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第88話:このままだとソフィーナを失うかもしれない~ファラオ視点~
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「ソリティオ、ソフィーナが僕に会ってくれなくなったんだ。どうやら数日前に、アラン殿下から手紙を受け取ってから様子が変になった様で。今日はアラン殿下が、ソフィーナの家に行った様だよ。
一体ソフィーナの身に、何が起こっているのだい?アラン殿下に今さっき抗議に行ったのだが、自分は見舞いに行っただけだと、白々しい嘘を付いて。もしソフィーナを失ったら、僕はどうすれば…」
ショックでソファーに倒れ込む。どうしてこんな事になってしまったのだろう。
「落ち着いてくれ、ファラオ。実は少し前から、部屋から出てこなくなってしまっていて。アラン殿下から手紙を受け取ってから、様子が変なのは知っていたのだが…昨日俺も様子を見に行ったが、特に変わった様子はなくて。
ただ、使用人の話では、殿下から手紙は非常に分厚く、手紙をあけて中を見た瞬間、ソフィーナがかなり驚いていた様だったとの事だ。
一度俺からも、改めてソフィーナに話しを聞いてみるから。とにかく落ち着いてくれ」
「分かったよ、僕がソフィーナに会いたがっている旨を、しっかり伝えてほしい。それから、アラン殿下に何か酷い事をされたのかどうかも。それから…」
「分かったから。とにかく一旦落ち着いて、今はアラバシア王国との貿易に関する書類に集中しよう。彼らの帰国まで、もう10日もないのだから」
アラバシア王国との貿易。アラン殿下…正直あんな男のいる国と取引をするだなんて。
「ファラオ、君の気持ちは分かるが、公私は挟まないでくれ。ソフィーナの事は、俺が何とかするから」
そう言っていたソリティオだったが…
「すまない、ソフィーナは今、誰とも会いたくない様で。部屋に閉じこもって出てこないんだ。俺も何度も説得を試みたのだが、会えなくて…使用人の話では、少しだけ自分に時間が欲しい、どうか我が儘を聞き入れてくれと言っていた様で。
父上も母上も、ソフィーナの考えを尊重しようという事になったんだ。俺もソフィーナの事は心配だが、本人が出てくるまで見守ろうと思っている。だからファラオも、少し待っていてくれるかい?」
「少しとはどれくらいだい?一体どれくらい待てばいいのだい?どうして兄でもある君が、妹と会う事も出来ないのだい?おかしいだろう。やっぱり僕が…」
「ファラオが家に押しかけてきても、今は会えないよ。家長でもある父上が決めた事だからね。大丈夫だよ、今のソフィーナならきっと、間違った道には進まない。どうか俺の妹を、信じてやってくれないか」
ソリティオが僕を真っすぐ見つめる。僕だって、ソフィーナの事を信じている。ソフィーナは誰よりも優しくて、純粋で真っすぐな子だ。
だが…
「ファラオ、アラン殿下の事を心配しているのかい?彼はどのみち、あと10日もすれば帰っていくのだし。逆にソフィーナが部屋から出ないのなら、アラン殿下に会う事もないだろうし。そんなに心配しなくても大丈夫だよ。
父上も、アラン殿下がもし訪ねて来ても、絶対にソフィーナに会わせるなと、使用人や母上に伝えていたし。とにかくソフィーナが部屋から出てくるのを待とう」
「…分かったよ。ただ、警備だけは厳重に行ってくれ。万が一、ソフィーナが誘拐されたり、黙って屋敷を抜けだしたりしたら大変だから」
「君って人は。ソフィーナを疑っているのかい?でも、君の気持ちも分からなくはないよ。もしソフィーナが、アラン殿下にそそのかされていたら。そう考えたら不安だよね。
あの子は純粋で人を信じやすい、心の綺麗な子だから。その点は俺も父上も警戒しているから、どうか安心して欲しい」
安心しろだって?どこに安心できる要素があるというのだ?ソリティオがここまで使えない男だなんて思わなかった。
こうなったら少し強引にでも、ソフィーナに会いに行こう。そう思い、公爵家に向かったのだが、ソフィーナに会う事が出来なかった。
翌日も、その翌日もめげずにソフィーナに会いに行ったのだが、全く会う事が出来ない。諦めきれずに、ソフィーナの家の前でソフィーナを待つ。そんな僕に
「殿下、ソフィーナにはソフィーナの考えがございます。どうか少し、あの子にお時間を頂けないでしょうか?」
