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第24話 試食
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「わ! 豪華~!」
「一〇品もある。作るの大変だったんじゃない?」
アキヤさんと会った二日後。
いつものモニくんとヨナちゃんとの飲み会で、いつもより沢山手料理を用意した。
俺の部屋のテーブルは大きくないので、料理は収まりきらず、一部段ボール箱に布をかけた仮のテーブルにも置いてある。
「大変だったけど……二人にお願いがあって」
「お願い?」
「アキヤさんに手料理作って欲しいって言われて」
「なるほど」
「何それ。ミチに家事押し付ける気?」
モニくんはなんとなく察してくれたようだけど、ヨナちゃんは不機嫌な顔になる。
しまった、友達思いの子だから、ちゃんと説明しないと!
「ちがうちがう! アキヤさんが先に手料理作ってくれたから!」
「うんうん。それで、これは予行練習なんだ? 特に美味しいのをアキヤさんに作るってこと?」
モニくんはご機嫌に料理を眺めてから、「このメニューならこれかな」と白ワインの栓を開け、ヨナちゃんも納得したのか、グラスをモニくんに向けてワインを注いでもらっている。
「うん。そういうこと」
「ふーん。アキヤさんが作ってくれたのは何だったの?」
あ、それ聞いちゃう?
ずっと誰かに自慢したかったんだよね。
「おにぎり!」
「おにぎりか……まぁ、料理だけど」
「お弁当ってこと?」
二人の反応はあまりよくない。
まぁそうか。一般的におにぎりってそんなに手間もかからないし、オシャレでもないし……。
「おにぎりは俺がリクエストしたんだ。疲れている時に食べやすいようにって。それで、おにぎりって言っても結構凝っているんだよ? 中にごろっと焼き鮭が入っているのと、大葉とゴマと梅と韓国のりが混ぜてあるのと、甘辛い鳥そぼろが入ってて薄焼き卵で包んでいるのと、シンプルな塩むすびと、付け合わせに煮卵と白菜の浅漬けも入ってた」
「それは美味しそう……」
「料理慣れしている人の料理って感じがする。いいね! 美味しかった?」
思わずスマホで写真も撮っておいたアキヤさんの手作りおにぎりを見せると、二人ともたぶんお世辞抜きで褒めてくれた。
運命の相手が褒められるのって嬉しい!
「美味しかった! プロと比べると解らないけど、普通に誰が食べても美味しいって言う味だと思う」
「さすがアルファだね~」
「そんなに美味しいなら作ってもらえばいいのに」
ヨナちゃんの意見は最もだ。
作ってもらいたい気持ちもある。
俺たちの飲み会だって、俺が手料理担当、モニくんが飲み物とお菓子担当、ヨナちゃんは三回に一回の外食の日の支払い担当。得意や好きなことを担当してバランスを取っているし。
でも……
「うーん……そうだよね。俺も一人暮らしだし、みんなと気軽に美味しく飲みたいから家呑みメニューはレシピ調べて何度も作って、少し自信はあるだけで、プロ並みに上手くはないし……」
アキヤさんの方が上手いんじゃないかと思う。
だったら俺が作るよりもアキヤさんが作る方がいいのかもしれないけど……。
「でも……アキヤさんのおにぎりを食べた時に、客観的なおいしいおいしくない以上に、俺の大好きなアルファが、体調悪い俺のために握ってくれたおにぎりなんだって思うと………」
画面の中に写る、形が整ったキレイでおいしそうなおにぎり。
実際おいしかったおにぎり。
でも、このおにぎりの価値は味よりも……。
「幸せな味がした」
だから、アキヤさんにもこの幸せを味わってほしい。
「わかるなぁ~」
「あぁ……なるほど」
俺の気持ちが二人にも伝わったのか、モニくんとヨナちゃんがグラスを置いて取り皿と箸を掴んだ。
「よーし! じゃあ、一〇品食べ比べしよう!」
「ミチが本気みたいだから、辛口レビューでいくからね」
「一〇品もある。作るの大変だったんじゃない?」
アキヤさんと会った二日後。
いつものモニくんとヨナちゃんとの飲み会で、いつもより沢山手料理を用意した。
俺の部屋のテーブルは大きくないので、料理は収まりきらず、一部段ボール箱に布をかけた仮のテーブルにも置いてある。
「大変だったけど……二人にお願いがあって」
「お願い?」
「アキヤさんに手料理作って欲しいって言われて」
「なるほど」
「何それ。ミチに家事押し付ける気?」
モニくんはなんとなく察してくれたようだけど、ヨナちゃんは不機嫌な顔になる。
しまった、友達思いの子だから、ちゃんと説明しないと!
「ちがうちがう! アキヤさんが先に手料理作ってくれたから!」
「うんうん。それで、これは予行練習なんだ? 特に美味しいのをアキヤさんに作るってこと?」
モニくんはご機嫌に料理を眺めてから、「このメニューならこれかな」と白ワインの栓を開け、ヨナちゃんも納得したのか、グラスをモニくんに向けてワインを注いでもらっている。
「うん。そういうこと」
「ふーん。アキヤさんが作ってくれたのは何だったの?」
あ、それ聞いちゃう?
ずっと誰かに自慢したかったんだよね。
「おにぎり!」
「おにぎりか……まぁ、料理だけど」
「お弁当ってこと?」
二人の反応はあまりよくない。
まぁそうか。一般的におにぎりってそんなに手間もかからないし、オシャレでもないし……。
「おにぎりは俺がリクエストしたんだ。疲れている時に食べやすいようにって。それで、おにぎりって言っても結構凝っているんだよ? 中にごろっと焼き鮭が入っているのと、大葉とゴマと梅と韓国のりが混ぜてあるのと、甘辛い鳥そぼろが入ってて薄焼き卵で包んでいるのと、シンプルな塩むすびと、付け合わせに煮卵と白菜の浅漬けも入ってた」
「それは美味しそう……」
「料理慣れしている人の料理って感じがする。いいね! 美味しかった?」
思わずスマホで写真も撮っておいたアキヤさんの手作りおにぎりを見せると、二人ともたぶんお世辞抜きで褒めてくれた。
運命の相手が褒められるのって嬉しい!
「美味しかった! プロと比べると解らないけど、普通に誰が食べても美味しいって言う味だと思う」
「さすがアルファだね~」
「そんなに美味しいなら作ってもらえばいいのに」
ヨナちゃんの意見は最もだ。
作ってもらいたい気持ちもある。
俺たちの飲み会だって、俺が手料理担当、モニくんが飲み物とお菓子担当、ヨナちゃんは三回に一回の外食の日の支払い担当。得意や好きなことを担当してバランスを取っているし。
でも……
「うーん……そうだよね。俺も一人暮らしだし、みんなと気軽に美味しく飲みたいから家呑みメニューはレシピ調べて何度も作って、少し自信はあるだけで、プロ並みに上手くはないし……」
アキヤさんの方が上手いんじゃないかと思う。
だったら俺が作るよりもアキヤさんが作る方がいいのかもしれないけど……。
「でも……アキヤさんのおにぎりを食べた時に、客観的なおいしいおいしくない以上に、俺の大好きなアルファが、体調悪い俺のために握ってくれたおにぎりなんだって思うと………」
画面の中に写る、形が整ったキレイでおいしそうなおにぎり。
実際おいしかったおにぎり。
でも、このおにぎりの価値は味よりも……。
「幸せな味がした」
だから、アキヤさんにもこの幸せを味わってほしい。
「わかるなぁ~」
「あぁ……なるほど」
俺の気持ちが二人にも伝わったのか、モニくんとヨナちゃんがグラスを置いて取り皿と箸を掴んだ。
「よーし! じゃあ、一〇品食べ比べしよう!」
「ミチが本気みたいだから、辛口レビューでいくからね」
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