まあいいか。
馬車に2人で乗り込んだ。
「ファラオ様と馬車に乗るの、初めてですね。なんだか新鮮ですわ」
「確かにそうだね。ソフィーナとどこかに出掛ける事も、なかったものね。アレックやセシルとは、2人で出かけたのだったね」
「はい、お2人ともとてもよくしてくださって。そうそう、ちょうどあのあたりを、アレック様と出掛けましたの。私、街に出たのが初めてで。とても楽しく過ごせましたわ」
「…そう、それは良かったね…」
あら?何かまずい事を言ったかしら?声のトーンが低くなった様な…
「それで、セシルとはどうだったのだい?」
「えっと…セシル様と行った山は、とても綺麗な湖がありました。ボートに乗ったり花冠を作ったり。私、不器用でうまく花冠を作れなかったのですが、セシル様が丁寧に教えて下さって…それで…」
「そう、セシルが手取り足取り丁寧に教えてくれたんだ」
「ファラオ様?」
いつもニコニコしているファラオ様が真剣な顔で、私の隣に座ったのだ。そしてそっと私の髪に触れる。なんだか怒っているみたいだけれど。他の殿方の話をしたのがまずかったかしら?
「ソフィーナは僕がソラ嬢の件で動いている間に、楽しい事を沢山したのだね。アレックやセシルとも随分仲良くなっているみたいだし…」
「あの…私は…」
その瞬間、がたんと馬車が停まったのだ。窓の外を見ると、見慣れた我が家が。御者が扉を開けてくれた。
「ファラオ様、屋敷に着きましたわ。今日は送って下さり、ありがとうございます。それでは、私はこれで失礼いたします」
馬車の中で挨拶を済ませると、急いで降りる。
「待って、屋敷まで送っていくよ」
ファラオ様も一緒に降りてきたのだ。
「お帰り、ソフィーナ」
「「お帰り、ソフィーナ嬢」」
「アレック様、セシル様!」
なぜかお兄様と一緒に、アレック様とセシル様も私の事を出迎えてくれたのだ。
「どうしてアレックとセシルが、ソフィーナの家にいるのだい?まさか、ソフィーナを誘いに来たのか?」
「俺が2人を呼んだんだよ。領地の事で、2人に相談したい事があってね。それで今日はお昼にソフィーナが帰ってくることを話したら、2人も出迎えたいというから3人で待っていたのだよ。ファラオ、久しぶりだね。元気そうで何よりだ」
「そうだったのですね。アレック様とセシル様がいらっしゃるのなら、教えて下さればよかったのに。アレック様に教えてもらった本、とても面白くてすぐに読んでしまいましたわ。セシル様に頂いた木の実もとても美味しいかったです。その件でお礼も言いたくて」
「本を気に入ってくれてよかったよ。あの作者のお話しは、どれも面白いよ。また本屋に見に行こう」
「はい、ぜひ行きたいですわ」
「木の実も気に入ってくれてよかったよ。今度一緒に取りに行かないかい?とっておきの場所があるのだよ」
「そうなのですか?ぜひお供したいですわ」
ここ最近王宮にばかり足を運んでいて、2人に中々会えていなかったのだ。まさかこんなところで会う事が出来るだなんて。
507
あなたにおすすめの小説
【完結】記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。
ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。
毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ
さくら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。
絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。
荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。
優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。
華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。
編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?
灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。
しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる