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第7章 南部編
折れない心 1
しおりを挟む<セレスティーヌ視点>
キイィン!
異能特有の波動。
高音か低音かも分からない。
ただ鋭い音波が私の脳をかき回し、苛み続ける。
用意していた耳栓など少しも役に立たない。
私は床に膝と手をつき。
この時間を耐えるだけ。
「っ!」
幸奈さんの記憶で知っていた以上の苦痛。
冷や汗が噴き出して止まらない。
シャツが濡れ、髪が湿り、額には大粒の汗。
その汗が頬を伝い、ポトリ、ポトリと滴り落ちる。
床に大きな染みを作っていく。
「以前はすぐに意識を失っていましたのに。素晴らしい成長ですわ」
「……」
今は何とか耐えているけれど。
油断すれば、幸奈さんの恐怖に飲み込まれてしまう。
恐怖に負けると、意識を保てない。
「ふふ、素敵」
「……」
「でもね、どこまで我慢できるものかしら?」
キィィィィン!!
えっ?
音波が強まった?
こんなの記憶にない!!
「ううっ!」
痛い!
熱い!
怖い!
「これも耐えますの? 幸奈さん、とっても魅力的だわ」
耐えてる?
この音波に耐えて?
キィィィィン!!
苦しい!
気持ちが悪い!
苦痛と恐怖にもう……。
「力いっぱい頑張ってくださいな」
「はあ、はあ……」
朦朧とする。
視界もかすんできた。
このままでは、意識を……。
「……」
「……」
「……?」
神気?
ローディン様とトトメリウス様の神気を強く感じる。
それに……。
恐怖も消えて?
これは?
幸奈さんの感情が眠りについたの?
分からない。
よく分からないけど。
今はただ苦しいだけ。
恐怖はない……。
幸奈さんの身体も心も完全に私のものになってる!
身も心も重くない!
幸奈さん、私に任せてくれたのね?
そうなのね?
ありがとう、幸奈さん!
「……」
これなら。
この身体なら、まだ耐えられる。
苦しいけれど、大丈夫。
もう平気だ。
「……」
私は負けない。
こんな相手に負けられない!
意識を手放してなんかあげない!
何もできないこの状態だけれども、絶対に屈しない!
「!!」
幸奈さんが認めてくれた私。
コーキさんが認めてくれた私。
ワディンの神娘、セレスティーヌであり続ける!
「さすが、生まれ変わった幸奈さんは違いますわ」
「生まれ変わった? 壬生さん、それは本当なのか?」
「ええ、間違いありません。あの病室でもその雰囲気を感じましたけれど、今の幸奈さんを見ていると明らかですわね。和見さんは感じなくって?」
「……」
「ふふ、感じられないなんて悲しいこと。こんなに美味しいのに」
何を言っているの、この人。
「……幸奈が異能に目覚めた?」
「異能、なのかしら?」
「病室で言っていただろ。異能に覚醒したと」
「あら、わたくし断言はしてませんわよ」
「……なら、教えてくれ、壬生さん!」
「ほんと、せっかちな方。今のこの状況を楽しまないでどうするのかしら。こんなに幸奈さんが頑張っているのに」
「楽しんでる場合じゃない!」
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