30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

何だと!?

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<ヴァーンベック視点>


「ァァァ……」

 バケモノの懐に飛び込むという一か八かの賭けには勝った。
 けど、不完全なこの体勢からどう動けばいい?
 目の前の鱗腹を破るのは不可能だぞ。

 やはり狙いは両眼しかねえ。
 ただ、こっから届くのか?
 やつの腕を搔い潜れるのか?

 と?

「だあぁ!」

 ガギン!

 蒼鱗の腹が震える。
 胸が揺れる。
 サージがバケモノの背に剣を打ちつけたんだ。

 ガギン!

 なおも続くサージの剣撃にバケモノの意識が後方に向かい……頭上の腕が消えた!

「今よ、ヴァーン!」

「ああ」

 これなら届く!

 屈んだ体勢から手を上に伸ばし、右眼に刺さった槍の端に手を……。
 掴んだ!

「グアッ?」

 異状を感じたバケモノが俺を振り払おうとするが、もう遅い。

「くたばれぇ!」

 槍の端に手のひらを当て。
 押してやる、氷槍を右眼の奥へ突き込んでやる。

 ズブッ!

 動く、押せる!

 ズッ!

 ズズッ!

 よし!
 いけるぞ!
 このまま押せば頭まで貫通だ。
 そうなりゃ、さすがに無事じゃ済まねえよな。

「グガアァァ!」

 腕を振り暴れるバケモノをいなし、槍を奥へ、奥へ。

 ズズ、ズッ……!?

 なに?
 槍先が止まった?

「くっ!」

 駄目だ。
 動かねえ。
 奥は硬さが違うのか?

「アァァァァ!」

 それでもだ。
 ここまで来てやめられねえだろ。
 やるしかねえ!

「おおおぉぉ!」

 渾身の力を込めて!

「おおおぉぉぉぉ!!」

「グガアァァァ!!」

 気合と咆哮が交錯する。
 闘気がぶつかり合う。

 直後……手のひらから圧が消え。

 バリィィィン!

 氷槍の先端が粉砕。

「……」

 粉々になっちまった。

「おい、やったのか?」

「ヴァーン?」

 いいや、違う。

「まだだ」

 当然、バケモノは倒れていない。
 右眼からは血が溢れているものの、生気は変わらず残ったまま。

「ちっ!」

「そんな?」

 ある程度の傷を負わせることはできたとはいえ、いまだバケモノは健在。
 その上、右眼に氷槍の端も残ってねえ。

「っ!」

 ここから、またやり直しなのか?


「えっ、あれ?」

 どうした?

「ヴァーン、気をつけろ!」

「……」

 バケモノを纏う空気が変わっていく?
 顔の蒼鱗も薄れて?

 これは、いったい?

「ァァァ……」

「ァァァ……ァァ……ヴァーン?」

 何?

「おまえ……ヴァーン?」

 何だと!?

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