夫人に頭を下げられてしまったのだ。どうやってもソフィーナに会えない。僕は一体どうしたらいいのだろう…
※次回、ソフィーナ視点に戻ります。
よろしくお願いします。
一体ソフィーナの身に、何が起こっているのだい?アラン殿下に今さっき抗議に行ったのだが、自分は見舞いに行っただけだと、白々しい嘘を付いて。もしソフィーナを失ったら、僕はどうすれば…」
ショックでソファーに倒れ込む。どうしてこんな事になってしまったのだろう。
「落ち着いてくれ、ファラオ。実は少し前から、部屋から出てこなくなってしまっていて。アラン殿下から手紙を受け取ってから、様子が変なのは知っていたのだが…昨日俺も様子を見に行ったが、特に変わった様子はなくて。
ただ、使用人の話では、殿下から手紙は非常に分厚く、手紙をあけて中を見た瞬間、ソフィーナがかなり驚いていた様だったとの事だ。
一度俺からも、改めてソフィーナに話しを聞いてみるから。とにかく落ち着いてくれ」
「分かったよ、僕がソフィーナに会いたがっている旨を、しっかり伝えてほしい。それから、アラン殿下に何か酷い事をされたのかどうかも。それから…」
「分かったから。とにかく一旦落ち着いて、今はアラバシア王国との貿易に関する書類に集中しよう。彼らの帰国まで、もう10日もないのだから」
アラバシア王国との貿易。アラン殿下…正直あんな男のいる国と取引をするだなんて。
「ファラオ、君の気持ちは分かるが、公私は挟まないでくれ。ソフィーナの事は、俺が何とかするから」
そう言っていたソリティオだったが…
「すまない、ソフィーナは今、誰とも会いたくない様で。部屋に閉じこもって出てこないんだ。俺も何度も説得を試みたのだが、会えなくて…使用人の話では、少しだけ自分に時間が欲しい、どうか我が儘を聞き入れてくれと言っていた様で。
父上も母上も、ソフィーナの考えを尊重しようという事になったんだ。俺もソフィーナの事は心配だが、本人が出てくるまで見守ろうと思っている。だからファラオも、少し待っていてくれるかい?」
「少しとはどれくらいだい?一体どれくらい待てばいいのだい?どうして兄でもある君が、妹と会う事も出来ないのだい?おかしいだろう。やっぱり僕が…」
「ファラオが家に押しかけてきても、今は会えないよ。家長でもある父上が決めた事だからね。大丈夫だよ、今のソフィーナならきっと、間違った道には進まない。どうか俺の妹を、信じてやってくれないか」
ソリティオが僕を真っすぐ見つめる。僕だって、ソフィーナの事を信じている。ソフィーナは誰よりも優しくて、純粋で真っすぐな子だ。
だが…
「ファラオ、アラン殿下の事を心配しているのかい?彼はどのみち、あと10日もすれば帰っていくのだし。逆にソフィーナが部屋から出ないのなら、アラン殿下に会う事もないだろうし。そんなに心配しなくても大丈夫だよ。
父上も、アラン殿下がもし訪ねて来ても、絶対にソフィーナに会わせるなと、使用人や母上に伝えていたし。とにかくソフィーナが部屋から出てくるのを待とう」
「…分かったよ。ただ、警備だけは厳重に行ってくれ。万が一、ソフィーナが誘拐されたり、黙って屋敷を抜けだしたりしたら大変だから」
「君って人は。ソフィーナを疑っているのかい?でも、君の気持ちも分からなくはないよ。もしソフィーナが、アラン殿下にそそのかされていたら。そう考えたら不安だよね。
あの子は純粋で人を信じやすい、心の綺麗な子だから。その点は俺も父上も警戒しているから、どうか安心して欲しい」
安心しろだって?どこに安心できる要素があるというのだ?ソリティオがここまで使えない男だなんて思わなかった。
こうなったら少し強引にでも、ソフィーナに会いに行こう。そう思い、公爵家に向かったのだが、ソフィーナに会う事が出来なかった。
翌日も、その翌日もめげずにソフィーナに会いに行ったのだが、全く会う事が出来ない。諦めきれずに、ソフィーナの家の前でソフィーナを待つ。そんな僕に
「殿下、ソフィーナにはソフィーナの考えがございます。どうか少し、あの子にお時間を頂けないでしょうか?」
夫人に頭を下げられてしまったのだ。どうやってもソフィーナに会えない。僕は一体どうしたらいいのだろう…
※次回、ソフィーナ視点に戻ります。
よろしくお願いします。
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