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第10章 位相編
玉璽
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<シャリエルン視点>
男女3人の中の1人は白みを帯びた金髪を適当に切り揃えた頭に、新緑の酔眼、そして僅かに伸びた耳を持つ妙齢の女性。憂鬱な薔薇のメンバーのひとり、クォーターエルフのミュレルだ。
彼女の持つ人より長い耳、胸にも尻にも女性特有のものがまるで見えない細身の体は、種族の特徴そのもの。4分の1とはいえ、エルフの血が入ったミュレルはその特徴を身体に色濃く残している。
「ミュレル、てめえ!!」
後ろから見てもはっきりと認識可能なミュレルに対しているのは、20代後半の男。腕周りや胸周りに程良い筋肉を蓄えた短髪中背の男性は、これまた薔薇の一員であるディーベルク。
「何よ!」
「大人しく聞いてりゃ、調子に乗りやがって!」
「よく言うわ。大人しく聞いてないじゃない!」
「ふたりとも、それくらいにした方がいいぞ」
もう1人の男性は初見だ。
おそらく、ミュレルとディーが酒場で知り合った男だろう。
外見からは冒険者に見えるが……。
「でも!」
「ミュレルが悪いんですよ、イリアルさん」
しかし、こいつら。
明らかに酔っている。
まだ8刻(16時)だというのに。
「……」
夕食には早い時間とあって酒場の中は空いているが、他に客がいないわけじゃない。となると、部屋に連れていった方がいいか。
「ミュレル、ディー!」
「……えっ?」
「……団長?」
背後から声を掛けた私に固まるふたり。
「分かっているな?」
「まあ……」
「……」
「なら、それくらいにしておけ」
「「……」」
「で、他のメンバーは?」
「副長とセル、ラルスは外に出てます」
エフェルベット、セルフィアナ、ラルスはいないんだな。
「ティアルダとドロテアは部屋で飲んでるはずですが」
ミュレル、ディーに加えて剣士2人も酒盛中とは……。
「団長、何かありました?」
「……部屋で話そう。行くぞ」
「「……はい」」
「ごめん、リーダー。少し飲み過ぎちゃったみたい」
「団長、スマン」
部屋に入るなり頭を下げてくるミュレルとディーベルク。
「ふむ」
十分理解しているようだし、ここで重ねて注意することでもないか。
と思ったんだが。
「おめえら、飲みすぎだって」
「そうそう、飲むならあたしらみたいに分別持って飲まないとなぁ」
「なっ、ティアルダとドロテアも同じだろ」
「何言ってる。こっちは誰にも迷惑かけてないんだぜ」
「俺らも迷惑はかけてねえ」
「嘘つけ」
「おまえらの大声、ここまで聞こえてたぞ」
「それは……」
「早い時間に飲みたきゃ、部屋飲みすりゃいいのによぉ」
「……うるさい」
「んだと、このヤロウ!」
酔っ払い4人が集まっているんだ。
簡単にいかないのも当然か。
「皆、静かに」
「団長……」
「こいつらが悪いんだって」
「いや、おまえらだろ」
「何!」
ほんと、きりがない。
「いいから、口を閉じろ!」
「「「「……」」」」
「今は酒を飲んで騒いでる場合じゃないぞ」
こちらの表情を読み取ったのか、4人全員が引き締まった顔に戻ってきた。
「重要な話がある」
「何か掴んだんですね?」
「団長?」
「ティアルダ、ドロテア、ミュレル、ディーベルク、聞ける状態か?」
「ああ」
「もちろん」
「大丈夫です」
「問題ありません」
「そうか」
ならば、エフェルベットたちが戻る前に簡単に話しておこう。
「玉璽の件だ」
「「「「……」」」」
「ヴァルターとウィルがエリシティア様に玉璽を届けたこと、あの簒奪者に知られてしまった」
男女3人の中の1人は白みを帯びた金髪を適当に切り揃えた頭に、新緑の酔眼、そして僅かに伸びた耳を持つ妙齢の女性。憂鬱な薔薇のメンバーのひとり、クォーターエルフのミュレルだ。
彼女の持つ人より長い耳、胸にも尻にも女性特有のものがまるで見えない細身の体は、種族の特徴そのもの。4分の1とはいえ、エルフの血が入ったミュレルはその特徴を身体に色濃く残している。
「ミュレル、てめえ!!」
後ろから見てもはっきりと認識可能なミュレルに対しているのは、20代後半の男。腕周りや胸周りに程良い筋肉を蓄えた短髪中背の男性は、これまた薔薇の一員であるディーベルク。
「何よ!」
「大人しく聞いてりゃ、調子に乗りやがって!」
「よく言うわ。大人しく聞いてないじゃない!」
「ふたりとも、それくらいにした方がいいぞ」
もう1人の男性は初見だ。
おそらく、ミュレルとディーが酒場で知り合った男だろう。
外見からは冒険者に見えるが……。
「でも!」
「ミュレルが悪いんですよ、イリアルさん」
しかし、こいつら。
明らかに酔っている。
まだ8刻(16時)だというのに。
「……」
夕食には早い時間とあって酒場の中は空いているが、他に客がいないわけじゃない。となると、部屋に連れていった方がいいか。
「ミュレル、ディー!」
「……えっ?」
「……団長?」
背後から声を掛けた私に固まるふたり。
「分かっているな?」
「まあ……」
「……」
「なら、それくらいにしておけ」
「「……」」
「で、他のメンバーは?」
「副長とセル、ラルスは外に出てます」
エフェルベット、セルフィアナ、ラルスはいないんだな。
「ティアルダとドロテアは部屋で飲んでるはずですが」
ミュレル、ディーに加えて剣士2人も酒盛中とは……。
「団長、何かありました?」
「……部屋で話そう。行くぞ」
「「……はい」」
「ごめん、リーダー。少し飲み過ぎちゃったみたい」
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部屋に入るなり頭を下げてくるミュレルとディーベルク。
「ふむ」
十分理解しているようだし、ここで重ねて注意することでもないか。
と思ったんだが。
「おめえら、飲みすぎだって」
「そうそう、飲むならあたしらみたいに分別持って飲まないとなぁ」
「なっ、ティアルダとドロテアも同じだろ」
「何言ってる。こっちは誰にも迷惑かけてないんだぜ」
「俺らも迷惑はかけてねえ」
「嘘つけ」
「おまえらの大声、ここまで聞こえてたぞ」
「それは……」
「早い時間に飲みたきゃ、部屋飲みすりゃいいのによぉ」
「……うるさい」
「んだと、このヤロウ!」
酔っ払い4人が集まっているんだ。
簡単にいかないのも当然か。
「皆、静かに」
「団長……」
「こいつらが悪いんだって」
「いや、おまえらだろ」
「何!」
ほんと、きりがない。
「いいから、口を閉じろ!」
「「「「……」」」」
「今は酒を飲んで騒いでる場合じゃないぞ」
こちらの表情を読み取ったのか、4人全員が引き締まった顔に戻ってきた。
「重要な話がある」
「何か掴んだんですね?」
「団長?」
「ティアルダ、ドロテア、ミュレル、ディーベルク、聞ける状態か?」
「ああ」
「もちろん」
「大丈夫です」
「問題ありません」
「そうか」
ならば、エフェルベットたちが戻る前に簡単に話しておこう。
「玉璽の件だ」
「「「「……」」」」
「ヴァルターとウィルがエリシティア様に玉璽を届けたこと、あの簒奪者に知られてしまった」
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