【完結】幸せしかないオメガバース

回路メグル

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第13話 飲み会

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 毎日メッセージを送りあって、二日に一回電話もして、平日にまた食事に行った。
 多分、これからもこのペースでのお付き合いが続きそうだ。

「俺とアキヤさん、順調すぎる……」
「いいことじゃん!」
「そうね。明日も会うの?」

 金曜日、モニくんとヨナちゃんとまた飲み会を開いていた。
 今日は、ヨナちゃんが行ってみたかったというしゃぶしゃぶ店のオメガ用半個室。

「うん。会う予定」
「もう初日みたいに服迷ってないよね? 明日は手編みのやつ?」
「あの時は相談乗ってくれてありがとう。二回目から普通に手編みの着てるよ。明日はオーバーサイズの服着ているところが見たいって言われたから、新しく編んだやつ着ていく予定。今週は妙に編み物捗っちゃって、新しくセーター二枚とマフラーとブランケットができちゃって……」
「……わ」
「……え」

 新作の画像をスマホに表示させて二人に向けると、二人とも画面をのぞき込んで固まってしまった。
 アキヤさんのフェロモンのことばかり考えてしまうから、無心で編みまくっていたセーターもマフラーもブランケットも、めちゃくちゃ凝った模様で編み目が細かい力作だ。

「もう今年の自分用セーターは充分あるのに、ついつい……」

 しかも、土日にまたアキヤさんに会ってフェロモンを浴びるから、来週もまた編み物が捗りそう。
 困ったな……このブランケットは一回ほどこうかな……。

「……ミチくん、アキヤさんの服は編まないの?」
「え? あ、うん」
「あー。アキヤさん、手編み嫌な人なんだ?」

 向かいに座ったモニくんが残念そうに言うけど……。

「わからない」
「え? なんで?」
「なんでって……」

 モニくんも、モニくんの隣に座るヨナちゃんも俺に不思議そうな視線を向けてくる。

「聞いてないの?」
「……」
「あ! サプライズで聞かずに編むとか?」
「それはしない。迷惑だろうし」
「そうね」

 迷惑、の言葉にヨナちゃんが強く頷く。
 実は俺の趣味は編み物だけど、特に好きなのが、友達や家族のために編むこと。
 色々なサイズやデザインで編む楽しさと、よく知っている相手に「こんなの似合うかな?」「こういうの着て欲しいな」と思いながら編むのが楽しくて仕方がない。
 でも、手編みが苦手な人もいるので喜んでもらえるとは限らないし、最初は喜んでいても、一シーズンにセーター二枚、カーディガン、ベスト、ボレロ、靴下三セット、マフラー、スヌード、レッグウォーマー、あみぐるみマスコット、手袋、腹巻、帽子、ポシェット、クッションカバー、ひざ掛け、ブランケットまで編んで渡して嫌な顔をしなかったのは両親とモニくんだけ。
 俺に甘い兄ですら、「ごめん、ちょっと多すぎるかな……毎年三つくらいにしてくれる?」と言ってくるくらいだ。
 ヨナちゃんにも、最初のマフラーが喜ばれたからと調子に乗って、それから毎日会うたびに渡していたら怒られてしまった過去がある。

「聞いたら? 俺みたいに喜ぶんじゃない?」
「嫌だったら私みたいに断るだけよ」

 ヨナちゃんはきちんと「素敵だけど多すぎるし、大切な友だちからの物は捨てにくい。ひとつひとつを大切にしたいからこれ以上はいらない。また欲しい時にお願いする」と言ってくれた。
 それからは年に一つくらい、必要な物をお願いされて丁寧に作っている。
 きっぱり言ってくれてよかったと思う。
 でも……。

「うーん。でも、オメガに作りたいって言われたら多分アルファは『いいよ』しか言えないんじゃないかな?」
「モニ、そうなの?」
「うーん……キョウイチさんだったらそうかもしれない」

 モニくんは曖昧に笑うけど、ヨナちゃんは真剣な顔を俺に向ける。

「番のことは解らないけど、カップルなら腹を割って話さないといけないと思う。これから何年も一緒にいるなら格好つけている場合じゃないでしょう?」
「でも……」

 俺、でもとかだってばかりだよね……良くない。
 良くないのは解っているけど……

「迷惑なことしてアキヤさんに嫌われたくない……」

 これに尽きる。
 まだ出会って二週間くらいだけど……二週間くらいだからかもしれないけど……アキヤさんに絶対に嫌われたくない。アキヤさんに嫌われるくらいなら俺が我慢する方が絶対に良い。

「ミチくんの気持ちは解るけど……」
「健気でかわいいけど……」

 俺が俯いていると、いつの間にか椅子から立ち上がった二人が俺の両脇に立っていた。

「……え? モニくん? ヨナちゃん?」
「二人のためにも」
「腹割って話す方がいいと思う」
「なにより、ミチくんが……」
「ミチが……」

 二人の手が俺の肩にかかる。
 ……二人とも、細い腕なのに力強くない?

「「幸せになってくれないと嫌!」」
「あ、う、うん」

 半分怒っているような二人の圧に負けて、頷いてしまった

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