国民的アイドルは乙女ゲームのヒロインに転生したようです~婚約破棄の後は魔物公爵に嫁げ?えー、何でよ?!

むぎてん

文字の大きさ
32 / 38

32 狂ってる ~レオナルド目線

しおりを挟む
~レオナルド目線

リリアの部屋から連行された俺は今、項垂れてセバスの説教を受けている。

「レオナルド様、わたくしは貴方を見損ないましてございます!よもやリリア様にあのようなハレンチなマネをなさろうとは!」

「い、いや、さっきのはあれだ!リリアがあんまり可愛い顔で俺を煽るから!」

リリアの方から唇にキスをされたのは初めてだったんだ!
しかも、あんなセリフを言われて、潤んだ瞳で『約束して?』なんて。
理性を保てる男がこの世に存在するはずがないだろう!

「慣れて下さい。あれはリリア様の普通でごさいます。リンの頃からそうでした。前世の彼女は『魔性の女』という俗称を持っておりました。本人に全くそのつもりはなくとも、男は皆、彼女に狂ってしまう。わたくしはそんな男たちからずっとリンを守って来たのでございます。最後は守りきれずに殺されてしまいましたが」

「ま、魔性の女・・・・・・」

「レオナルド様、貴方も彼女に狂った男の一人。リリア様を苦しめるような事をなされば、わたくしは貴方を絶対に許しません」

「お、俺は狂ってなどいないぞ!」

「いえ、貴方は狂っておられます。マサヤと何ら変わりありません」

「何だと!いくらなんでもそれはあんまりだろう!」

「では貴方はリリア様が貴方のもとから逃げ出そうとなさったらどうされます?貴方はリリア様を閉じ込めてしまうでしょう。この屋敷に、貴方の部屋に。誰にも会わせず、貴方だけの腕の中に繋ぎ止めるでしょう?それでもリリア様が逃げようとなされば鍵を掛け、鎖を使う。貴方はそういう人間です」

俺は何も言い返せなかった。
確かに、セバスのいう通りだ。
俺はリリアの事になると自制が効かない。

リリアがセバスと抱き合っているのを見た瞬間、セバスを殺してリリアを檻に閉じ込めようと本気で思ってしまった。
あの場にトーマスがいなければそうしていただろう。

「愛の深さには際限がありません。貴方のその海よりも深い愛を、リリア様が心地よく感じているうちは何も問題はないのです。努力なさいませ、レオナルド様。リリア様にずっとずっと愛されるための努力を。わたくしも協力いたします。わたくしはこう見えても、貴方のことが好きなのですよ。今回リリア様を繋ぎ止める鎖として、トーマス様を養子になさったことも評価しておりますしね」

さすがセバス。
年の功ってやつか、長く生きているだけはある。
説得力が半端ないし、全てお見通しってことか。

「セバス、有り難う。お前の言う通りだ。俺は確かに狂ってる。リリアを手放す事を考えただけで、生きてはいけないほどだ。リリアにずっと愛されるように努力する。それでももしリリアが俺を拒んだときは、リリアを連れて逃げてくれ。俺がマサヤと同じことをしてしまう前に。お前はリリアの『父親』だ。その権利がお前にはある」

「ええ、勿論です。リンの幸せはわたくしの悲願でございましたから。わたくしは前世でたくさんの人間を傷つけ、苦しめて生きておりました。わたくしのせいで地獄に落ちた者もいたでしょう。死を選んだ者もいたかも知れません。そんなわたくしをまともな人間にしてくれたのがリンなのです。リリアとなった今でも、わたくしにとっては可愛い『娘』なのです。」

リリアを大事に思う気持ちは充分わかったが・・・・・・
地獄に落ちたとか死を選んだとか、こいつはいったいどんな生き方をしていたんだ?
詐欺師だったと言っていたが・・・・・・

「聞きますか?」

「は?」

「顔に書いてございますよ。わたくしの前世での行いを知りたいのでしょう?リリア様には口が裂けても教えられませんがね」

「き、聞きたい」

「まず、詐欺と一口に申しましても色々な種類がごさいます。ギャンブル詐欺に融資保証詐欺、先物取引詐欺に結婚詐欺等々。その全てはやり尽くしました。名を偽り、歳を偽り、良い人間を装い他人の懐に入り込んで信用させ、依存させる。後は金を引っ張れるだけ引っ張って、用済みになれば霧のように消える。わたくしにとって、他人とはカモとなりうるか、そうでないか。わたくしは失敗したことはございませんでしたから、金は腐るほど持っておりました。それでも詐欺師を続けていたのは、ただ  "楽しかった"  から。それだけです。わたくしに全財産を騙し取られ丸裸となり骨の髄までしゃぶり尽くされて全てを失った者のその後など、一度も考えた事はごさいませんでした。わたくしは、人間の皮を被った悪魔だったのですよ。」

