私だってあなたなんて願い下げです!これからの人生は好きに生きます

Karamimi

文字の大きさ
41 / 53

第41話:正式に婚約する事になりました

しおりを挟む
「ジャンヌ、今日お前の家に両親と一緒に行く事になっている。そこでこれからの話をしよう」

「お父様からグラディオン達が来ることは、朝聞いたわ。お父様ったら、ソワソワしちゃって。色々と聞いたい事があっただろうに、何も聞いてこなかったわ」

「やっぱり今日の団長、様子がおかしかったよな。俺も少し話をしたのだが、目が泳いでいて何か聞きたそうだったが、特に何も聞いてくることはなかったよ」

「グラディオンにもそんな対応だったのね。お父様ったら」

今朝のお父様の様子を思い出すと、つい笑みがこぼれる。あんなお父様の姿、初めて見たわ。

「それじゃあジャンヌ、また後でな。気を付けて帰れよ」

「ええ、それじゃあね」

グラディオンと別れ、馬車に乗り込み家路につく。すると、一足早く帰って来ていたお父様が、玄関前でウロウロとしていた。

「ただいま帰りました…お父様、何をなさっているのですか?」

「ジャンヌか、いや。何でもない」

何でもないという割には、なんだかソワソワしている。

「ジャンヌ、お帰り。この人の事は気にしなくていいわ。昨日ガルディス侯爵様から連絡があって以降、ずっとこんな感じなのよ。そうそう、ジャンヌ、あなたが今朝メイドに頼んでいたエメラルドグリーンのドレス、私が選んでおいたわよ」

お母様がそう言うと、ウインクをしている。お母様、私とグラディオンが恋仲で、婚約したいと言い出すことを分かっているのだろう。

「ありがとうございます、お母様。それでは私は準備がありますのでこれで」

自室に戻るとすぐに湯あみをし、お母様が準備してくれたエメラルドグリーンのドレスに着替えた。

「お嬢様、とてもお似合いですわ。お嬢様はこういったお色もお似合いになられるのですね。きっとグラディオン様もお喜びに…申し訳ございません、何でもありません」

急いで口を押えるメイド。

「いいのよ、あなたももう分かっているのでしょう?私とグラディオンが婚約したい旨を今日、両親に伝える事を」

「やはりそうでしたか。お嬢様、おめでとうございます」

「「「おめでとうございます」」」

「ありがとう、皆。次こそは幸せになるわね」

一度失敗しているのだ、次こそは絶対に幸せにならないと。

さあ、準備が出来たわ。私も玄関へと向かう。すると、ちょうどグラディオンのご両親とグラディオンがやってきたところだった。

「ガルディス侯爵、夫人、グラディオンもようこそおいでくださいました」

令嬢らしくカーテシーを決める。

「ジャンヌが令嬢みたいで、なんだか変な感じがするな」

「あら、私はこれでも伯爵令嬢よ。令嬢としての知識も教養もしっかり身に付けて来たつもりだし。いつでもグラディオンの元に…いいえ、何でもないわ」

いけない、ついうっかりと、いつでも嫁げると言いかけてしまった。

「ジャンヌ嬢、今日のドレス、とても素敵よ。よく似合っているわ」

「本当ですか?ありがとうございます、おば様」

しまった、ここはガルディス夫人の呼んだ方がよかったかしら?まあいいか。

「立ち話も何ですから、どうぞこちらへ」

お父様がガルディス侯爵たちを客間へと案内した。それぞれソファに腰を下ろす。私はもちろん、グラディオンの隣を陣取った。

そんな私の姿を見た女性陣がクスクスと笑っていた。何がおかしいのかしら?

