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解放と君臨
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重なり合う口唇から流れ込む。否、吸い取られているのは、きっと大切な、私が私であるべきためのもの。
魂の形を造る根本のようなもの。
それが、口移しに失われていく。奪い取られていく。
『愈々時は満ちた。漸く此処まで辿り着いた。
さあ、還して貰おう、吾が魂を』
そう云って、その人は清らかに澄んだ涙を一粒、流して
消えた。
途端に、
ーーーどくんーーー
鼓動が全身を揺さぶる。
頭がギリギリと締め付けられる。叫びだしそうな衝動に駆られる。
嫌だ。やめて。誰かが私を身体の中から押し出そうとしている。境界線の上で、今にも転落してしまいそうな崖の上を、踊るように行きつ戻りつ繰り返している。
落とされるものかと踏ん張っていても、相手は嗤いながらどんどんと背中を蹴り飛ばす。
『ほぉぅら、吾が羽根を還して貰うぞ』
戯れに幼子が蝶の羽根を毟り取るように、愉しげに、無邪気に、弾き飛ばされる。
自分の身体から、剥き出しの魂だけが、放り出されてしまった。
暗闇へと急降下していく。嗚呼、私は墜落している。
『遂に此の日が……遂に……遂に、取り戻したぞ!』
歓喜に打ち震えた顔は紅潮し、恍惚となって喘ぐ。
眼の端に涙を滲ませながら呻く姿は、耳の後ろをぞわりと舐められるよりも扇情的で、脳天を揺さぶるほどに艶かしい。目が、離せない。
濃厚に満ちていく蜜の甘い薫りが、下腹部を絡めとる。
落下する身体は、情けないほど正直に燃え盛り、触れもしないのに絶頂を迎える。
遠ざかる空に浮かび上がる、真白い花の顔。
『左様なら、偽物の美澄よ』
ふふっ。嗤いながら手を振る。その人は確かに、こう云った。
『今度こそ、【僕】の出番だ』
魂の形を造る根本のようなもの。
それが、口移しに失われていく。奪い取られていく。
『愈々時は満ちた。漸く此処まで辿り着いた。
さあ、還して貰おう、吾が魂を』
そう云って、その人は清らかに澄んだ涙を一粒、流して
消えた。
途端に、
ーーーどくんーーー
鼓動が全身を揺さぶる。
頭がギリギリと締め付けられる。叫びだしそうな衝動に駆られる。
嫌だ。やめて。誰かが私を身体の中から押し出そうとしている。境界線の上で、今にも転落してしまいそうな崖の上を、踊るように行きつ戻りつ繰り返している。
落とされるものかと踏ん張っていても、相手は嗤いながらどんどんと背中を蹴り飛ばす。
『ほぉぅら、吾が羽根を還して貰うぞ』
戯れに幼子が蝶の羽根を毟り取るように、愉しげに、無邪気に、弾き飛ばされる。
自分の身体から、剥き出しの魂だけが、放り出されてしまった。
暗闇へと急降下していく。嗚呼、私は墜落している。
『遂に此の日が……遂に……遂に、取り戻したぞ!』
歓喜に打ち震えた顔は紅潮し、恍惚となって喘ぐ。
眼の端に涙を滲ませながら呻く姿は、耳の後ろをぞわりと舐められるよりも扇情的で、脳天を揺さぶるほどに艶かしい。目が、離せない。
濃厚に満ちていく蜜の甘い薫りが、下腹部を絡めとる。
落下する身体は、情けないほど正直に燃え盛り、触れもしないのに絶頂を迎える。
遠ざかる空に浮かび上がる、真白い花の顔。
『左様なら、偽物の美澄よ』
ふふっ。嗤いながら手を振る。その人は確かに、こう云った。
『今度こそ、【僕】の出番だ』
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