もしかしたら、『瀬川修』もリンと同じように心に闇を抱えた悲しい人間だったのかも知れない。

「そんなお前が何故『加々美リン』という、たった一人の少女に変えられた?」

「失礼、ちょっと瀬川に戻りますね。このしゃべり方、面倒臭いんで」

「構わない」

「俺はリンを新しいカモにしようと近づいた。でもリンの裏側を見てしまったからな。騙せねぇよ。・・・・・・俺は壊れてるリンに、壊れてる自分を重ねてたんだ。俺にとってリンは自分と鏡合わせの存在だった。だから自分がずっと求めてた『本当の愛情』ってヤツをそのままリンに向けた。そんなある日、リンが言ったんだ。『瀬川さんがお父さんならよかったのに』って。俺はそん時生まれて初めて、自分の存在を肯定出来た。リンの父親、それが俺の生きる理由だと。だからリンが死んだあとは・・・・もう生きてはいけなかったんだ」

ああ、セバス、何だお前、お前も俺と一緒じゃないか。

「そうか、じゃあ、お前も仲間だな。愛情の形は違うが、お前も彼女に狂ってる」

セバスは大きく目を見開くと、自分の膝を手のひらでポンっと叩いて

「あー、そうだな、うん、確かにそうだ、あははは」

おかしそうに笑うから、俺もおかしくなって一緒に笑った。


────────────────────
33俺の妻
   ~トーマス目線 へ

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】モブの王太子殿下に愛されてる転生悪役令嬢は、国外追放される運命のはずでした

Rohdea
恋愛
公爵令嬢であるスフィアは、8歳の時に王子兄弟と会った事で前世を思い出した。 同時に、今、生きているこの世界は前世で読んだ小説の世界なのだと気付く。 さらに自分はヒーロー(第二王子)とヒロインが結ばれる為に、 婚約破棄されて国外追放となる運命の悪役令嬢だった…… とりあえず、王家と距離を置きヒーロー(第二王子)との婚約から逃げる事にしたスフィア。 それから数年後、そろそろ逃げるのに限界を迎えつつあったスフィアの前に現れたのは、 婚約者となるはずのヒーロー(第二王子)ではなく…… ※ 『記憶喪失になってから、あなたの本当の気持ちを知りました』 に出てくる主人公の友人の話です。 そちらを読んでいなくても問題ありません。

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。 「…私、間違ってませんわね」 曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話 …だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている… 5/13 ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます 5/22 修正完了しました。明日から通常更新に戻ります 9/21 完結しました また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います

無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。

木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。 本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。 しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。 特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。 せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。 そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。 幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。 こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。 ※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)

転生悪役令嬢は冒険者になればいいと気が付いた

よーこ
恋愛
物心ついた頃から前世の記憶持ちの悪役令嬢ベルティーア。 国の第一王子との婚約式の時、ここが乙女ゲームの世界だと気が付いた。 自分はメイン攻略対象にくっつく悪役令嬢キャラだった。 はい、詰んだ。 将来は貴族籍を剥奪されて国外追放決定です。 よし、だったら魔法があるこのファンタジーな世界を満喫しよう。 国外に追放されたら冒険者になって生きるぞヒャッホー!

悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない

おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。 どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに! あれ、でも意外と悪くないかも! 断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。 ※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。

断罪が行われないってどういうこと!?~一分前に前世を思い出した悪役令嬢は原作のトンデモ展開についていけない

リオン(未完系。)
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生している、そう気が付いたのは断罪が行われる一分前。 もうだめだと諦めるエリザベスだが、事態は予想もしていない展開へと転がっていく…?

悪役令嬢に転生したので断罪イベントで全てを終わらせます。

吉樹
恋愛
悪役令嬢に転生してしまった主人公のお話。 目玉である断罪イベントで決着をつけるため、短編となります。 『上・下』の短編集。 なんとなく「ざまぁ」展開が書きたくなったので衝動的に描いた作品なので、不備やご都合主義は大目に見てください<(_ _)>

処理中です...