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第13話:これは夢なのか?~アルフレッド視点~
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僕の愛するクリスティーヌは、カロイド殿下に取られてしまうのか?そんなのは嫌だ…
地獄に叩き落され、絶望にどん底にいる僕に近づいてきたのは、カリーナ殿下が。
「あら、アルフレッド様。ごきげんよう。見て下さい、お兄様とクリスティーヌ様、本当に仲睦まじいですわね。だから言ったでしょう。私を選んでおけばよかったのに…バカな男。でも、私は優しいから、今からでも自分の行いを反省し、私を選ぶというなら、許してあげても…」
「僕が愛しているのは、クリスティーヌただ1人です。申し訳ないのですが…」
「あの仲睦まじい2人を見ても、まだそんな事を言うのね。まあいいわ、きっと近々、クリスティーヌ様の家から、王妃候補の申し込みが来るわ。このお茶会は、お兄様の王妃候補を探すためのお茶会なのですもの。本当にバカな男。せいぜい2人が幸せになる姿を、指をくわえて見ているといいわ」
そう言って去っていくカリーナ殿下。確かに今回のお茶会は、いずれ国王になるカロイド殿下の婚約者を探す名目も含まれていると聞いていた。もしこのままクリスティーヌが、カロイド殿下の婚約者候補になったら…
考えただけで、倒れそうだ。僕にとってクリスティーヌは、居なくてはならない大切な存在なんだ。もし彼女を失ったら僕は…
その後どうやってお茶会を過ごしたか、覚えていない。ただ屋敷に戻るや否や、クリスティーヌが義父上と義母上に
「私は絶対にカロイド殿下の婚約者候補になりたいです。どうかお願いします。私を好きな殿方に嫁がせてください。お願いします」
そう必死に頭を下げていた。よほど殿下の事が気に入ったのだろう。あんなに必死になるだなんて。ただ、義父上も義母上もクリスティーヌには僕と結婚させて、公爵家を2人で継いでほしいと思っている様で、必死に説得している。さらに僕も必死でクリスティーヌを説得した。
そんな僕たちに向かって
「私は好きな人と結婚する権利も与えられないのですか?とにかく私は、カロイド殿下の婚約者候補になりたいのです」
そう言い捨て、部屋に戻って行ってしまった。きっと頑固なクリスティーヌ事だから、絶対に折れないだろう。
フラフラと自室に戻ると、窓から空を見上げた。
「父上…母上…僕はただ、クリスティーヌさえいてくれたらいいのです…でも、クリスティーヌは、僕以外の男性を好きになった様です…僕はこれからどうやって生きて行けばいいのでしょうか?いっその事、あなた達の元に…」
「坊ちゃま、一体何をなさろうとしているのですか?」
執事が凄い勢いで部屋に入って来たと思ったら、僕を窓から引き離した。僕は無意識のうちに、窓から飛び降りようとしていた様だ。
「クリスティーヌ様の件がショックなのは分かります。ですがどうか、その様な事はお止めください。あなた様を自分の子供の様に可愛がってくださっている公爵様や夫人、それに天国のご両親もきっと悲しまれます」
「でも…クリスティーヌは僕がいない方が、きっと幸せになれるよ…現に僕の事を嫌っているし…」
「確かに今は、坊ちゃまの事を避けていらっしゃるかもしれませんが…でも、まだ王太子殿下と正式に結婚すると決まった訳ではないのでしょう。どうか、希望を捨てないで下さい。とにかく、あなた様は最近色々な事に頑張りすぎです。今日はどうかゆっくり休んでください」
執事はそう言うと、僕をベッドに寝かした。でも、眠れるわけがない。もしかしたら、僕の生きる希望でもあるクリスティーヌを失うかもしれないのだから…
それにカリーナ殿下…あの女も恐ろしい…
僕はその日不安と悲しみで、1人ベッドの中で涙を流し続けたのだった。
翌日。
昨日泣きすぎたせいか、頭がボーっとする。そんな僕を気に掛けてくれるのは、義父上だ。
「アルフレッド、昨日はクリスティーヌがバカな事を言いだしてすまなかったな。クリスティーヌには、私から話をするから」
そう言って僕の肩を叩いて慰めてくれる義父上。その時だった。
「おはようございます!お父様、大事な話がありますわ!」
向こうからものすごい勢いで走って来るクリスティーヌ。それも寝間着なうえ、寝ぐせまで付いている。すかさずクリスティーヌに怒る義父上。
いつもと何だか雰囲気の違うクリスティーヌに、つい話しかけてしまった。いつもの様にあしらわれるかな?そう思ったのだが…
自分はカロイド殿下と結婚したくないし王妃になりたくない、それに公爵家を継ぎたいと言い出したのだ。さらに、僕を悲しませたことに対する謝罪や、僕を気遣う言葉を投げかけてくれたのだ。そして僕の手を握ってくれた。
その手は温かくて柔らかくて、あの頃より少し大きくなっていた。今のクリスティーヌの姿は、昔僕が両親を亡くして泣いていた時、慰めてくれたクリスティーヌそのものだった。これは夢だろうか?夢ならどうか覚めないで欲しい…
今にも泣きそうになるのを必死に堪えた。そして一旦クリスティーヌを自室に戻し、着替えをするように伝えた。僕はどうしてもクリスティーヌの部屋の前から動く事が出来ずに、その場に待機する。
すると中から、メイドの声が聞こえてくる。一体何の話をしているのだろう。しばらく待っていると、着替えを済ませたクリスティーヌが出て来た。僕の顔を見ると、嬉しそうに僕に駆け寄ってきてくれたのだ。
