175 / 1,578
第3章 救出編
緊急事態 4
しおりを挟む驚きに声が漏れてしまう。
「……」
聞き間違いじゃないよな?
「もう一度読み上げます。サリオル、ザンジブ……エリミネール、ゾルダー……ギリオン、ヴァーンベック……シア、アル……以上です」
っ!
間違いない!
ギリオンとヴァーンベックだけならまだしも。
シアとアルもだって。
これは!
ダブルヘッドによる脅威を実感できていないためか、先程まではどこか現実味に欠けるような感覚しか持てないでいた。
しかし今は……。
4人の名前を聞き急速に緊張感が湧き出してくる。
待てよ。
ギリオン、ヴァーンベックという名とシア、アルの名は連続では読まれなかったよな。
ということは、まさか2組が別々に森に入ったということなのか!?
一緒には行動していないと。
シアとアルには、まだ2人だけでは常夜の森に入るなと注意していたのに。
背中に冷たいものを感じる。
「……」
ここで考えていても事態が好転するわけでもない。
なら、行くしかない。
話を続けているギルド長たちを尻目に、ひとり冒険者ギルドを後に。
もちろん行先は常夜の森だ!
***********
<アル視点>
「姉さん、少し到着が早かったんじゃないか」
「そうね。でも、セレスティーヌ様をお待たせするわけにはいかないでしょ」
「そうだけど」
昨日、オルドウでの拠点としている住居にワディン家から宝具を使って知らせが届いた。
内容は想像通り。
ワディン家とレザンジュ王家との争いがいよいよ本格化し、王軍によってワディン領都が攻め込まれるという事態が現実味を帯びてきたため、セレス様をワディン領から逃がしオルドウに避難させるとのことだった。
幾つか用意していた避難先の中でオルドウが選ばれたんだ。
まだまだ未熟なおれと姉さんに、そんな大任が。
……。
昨日は不安な気持ちのまま姉さんと話し合ったが、結局することはひとつ。
セレスティーヌ様をお迎えするだけ。
その姫様を迎えるために、おれと姉さんは常夜の森の中。
「セレスティーヌ様の到着までまだ時間がかかりそうだから、少し休もうか」
「ええ、そうね」
午前の内に常夜の森で簡単な依頼をこなし、今は合流予定地である常夜の森の浅域、テポレン山との境界の辺りで待機している。
「どれくらいかかるかな」
浅域とはいっても、ここは常夜の森だ。
長居して良いことはない。
そもそも、おれたち2人だけで常夜の森に入ることは師匠たちに禁止されているのだから。
今回ばかりは仕方ないけど……。
「分からないわ。でも、テポレン山を越える姫様の苦労を考えたら、ここで待つくらい何てことないわ。それより、姫様は無事にここまで……。テポレン山頂付近はとても危険だと聞いているから」
沈鬱な表情を浮かべ言葉を飲み込んでいる。
そうなんだ。
今この場も危険ではあるけど、テポレン山頂はもっと危険なんだ。
だから、姉さんの気持ちはもちろんよく分かる。
おれも同じ思いだよ。
けど、姉さんの思いはおれとは比べ物にならないだろう。
おれにとってもセレス姫様は大切なお方だけど、姉さんにとってはより特別なお方だ。
幼い頃よりセレスティーヌ様の傍で一緒の時間を過ごしてきた姉さん。
誰よりも姫様を慕っているのだから。
39
あなたにおすすめの小説
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
成り上がりたいのなら勝手にどうぞ。僕は『テリトリー』で使い魔と楽しく過ごす事にします
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
スキルを持っている事が国民として認められるレビューブ皇国では、スキルを持って生まれた者を『シルバー』と呼び、スキルを買って得た者を『ブラック』と呼ぶ。魔獣が蔓延るこの大陸では、シルバーで編成されたスキル隊と、シルバーがマスターとなってギルドを形成する冒険者が、魔獣を駆除していた。
そこには、成り上がる事を目指す者も。
そんな中、ラシルは使い魔と楽しく暮らす事を選ぶ事にするのだが――。
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。
ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて…
幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。
王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。
なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。
自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。
11月14日にHOT男性向け1位になりました。
応援、ありがとうございます!
薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜
鮒捌ケコラ
ファンタジー
入学式から3週間目にして『退学」を言い渡された。
(早くない?RTAじゃないんだからさ。)
自分で言うのもアレだけど、入学してからは結構真面目に通ってた。
けど、どうやら教員の不況を買ってしまったらしい。
幸か不幸か、退学まで1週間の執行猶予が与えられた。
けど、今更どう足掻いても挽回する事は不可能だろうし、
そもそも挽回する気も起こらない。
ここまでの学園生活を振り返っても
『この学園に執着出来る程の魅力』
というものが思い当たらないからだ。
寧ろ散々な事ばかりだったな、今日まで。
それに、これ以上無理に通い続けて
貴族とのしがらみシミッシミの薬師になるより
故郷に帰って自由気ままな森番に復職した方が
ずっと実りある人生になるだろう。
私を送り出した公爵様も領主様も、
アイツだってきっとわかってくれる筈だ。
よし。決まりだな。
それじゃあ、退学するまでは休まず毎日通い続けるとして……
大人しくする理由も無くなったし、
これからは自由気ままに、我儘に、好き勝手に過ごす事にしよう。
せっかくだし、教員達からのヘイトをカンストさせるのも面白そうだ。
てな訳で………
薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。
…そう息巻いて迎えた執行猶予満了日、
掲示板に張り出された正式な退学勧告文を
確認しに行ったんだけど……
どういう事なの?これ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる