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第57話:卒業式を迎えました
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翌日、少し早く起きた私は、いつも通り制服に袖を通し、鏡の前に立った。この制服を着るのも、今日で最後。そう思うと、なんだか寂しい気もする。初めてこの制服に袖を通した時、これから始まる生活に胸躍らせた。
沢山の友人たちと、お茶をしたりおしゃべりをしたり、そんな日々を夢見て。もちろん、大好きなラドル様との幸せな日々も、ずっと続くと思っていた。
でも…
私は全てを失った。友人も学校での居場所も、そして婚約者も。地獄の様な日々から私を救い出してくれたのは、ブラッド様だ。この半年色々とあったが、それでもなんとかやってこられたのは、ブラッド様のお陰だ。
それと同時に、この国の貴族たちに、絶望もした。そんな日々も、今日で終わりだ。最後の日くらいは、幸せな気持ちで終わりたい。
「お嬢様、ブラッド様がお部屋のお外でお待ちです」
鏡の前から全く動かない私に、恐る恐る声をかけてきた使用人。
「ちょっと考え事をしていて。すぐに行くわね」
急いで準備を整え、部屋の外に出る。
「おはよう、アントアーネ、いよいよ卒業だね」
「はい、いよいよ卒業ですね。やっとこの国の嫌な貴族たちとも、おさらばですわ。今日くらいは、穏便にいきたいですね」
最後ぐらいは、穏やかな気持ちで過ごしたい。そして、心を着なくリューズ王国に旅立ちたいのだ。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、なぜかブラッド様が苦笑いをしている。
「アントアーネ、そろそろ行こうか。そうそう、卒業後はクラスメートや貴族たちを呼んで、俺のお別れ会をやる事になっているのだよ」
「何ですって?その様な話は、聞いておりませんわ。卒業式後は、身内だけでひっそりとお祝いをしたかったのに…」
どうして苦手なクラスメートたちと、顔を合わせないといけないのかしら…でも、皆私の事を嫌っているから、来ないかもしれない。
「ちなみにどれくらい、参加されるのですか?」
「クラスメートはもちろん、他のクラスの生徒や在校生、その保護者、それに貴族学院とは関係のない貴族たちも大勢来てくれることになっているよ」
「そうなのですね…」
最後の最後まで、あの人たちの顔を見ないといけないだなんて。とはいえ、ブラッド様はリューズ王国の侯爵令息だ。ご両親もきているし、このままさようならという訳にもいかないのだろう。
分かってはいるが、なんだか複雑な気持ちだ。
「アントアーネ、そんなに悲しそうな顔をしないで。俺がずっと傍にいるし、それに何よりも大切なイベントなんだ。アントアーネには、絶対に嫌な思いなんてさせないから」
ブラッド様が、真剣な表情で訴えかけてくる。そんな彼に、笑顔を向けた。
「分かっておりますわ。卒業したら、この国ともお別れです。一応3年間一緒に勉強した仲間ですし、けじめを付けるためにも最後のパーティは、めいっぱい楽しみますわ」
「そう言ってもらえると、救われるよ。それじゃあ、最後の貴族学院へ向かおうか。両家の両親はまだ寝ている様だが、パーティまでには起きるだろう」
「お開きになった後も、話しに花を咲かせていた様ですものね…」
久しぶりに親友に会えた喜びは分かるが、一応今日は私達の卒業式なのだから、もう少し自粛して欲しかった。
とはいえ、夕方からはパーティも開かれる様だし、それまでにはさすがに起きてくるだろう。
「それでは参りましょう」
いつも通り、ブラッド様の手を取り馬車に向かう。そこにはお兄様とイリーネお姉様の姿があった。
「お兄様、イリーネお姉様、おはようございます。私たちの為に、待っていてくれたのですか?」
「ええ、そうよ。アントアーネちゃんとブラッド様の卒業式のお見送りをしたくてね。アントアーネちゃん、よく頑張ったわね。あなたは立派よ」
そう言うと、イリーネお姉様が抱きしめてくれた。よく頑張った…その言葉が、胸に突き刺さる。
「イリーネ嬢、まだアントアーネは卒業しておりませんよ。それでは、遅刻すると大変ですので」
