私だってあなたなんて願い下げです!これからの人生は好きに生きます

Karamimi

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第45話:ファビレスと一緒に買い物に行きます

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「ジャンヌ、来週はジャンヌの16歳の誕生日と俺たちの婚約披露パーティだな」

「そうね、楽しみだわ。お義母様が準備してくださったドレスも、昨日届いたのよ。とても素敵なデザインで、今から着るのが楽しみだわ」

私達の婚約が決まってから、約1ヶ月。びっくりする程順調に事が進んでいる。一応私も、時期侯爵夫人になる事が決まっている事もあり、騎士団の訓練はもちろん、再びマナーレッスンなども受けている。

グラディオンも今後次期侯爵になるため、騎士団の稽古の傍ら、お義父様から領地経営などを学んでいる。実は1週間ほど前、騎士団の稽古をお休みして、グラディオンのご両親と一緒に、4人でガルディス侯爵家の領地に視察にも行って来た。

2泊3日と短い期間ではあったが、ガルディス侯爵領の人々の暮らしが見られて本当によかった。ガルディス侯爵領には海もあり、船に乗って漁にも連れて行ってもらった。

サンゴや真珠などを使ったアクセサリー工場や、魚介類の加工工場の見学も楽しかった。お義母様とのショッピングも。

短い時間ではあったが、本当に充実した時間を過ごしたのだ。それに、グラディオンのご両親とも随分と仲良くなれた。

とても忙しい日々を送っているが、それでも物凄く幸せだ。グラディオンは次期騎士団長になる事も、大方決まっている。私もグラディオンを少しでも助けるため、少しずつ領地経営の勉強も取り入れようと思っている。

ただグラディオンは

“ジャンヌと結婚出来るだけで俺は幸せなんだ。だから俺は、ある程度の事は何でも自分でこなしたいと思っているし、社交界にも2人で参加したいと思っている”

そう言ってくれている。私のお父様は、騎士団の仕事を理由に、社交界関係はお母様に押し付けていたものね。最近はお母様に言われて、随分と社交界にも顔を出すようになったけれど…

きっとグラディオンは、お母様の様に私にだけ負担を掛ける様なことはしたくないと考えているのだろう。本当に、グラディオンらしいわ。

「ジャンヌ、ボーっとしてどうしたんだ?そういえば今日、午後からファビレスと一緒に、買い物に行くとか言っていたな」

「ええ、ファビレス、今気になる令嬢がいるのですって。その子に贈り物を贈りたいみたいで、それで私が選ぶことになったの」

「ジャンヌが選ぶのか…まあ、ジャンヌも一応令嬢だからな」

「それ、どういう意味よ。私だって、最近はお義母様と一緒に、ショッピングを楽しむ事だってあるのよ。この前はアリスとお買い物にも行ったし。令嬢の好みは把握しているつもりよ」

頬を膨らませ、グラディオンに抗議をする。なんだかんだ言って、私たちは今でもこんな感じなのだ。正直もっと甘い関係を少しだけ期待していたが、まあ、現実はこんなものなのだろう。

「そんなに怒るなよ。ジャンヌ、ファビレスなら大丈夫だろうが、気を付けて行って来いよ。本当は俺も付き合ってやりたいのだが、どうしても外せない用事があってな」

あら?私の事を心配してくれているのね。

「大丈夫よ、私、強いから」

そう笑顔で伝えておいた。

そして午後

「グラディオン隊長、ジャンヌをお借りしますね」

「ああ、いい商品が見つかるといいな。気を付けて行って来いよ」

なんだかんだ言って、馬車まで見送りに来てくれたグラディオン。

「それじゃあ、行ってくるわ」

ギュッとグラディオンに抱き着くと、そのまま馬車に乗り込んだ。なんだか少し頭がボーっとするのだけれど、気のせいかしら?

「ジャンヌ、今日は僕に付き合ってくれて、ありがとう。実は今日、珍しい宝石商のお店を見つけて。そこでアクセサリーを選んでもらいたいのだけれど、いいかな?」

「ええ、もちろんよ。これでも私、最近は少しづつアクセサリーにも詳しくなったのよ。きっと素敵なアクセサリーを選んであげるわ」

胸を叩いてアピールをする。

「ファビレス、王都から外れている様だけれど…」

「宝石商のお店は、王都の外れにあるのだよ。知る人ぞ知るお店なんだ。そうだ、せっかくだから、ジャンヌも好きな宝石を選んでいくといいよ」

「そうなのね。分かったわ、それじゃあ、私も好きな宝石を選ばせてもらおうかしら?なんだか楽しみになって来たわ」

そんな話をしているうちに、一軒の小さなお家が見えて来た。

「もしかして、あのお家が宝石商なの?お店っぽくないわね」

「お店っぽくないのが、いいんだよ。あまりお店っぽくすると、どんどんお客さんが来ちゃうだろう?知る人ぞ知るみたいな感じを出すために、平民の家をモチーフに作られているそうなんだ。さあ、着いたよ。行こうか」

小さなお家の前で馬車が停まった。周りを見渡すが、この家以外何もないのね。そう思いつつ、馬車から降りたのだった。
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