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第12話:あの女が怖い~アルフレッド視点~
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「すまない、アルフレッド。カリーナ殿下がかなりしつこくて。申し訳ないが、直接殿下に話しをしてもらえないだろうか?」
そう言って頭を下げる義父上。
「分かりました、それでは一度カリーナ殿下と話をしてみます」
これ以上、義父上に迷惑を掛ける訳にはいかない。そんな思いから、カリーナ殿下に会う事にした。
翌日、義父上と一緒に登城する。相変わらずクリスティーヌは僕を嫌い、部屋から出てこない。それでも僕が愛しているのは、クリスティーヌただ1人なのだ。そんな思いで、王宮へとやって来た。
「アルフレッド様、お待ちしておりましたわ。さあ、どうぞこちらへ」
案内された部屋に向かうと、嬉しそうに微笑みながら僕を席へと案内してくれたカリーナ殿下。
「カリーナ殿下、申し訳ございません。以前もお話しさせていただきましたが、私には心から愛している令嬢がおります。ですから…」
「ええ、知っておりますわ。クリスティーヌ様ですわよね。でも彼女、あなた様の事を避けているそうではありませんか。それにあなた様は幼い頃両親を事故で亡くし、アレスティー公爵家でお世話のなっていると聞きましたわ。お可哀そうに、公爵に娘と結婚して、公爵家を継ぐように言い聞かされているのでしょう?」
この女は何を言っているのだろう。義父上はそんな人ではない!
「何か誤解されている様なので、はっきりと申し上げます。アレスティー公爵は私とクリスティーヌを無理やり結婚させようとはしておりません。それに義父上は、私に“たとえ娘と結婚しなくても、公爵家を継いでほしい”と言ってくれるような優しい方です。ですので、義父上を悪く言うのはやめて下さい!」
そう彼女に告げた。
「そうでしたか、それはごめんなさい。でも、クリスティーヌ様があなた様を避けているのは本当でしょう?いくら思っても、あなた様は決して彼女とは結ばれない。それなら、私と婚約した方がよろしいのではなくって?私も容姿には自信があるのですのよ」
そう言うと、僕に近づいて来たカリーナ殿下。
「申し訳ございませんが、私はあなた様と婚約するつもりはありません。ですから…」
「私はあの日、あなた様を一目見て恋に落ちたのです。そう、これは運命なの!あなた以外の人間と結婚なんて考えられないわ!とにかく、私はあなたと結婚したいのです。もしあなたと結婚できないなら、あなたも絶対に幸せに何てさせませんわ!」
急に目を大きく見開き、カリーナ殿下がそう叫んだ。そしてニヤリと笑ったのだ。その瞬間、背筋が凍るような感覚に襲われる。直感でこの女とは関わってはいけない…とても危険なにおいがするというか、なんと言うか…
「それでも私は、あなた様とは結婚できません。本当に申し訳ございませんが、別の方を当ってください」
彼女に頭を下げ、部屋から出て行こうとする。
「あなた、私との婚約を断った事、絶対に後悔させてあげる。あなたは絶対に、クリスティーヌ様とは幸せになれないのだから!」
後ろでそんな叫び声が聞こえたが、聞こえないふりをして急いで部屋から出て行った。そしてそのまま、義父上の元へと向かう。
「アルフレッド、どうしたのだい?真っ青な顔をしているではないか?大丈夫かい?」
「ええ…大丈夫です。ただ、ちょっと体調が良くないので、屋敷に戻りたいのですが…」
「ああ、もちろんだ。すぐに屋敷に戻ろう」
義父上と一緒に屋敷へと戻ってきた。そしてそのまま、自室に閉じこもる。
“私との婚約を断った事、絶対に後悔させてあげる。あなたは絶対に、クリスティーヌ様とは幸せになれないのだから!”
その言葉が頭から離れない。もしもクリスティーヌに何かされたら…そう考えると恐怖で震えた。こんな時はクリスティーヌの顔を見たいのに、当のクリスティーヌは全く部屋から出てこない。
恐怖と不安で、その日は一睡もできなかった。それからと言うもの、僕は今まで以上に義父上に付いて回り、当主になる為の勉強に励んだ。少しでも油断すると、カリーナ殿下の最後に吐き捨てた言葉が蘇るのだ。
ただ、あの日以降、カリーナ殿下が僕を呼び出すことはなかった。
そして僕たちが12歳を過ぎた頃、王宮主催のお茶会に参加する事になった。今回のお茶会では、この国の王太子殿下、カロイド殿下も参加するとあって、既に話題になっていた。彼はとても美しく、聡明で優しく令嬢たちからもかなり人気の高い方だ。
今までたまたまクリスティーヌは殿下にお会いする機会がなかったが…もし今回のお茶会で、クリスティーヌが美しいカロイド殿下に恋をしたら…そう考えると、気が狂いそうだった。
それに何よりも、今回のお茶会には、あの女、カリーナ殿下も参加している。もしカリーナ殿下がクリスティーヌに何かしたら…考えれば考えるほど、不安が増していく。
僕はそんな不安を抱えたまま、ついに当日を迎えた。クリスティーヌと一緒に馬車に乗り込み、王宮へと向かう。
「アルフレッド様、どうか今日も私に話し掛けないで下さいね」
そう冷たく言い放つクリスティーヌ。それでも僕は、クリスティーヌと一緒に馬車に乗れるのが嬉しくてたまらない。ひと時の幸せを味わった後、お茶会へと向かう。
でもこのお茶会で、僕の嫌な予想は的中してしまう。殿下の美しさにノックアウトされたクリスティーヌは、ずっとカロイド殿下の傍から離れない。さらにカロイド殿下も、まんざらではない様だ。
そんな…
そう言って頭を下げる義父上。
「分かりました、それでは一度カリーナ殿下と話をしてみます」
これ以上、義父上に迷惑を掛ける訳にはいかない。そんな思いから、カリーナ殿下に会う事にした。
翌日、義父上と一緒に登城する。相変わらずクリスティーヌは僕を嫌い、部屋から出てこない。それでも僕が愛しているのは、クリスティーヌただ1人なのだ。そんな思いで、王宮へとやって来た。
「アルフレッド様、お待ちしておりましたわ。さあ、どうぞこちらへ」
案内された部屋に向かうと、嬉しそうに微笑みながら僕を席へと案内してくれたカリーナ殿下。
「カリーナ殿下、申し訳ございません。以前もお話しさせていただきましたが、私には心から愛している令嬢がおります。ですから…」
「ええ、知っておりますわ。クリスティーヌ様ですわよね。でも彼女、あなた様の事を避けているそうではありませんか。それにあなた様は幼い頃両親を事故で亡くし、アレスティー公爵家でお世話のなっていると聞きましたわ。お可哀そうに、公爵に娘と結婚して、公爵家を継ぐように言い聞かされているのでしょう?」
この女は何を言っているのだろう。義父上はそんな人ではない!