本当にこれは夢ではないのだよな?どうしても信じられなくて、こっそりと自分の手をつねってみたが、痛い。どうやら夢ではない様だ。
地獄に叩き落され、絶望にどん底にいる僕に近づいてきたのは、カリーナ殿下が。
「あら、アルフレッド様。ごきげんよう。見て下さい、お兄様とクリスティーヌ様、本当に仲睦まじいですわね。だから言ったでしょう。私を選んでおけばよかったのに…バカな男。でも、私は優しいから、今からでも自分の行いを反省し、私を選ぶというなら、許してあげても…」
「僕が愛しているのは、クリスティーヌただ1人です。申し訳ないのですが…」
「あの仲睦まじい2人を見ても、まだそんな事を言うのね。まあいいわ、きっと近々、クリスティーヌ様の家から、王妃候補の申し込みが来るわ。このお茶会は、お兄様の王妃候補を探すためのお茶会なのですもの。本当にバカな男。せいぜい2人が幸せになる姿を、指をくわえて見ているといいわ」
そう言って去っていくカリーナ殿下。確かに今回のお茶会は、いずれ国王になるカロイド殿下の婚約者を探す名目も含まれていると聞いていた。もしこのままクリスティーヌが、カロイド殿下の婚約者候補になったら…
考えただけで、倒れそうだ。僕にとってクリスティーヌは、居なくてはならない大切な存在なんだ。もし彼女を失ったら僕は…
その後どうやってお茶会を過ごしたか、覚えていない。ただ屋敷に戻るや否や、クリスティーヌが義父上と義母上に
「私は絶対にカロイド殿下の婚約者候補になりたいです。どうかお願いします。私を好きな殿方に嫁がせてください。お願いします」
そう必死に頭を下げていた。よほど殿下の事が気に入ったのだろう。あんなに必死になるだなんて。ただ、義父上も義母上もクリスティーヌには僕と結婚させて、公爵家を2人で継いでほしいと思っている様で、必死に説得している。さらに僕も必死でクリスティーヌを説得した。
そんな僕たちに向かって
「私は好きな人と結婚する権利も与えられないのですか?とにかく私は、カロイド殿下の婚約者候補になりたいのです」
そう言い捨て、部屋に戻って行ってしまった。きっと頑固なクリスティーヌ事だから、絶対に折れないだろう。
フラフラと自室に戻ると、窓から空を見上げた。
「父上…母上…僕はただ、クリスティーヌさえいてくれたらいいのです…でも、クリスティーヌは、僕以外の男性を好きになった様です…僕はこれからどうやって生きて行けばいいのでしょうか?いっその事、あなた達の元に…」
「坊ちゃま、一体何をなさろうとしているのですか?」
執事が凄い勢いで部屋に入って来たと思ったら、僕を窓から引き離した。僕は無意識のうちに、窓から飛び降りようとしていた様だ。
「クリスティーヌ様の件がショックなのは分かります。ですがどうか、その様な事はお止めください。あなた様を自分の子供の様に可愛がってくださっている公爵様や夫人、それに天国のご両親もきっと悲しまれます」
「でも…クリスティーヌは僕がいない方が、きっと幸せになれるよ…現に僕の事を嫌っているし…」
「確かに今は、坊ちゃまの事を避けていらっしゃるかもしれませんが…でも、まだ王太子殿下と正式に結婚すると決まった訳ではないのでしょう。どうか、希望を捨てないで下さい。とにかく、あなた様は最近色々な事に頑張りすぎです。今日はどうかゆっくり休んでください」
執事はそう言うと、僕をベッドに寝かした。でも、眠れるわけがない。もしかしたら、僕の生きる希望でもあるクリスティーヌを失うかもしれないのだから…
それにカリーナ殿下…あの女も恐ろしい…
僕はその日不安と悲しみで、1人ベッドの中で涙を流し続けたのだった。
翌日。
昨日泣きすぎたせいか、頭がボーっとする。そんな僕を気に掛けてくれるのは、義父上だ。
「アルフレッド、昨日はクリスティーヌがバカな事を言いだしてすまなかったな。クリスティーヌには、私から話をするから」
そう言って僕の肩を叩いて慰めてくれる義父上。その時だった。
「おはようございます!お父様、大事な話がありますわ!」
向こうからものすごい勢いで走って来るクリスティーヌ。それも寝間着なうえ、寝ぐせまで付いている。すかさずクリスティーヌに怒る義父上。
いつもと何だか雰囲気の違うクリスティーヌに、つい話しかけてしまった。いつもの様にあしらわれるかな?そう思ったのだが…
自分はカロイド殿下と結婚したくないし王妃になりたくない、それに公爵家を継ぎたいと言い出したのだ。さらに、僕を悲しませたことに対する謝罪や、僕を気遣う言葉を投げかけてくれたのだ。そして僕の手を握ってくれた。
その手は温かくて柔らかくて、あの頃より少し大きくなっていた。今のクリスティーヌの姿は、昔僕が両親を亡くして泣いていた時、慰めてくれたクリスティーヌそのものだった。これは夢だろうか?夢ならどうか覚めないで欲しい…
今にも泣きそうになるのを必死に堪えた。そして一旦クリスティーヌを自室に戻し、着替えをするように伝えた。僕はどうしてもクリスティーヌの部屋の前から動く事が出来ずに、その場に待機する。
すると中から、メイドの声が聞こえてくる。一体何の話をしているのだろう。しばらく待っていると、着替えを済ませたクリスティーヌが出て来た。僕の顔を見ると、嬉しそうに僕に駆け寄ってきてくれたのだ。
本当にこれは夢ではないのだよな?どうしても信じられなくて、こっそりと自分の手をつねってみたが、痛い。どうやら夢ではない様だ。
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