30年待たされた異世界転移

明之 想

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第11章 陰謀編

地下牢

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<ヴァーンベック視点>



 コツ、コツ、コツ。
 コツ、コツ、コツ。

 前を行くヴァルターに従い歩くこと四半刻。
 ただ狭い通路を歩いているだけの時間が過ぎていく。

『分からない、が……分かってはいる』

 なんていう言葉を口にしたヴァルター。
 まったく意味不明だったが、確信みたいなものを持ってるみたいだからと、ここまでついて来たものの……。

 さすがに時間がかかり過ぎだろ。
 骨董品屋から繋がる通路がこんなに長くて複雑なわけねえって。

 まっ、絶対に無いとは言いきれないけどよ。
 王都に張り巡らされた地下通路って可能性もあるからな。
 とはいえ、この通路がそんな代物だとは到底思えねえぞ。



 コツ、コツ……。

 ん、足が止まった?

「階段だ」

 おお、狭い通路以外は久々だな。
 ただし、こいつは……あやしすぎる。

 って、待て!
 おい!

「下りるぞ」

 躊躇の欠片もねえな。
 もう階段を下ってやがる。

 豪胆なのか、無神経なのか?
 それとも、何かを知っているのか?

 まあな。
 こうなりゃ、下りるしかねえんだけどよ。


「……」

「……」

 階段の下は、上とは様子が全く違う。
 通路に沿って牢屋みたいなものが並んでやがる。
 ってことは、ここにギリオンとコーキが?

「ギリオン、いるのか?」

 階段に最も近い位置にある牢屋の中を覗き込むヴァルター。
 俺も後ろから覗き込む、が……。

 無人。
 人がいた痕跡もない。
 気配も残ってないな。

「ギリオン?」

 隣の牢も無人。
 その隣も。

 2人ともここに捕まってるわけじゃねえのか?

「……」

 それでも、一応は全室を確認すべきだろうな。
 ヴァルターも同じ考えのようで、次から次へ牢内を覗き続けている。
 すると。

「っ!」

 薄暗い牢の奥、目に入ってきたのは白骨?
 まさか、ギリオンの?

「……この骸は関係ないな。2人とは骨格が違うし、そもそも短期間で白骨化するわけがない」

 冷静だな、おい。

「次だ」

 ヴァルターは平気な顔で隣の牢屋を調べている。
 こっちは、まだ動揺が残ってるってのに。


「……いないか」

 その後、複数の牢内を調べたが、どこも無人だった。
 やっぱり、ここじゃなさそうだ。
 となると、他にも牢部屋が存在する?

「残すは、通路の奥だけだな」

 ヴァルターの言う通り、確認してないのはこの先だけ。左に湾曲した通路の、その先に歩を進めると。

 人だ!?
 男が1人、うつ伏せに倒れてる!

「ギリオン?」

 考えるより先に足が動いていた。
 倒れている男に駆け寄り、抱え上げ、顔を確認。
 ギリオンだ!!

「間違いないな」

 ああ、間違いねえ。
 ギリオンを見つけたぞ。

 けど、無事なのか?

「ギリオン? おい、ギリオン?」

 返事はない。
 意識を失ったまま。

「息はある。脈も問題ない。外傷もなさそうだ」

「それでも、目を覚まさない」

「……」

「ギリオン! 起きろよ、ギリオン!!」

 大声で呼んでも、強く揺すっても、起きてくれねえ。

「ギリオン……」

 この状況は、薬によるもの?
 魔道具?
 ほんとに無事なんだろうな?

「ふむ……ギリオンが目を覚まさず、コーキ殿もいない、か」

 そうだ。
 コーキはどこ行った?



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