「何か誤解されている様なので、はっきりと申し上げます。アレスティー公爵は私とクリスティーヌを無理やり結婚させようとはしておりません。それに義父上は、私に“たとえ娘と結婚しなくても、公爵家を継いでほしい”と言ってくれるような優しい方です。ですので、義父上を悪く言うのはやめて下さい!」
そう彼女に告げた。
「そうでしたか、それはごめんなさい。でも、クリスティーヌ様があなた様を避けているのは本当でしょう?いくら思っても、あなた様は決して彼女とは結ばれない。それなら、私と婚約した方がよろしいのではなくって?私も容姿には自信があるのですのよ」
そう言うと、僕に近づいて来たカリーナ殿下。
「申し訳ございませんが、私はあなた様と婚約するつもりはありません。ですから…」
「私はあの日、あなた様を一目見て恋に落ちたのです。そう、これは運命なの!あなた以外の人間と結婚なんて考えられないわ!とにかく、私はあなたと結婚したいのです。もしあなたと結婚できないなら、あなたも絶対に幸せに何てさせませんわ!」
急に目を大きく見開き、カリーナ殿下がそう叫んだ。そしてニヤリと笑ったのだ。その瞬間、背筋が凍るような感覚に襲われる。直感でこの女とは関わってはいけない…とても危険なにおいがするというか、なんと言うか…
「それでも私は、あなた様とは結婚できません。本当に申し訳ございませんが、別の方を当ってください」
彼女に頭を下げ、部屋から出て行こうとする。
「あなた、私との婚約を断った事、絶対に後悔させてあげる。あなたは絶対に、クリスティーヌ様とは幸せになれないのだから!」
後ろでそんな叫び声が聞こえたが、聞こえないふりをして急いで部屋から出て行った。そしてそのまま、義父上の元へと向かう。
「アルフレッド、どうしたのだい?真っ青な顔をしているではないか?大丈夫かい?」
「ええ…大丈夫です。ただ、ちょっと体調が良くないので、屋敷に戻りたいのですが…」
「ああ、もちろんだ。すぐに屋敷に戻ろう」
義父上と一緒に屋敷へと戻ってきた。そしてそのまま、自室に閉じこもる。
“私との婚約を断った事、絶対に後悔させてあげる。あなたは絶対に、クリスティーヌ様とは幸せになれないのだから!”
その言葉が頭から離れない。もしもクリスティーヌに何かされたら…そう考えると恐怖で震えた。こんな時はクリスティーヌの顔を見たいのに、当のクリスティーヌは全く部屋から出てこない。
恐怖と不安で、その日は一睡もできなかった。それからと言うもの、僕は今まで以上に義父上に付いて回り、当主になる為の勉強に励んだ。少しでも油断すると、カリーナ殿下の最後に吐き捨てた言葉が蘇るのだ。
ただ、あの日以降、カリーナ殿下が僕を呼び出すことはなかった。
そして僕たちが12歳を過ぎた頃、王宮主催のお茶会に参加する事になった。今回のお茶会では、この国の王太子殿下、カロイド殿下も参加するとあって、既に話題になっていた。彼はとても美しく、聡明で優しく令嬢たちからもかなり人気の高い方だ。
今までたまたまクリスティーヌは殿下にお会いする機会がなかったが…もし今回のお茶会で、クリスティーヌが美しいカロイド殿下に恋をしたら…そう考えると、気が狂いそうだった。
それに何よりも、今回のお茶会には、あの女、カリーナ殿下も参加している。もしカリーナ殿下がクリスティーヌに何かしたら…考えれば考えるほど、不安が増していく。
僕はそんな不安を抱えたまま、ついに当日を迎えた。クリスティーヌと一緒に馬車に乗り込み、王宮へと向かう。
「アルフレッド様、どうか今日も私に話し掛けないで下さいね」
そう冷たく言い放つクリスティーヌ。それでも僕は、クリスティーヌと一緒に馬車に乗れるのが嬉しくてたまらない。ひと時の幸せを味わった後、お茶会へと向かう。
でもこのお茶会で、僕の嫌な予想は的中してしまう。殿下の美しさにノックアウトされたクリスティーヌは、ずっとカロイド殿下の傍から離れない。さらにカロイド殿下も、まんざらではない様だ。
そんな…
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