「マリアーズ伯爵、夫人、今日は急にお邪魔してしまい、申し訳なかった。実は我が息子、グラディオンの婚約者に、ジャンヌ嬢をと考え、ご相談に来た次第です。どうかジャンヌ嬢を、グラディオンの婚約者にして頂けないでしょうか?」

グラディオンのお父様が、私の両親に頭を下げたのだ。

「ガルディス侯爵、どうか頭を上げて下さい。私は前々から、グラディオン…殿がジャンヌの婚約者になってくれたらと考えておりました。ただ、グラディオン殿が、ジャンヌの気持ちを大切にしたいとおっしゃって下りまして。彼の優しさを無下にするのもどうかと思い、今まで黙っていた所存です。こんな娘でよろしければ、どうか貰ってやってください」

お願いしますと言わんばかりに、お父様が頭を下げた。ただ…こんな娘とは失礼な。

「ジャンヌ嬢は素敵なお嬢さんですわ。武術だけでなく、知識や教養、さらに心の強さと優しさを持っております。そんな素敵な女性をグラディオンの婚約者にして頂けるだなんて、光栄ですわ」

すかさずグラディオンのお母様が、フォローしてくれた。

「それではグラディオンとジャンヌ嬢を婚約させるという話で、よろしいでしょうか?」

「はい、もちろんです。どうか娘をよろしくお願いします」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる

kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。 いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。 実はこれは二回目の人生だ。 回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。 彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。 そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。 その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯ そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。 ※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。 ※ 設定ゆるゆるです。

【完結】見えてますよ!

ユユ
恋愛
“何故” 私の婚約者が彼だと分かると、第一声はソレだった。 美少女でもなければ醜くもなく。 優秀でもなければ出来損ないでもなく。 高貴でも無ければ下位貴族でもない。 富豪でなければ貧乏でもない。 中の中。 自己主張も存在感もない私は貴族達の中では透明人間のようだった。 唯一認識されるのは婚約者と社交に出る時。 そしてあの言葉が聞こえてくる。 見目麗しく優秀な彼の横に並ぶ私を蔑む令嬢達。 私はずっと願っていた。彼に婚約を解消して欲しいと。 ある日いき過ぎた嫌がらせがきっかけで、見えるようになる。 ★注意★ ・閑話にはR18要素を含みます。  読まなくても大丈夫です。 ・作り話です。 ・合わない方はご退出願います。 ・完結しています。

その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*

音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。 塩対応より下があるなんて……。 この婚約は間違っている? *2021年7月完結

殿下、毒殺はお断りいたします

石里 唯
恋愛
公爵令嬢エリザベスは、王太子エドワードから幼いころから熱烈に求婚され続けているが、頑なに断り続けている。 彼女には、前世、心から愛した相手と結ばれ、毒殺された記憶があり、今生の目標は、ただ穏やかな結婚と人生を全うすることなのだ。 容姿端麗、文武両道、加えて王太子という立場で国中の令嬢たちの憧れであるエドワードと結婚するなどとんでもない選択なのだ。 彼女の拒絶を全く意に介しない王太子、彼女を溺愛し生涯手元に置くと公言する兄を振り切って彼女は人生の目標を達成できるのだろうか。 「小説家になろう」サイトで完結済みです。大まかな流れに変更はありません。 「小説家になろう」サイトで番外編を投稿しています。

【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ

・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。 アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。 『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』 そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。 傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。 アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。 捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。 --注意-- こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。 一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。 二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪ ※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。 ※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。

あなただけが私を信じてくれたから

樹里
恋愛
王太子殿下の婚約者であるアリシア・トラヴィス侯爵令嬢は、茶会において王女殺害を企てたとして冤罪で投獄される。それは王太子殿下と恋仲であるアリシアの妹が彼女を排除するために計画した犯行だと思われた。 一方、自分を信じてくれるシメオン・バーナード卿の調査の甲斐もなく、アリシアは結局そのまま断罪されてしまう。 しかし彼女が次に目を覚ますと、茶会の日に戻っていた。その日を境に、冤罪をかけられ、断罪されるたびに茶会前に回帰するようになってしまった。 処刑を免れようとそのたびに違った行動を起こしてきたアリシアが、最後に下した決断は。

処理中です...