それとなくブラッド様によって引き離され、そのまま腕を引かれて馬車に乗り込んだ。なんだかブラッド様が不機嫌な様だが、きっと気のせいだろう。
沢山の友人たちと、お茶をしたりおしゃべりをしたり、そんな日々を夢見て。もちろん、大好きなラドル様との幸せな日々も、ずっと続くと思っていた。
でも…
私は全てを失った。友人も学校での居場所も、そして婚約者も。地獄の様な日々から私を救い出してくれたのは、ブラッド様だ。この半年色々とあったが、それでもなんとかやってこられたのは、ブラッド様のお陰だ。
それと同時に、この国の貴族たちに、絶望もした。そんな日々も、今日で終わりだ。最後の日くらいは、幸せな気持ちで終わりたい。
「お嬢様、ブラッド様がお部屋のお外でお待ちです」
鏡の前から全く動かない私に、恐る恐る声をかけてきた使用人。
「ちょっと考え事をしていて。すぐに行くわね」
急いで準備を整え、部屋の外に出る。
「おはよう、アントアーネ、いよいよ卒業だね」
「はい、いよいよ卒業ですね。やっとこの国の嫌な貴族たちとも、おさらばですわ。今日くらいは、穏便にいきたいですね」
最後ぐらいは、穏やかな気持ちで過ごしたい。そして、心を着なくリューズ王国に旅立ちたいのだ。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、なぜかブラッド様が苦笑いをしている。
「アントアーネ、そろそろ行こうか。そうそう、卒業後はクラスメートや貴族たちを呼んで、俺のお別れ会をやる事になっているのだよ」
「何ですって?その様な話は、聞いておりませんわ。卒業式後は、身内だけでひっそりとお祝いをしたかったのに…」
どうして苦手なクラスメートたちと、顔を合わせないといけないのかしら…でも、皆私の事を嫌っているから、来ないかもしれない。
「ちなみにどれくらい、参加されるのですか?」
「クラスメートはもちろん、他のクラスの生徒や在校生、その保護者、それに貴族学院とは関係のない貴族たちも大勢来てくれることになっているよ」
「そうなのですね…」
最後の最後まで、あの人たちの顔を見ないといけないだなんて。とはいえ、ブラッド様はリューズ王国の侯爵令息だ。ご両親もきているし、このままさようならという訳にもいかないのだろう。
分かってはいるが、なんだか複雑な気持ちだ。
「アントアーネ、そんなに悲しそうな顔をしないで。俺がずっと傍にいるし、それに何よりも大切なイベントなんだ。アントアーネには、絶対に嫌な思いなんてさせないから」
ブラッド様が、真剣な表情で訴えかけてくる。そんな彼に、笑顔を向けた。
「分かっておりますわ。卒業したら、この国ともお別れです。一応3年間一緒に勉強した仲間ですし、けじめを付けるためにも最後のパーティは、めいっぱい楽しみますわ」
「そう言ってもらえると、救われるよ。それじゃあ、最後の貴族学院へ向かおうか。両家の両親はまだ寝ている様だが、パーティまでには起きるだろう」
「お開きになった後も、話しに花を咲かせていた様ですものね…」
久しぶりに親友に会えた喜びは分かるが、一応今日は私達の卒業式なのだから、もう少し自粛して欲しかった。
とはいえ、夕方からはパーティも開かれる様だし、それまでにはさすがに起きてくるだろう。
「それでは参りましょう」
いつも通り、ブラッド様の手を取り馬車に向かう。そこにはお兄様とイリーネお姉様の姿があった。
「お兄様、イリーネお姉様、おはようございます。私たちの為に、待っていてくれたのですか?」
「ええ、そうよ。アントアーネちゃんとブラッド様の卒業式のお見送りをしたくてね。アントアーネちゃん、よく頑張ったわね。あなたは立派よ」
そう言うと、イリーネお姉様が抱きしめてくれた。よく頑張った…その言葉が、胸に突き刺さる。
「イリーネ嬢、まだアントアーネは卒業しておりませんよ。それでは、遅刻すると大変ですので」
それとなくブラッド様によって引き離され、そのまま腕を引かれて馬車に乗り込んだ。なんだかブラッド様が不機嫌な様だが、きっと気のせいだろう。
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