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第25話 お泊り1
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「世界一美味しい……幸せ……」
モニくん、ヨナちゃんのアドバイスを受けて厳選した得意料理を更にアキヤさんが好きそうにちょっとだけ調整して挑んだ土曜日の夕食。
慣れないキッチンで苦戦したものの、ダイニングテーブルに並べたすき焼き風の煮物も、ちょっと甘めの胡麻和えも、具沢山の味噌汁も、焼き鯖の混ぜご飯も、全部好評だ。
オシャレな洋風メニューと最後まで迷ったけど、「自分の家以外で作るんだから作り慣れているほうが良いんじゃない?」というヨナちゃんのアドバイスに従って大正解だった。
「よかった……」
自分でも食べてみたけど、うん。
イメージ通り作れている。
「ミチくん、俺のために頑張ってくれたんだ?」
俺がほっとしたらアキヤさんは更に嬉しそうに表情を緩める。
あー……この顔が見られるなら毎回俺が作る!
「だって、この前作ってもらったおにぎりがおいしいというか……口に入れた瞬間幸せでたまらなかったから、俺もアキヤさんに同じだけお返ししたくて」
「俺の料理、そんなに良かった?」
「はい! おいしいのももちろんだけど……アキヤさんが作ってくれたんだって思ったら、もう最高でした」
「……っ、困る」
急にアキヤさんの箸が止まる。
あ、ねだっているように聞こえちゃったかな?
「あの、別に手料理をおねだりしているわけじゃないですよ?」
「いや、そうじゃない」
「……? アキヤさん?」
アキヤさんは本気で困った顔をしているけど……?
「作ってもらって食べる幸せもすごいけど、作ったものを食べてもらう幸せもすごいから……次回俺が作りたいし、ミチくんに作ってもらいたいし、困る」
「……え、あ、本当だ! ……俺も困ります!」
確かにどっちもいい!
今、作って喜んでもらったから一瞬忘れちゃっていたけど、作ってもらう方もすごくいい!
「交代で作る?」
「あ、一緒に作るとかどうですか?」
「天才! それもすごくいいね!」
俺たちの会話、他人が見たらバカップルとかラブラブでいいですねぇ(笑)とかなんだろうな……と、頭のすみっこでは解っているのに、この時間が、この会話が、楽しくて仕方が無かった。
少し多めに作ったつもりの食事はアキヤさんが完食してくれて、食後には、先週約束した通り買って来たクリームとフルーツがたっぷり乗ったタルトもすごくおいしそうに食べてくれて……。
この顔が見たいからまた買っちゃいそう。
幸せ太りってこうやっておきるんだ……気を付けよう。
◆
今日は最初から泊まる約束で来たから、風呂上りはシンプルな紺色のパジャマを着た。
初めてのお泊りなんだから、かわいいふわもこパジャマとか、オメガらしいシルクのドレッシーなパジャマも考えたんだけど、流石に恥ずかしくてというか……気合入れ過ぎかなと思って。
下着も含めて、俺にしてはちょっとだけ背伸びした百貨店にも入っている有名ブランドで揃えものだ。
「あがりました」
「……!」
リビングに戻ると、アキヤさんが一瞬驚いた顔をする。
……あーやっぱりふわもことかシルクとかにすべきだった?
普通過ぎ?
「あ、うん。風呂入ってくる。寝室で待っていて?」
「……はい」
アキヤさんが急いでバスルームへ向かうのを見送ってから、寝室に向かい、ベッドに腰かけた。
喜ばれるとは思っていなかったけど、それにしても微妙な反応だったなぁ……もう脱いでおく方がいい?
うーん……。
スマートフォンで「オメガ 人気 パジャマ」とか「彼氏 好き パジャマ」で検索していると、思ったよりも早くアキヤさんが寝室に駆け込んできた。
「ミチくん! おまたせ!」
「……!」
え?
ビックリ。
「ビックリした?」
「ビックリしました!」
全く同じパジャマ。
色も同じ。
サイズだけは違うと思うけど。
「一瞬、ウォークインクローゼットに入れている俺のを着たのかと思ったけど、それにしてはサイズがミチくんにピッタリだなって」
俺の隣に腰掛けたアキヤさんが、比べるようにパジャマを着た腕を、俺の腕に並べる。
「色まで一緒ですもんね。ビックリしました……実はコレ、今日お泊りだから新しく買ったんです」
「え? 俺もミチくんによれよれのスウェットは見せられないから昨日慌てて買ったんだよ」
「そんなところまでお揃いなんだ……」
「すごいな、番って……じゃあ、もしかして……」
「え? あ!」
アキヤさんが俺のパジャマのズボンのゴムを引っ張った。
この下は、ウエストにパジャマと同じブランドのロゴが印刷されている黒いボクサーパンツ。
これも特に色気はない普通に良い下着なんだけど……。
「やっぱり」
アキヤさんが自分のズボンを少しずらして俺に見せてくれたのは、同じロゴの濃いグレーのボクサーパンツ。
つまりこれって……
「色違いだね」
「……!」
下着までお揃い!
「あの、この前、アキヤさんが黒い下着だったから、黒にしたんです」
「俺はこの前、ミチくんが濃いグレーの下着だったから、これにした」
考えていることまでお揃い!
「……同じこと、考えていたんですね」
「……そうだね」
番ってこんなに波長が合うんだ。
嬉しい。
嬉しいと……
「ごめん、勃った」
「……俺も、濡れたかも」
二人で少し照れながら、自然と顔を近づけてキスをした。
モニくん、ヨナちゃんのアドバイスを受けて厳選した得意料理を更にアキヤさんが好きそうにちょっとだけ調整して挑んだ土曜日の夕食。
慣れないキッチンで苦戦したものの、ダイニングテーブルに並べたすき焼き風の煮物も、ちょっと甘めの胡麻和えも、具沢山の味噌汁も、焼き鯖の混ぜご飯も、全部好評だ。
オシャレな洋風メニューと最後まで迷ったけど、「自分の家以外で作るんだから作り慣れているほうが良いんじゃない?」というヨナちゃんのアドバイスに従って大正解だった。
「よかった……」
自分でも食べてみたけど、うん。
イメージ通り作れている。
「ミチくん、俺のために頑張ってくれたんだ?」
俺がほっとしたらアキヤさんは更に嬉しそうに表情を緩める。
あー……この顔が見られるなら毎回俺が作る!
「だって、この前作ってもらったおにぎりがおいしいというか……口に入れた瞬間幸せでたまらなかったから、俺もアキヤさんに同じだけお返ししたくて」
「俺の料理、そんなに良かった?」
「はい! おいしいのももちろんだけど……アキヤさんが作ってくれたんだって思ったら、もう最高でした」
「……っ、困る」
急にアキヤさんの箸が止まる。
あ、ねだっているように聞こえちゃったかな?
「あの、別に手料理をおねだりしているわけじゃないですよ?」
「いや、そうじゃない」
「……? アキヤさん?」
アキヤさんは本気で困った顔をしているけど……?
「作ってもらって食べる幸せもすごいけど、作ったものを食べてもらう幸せもすごいから……次回俺が作りたいし、ミチくんに作ってもらいたいし、困る」
「……え、あ、本当だ! ……俺も困ります!」
確かにどっちもいい!
今、作って喜んでもらったから一瞬忘れちゃっていたけど、作ってもらう方もすごくいい!
「交代で作る?」
「あ、一緒に作るとかどうですか?」
「天才! それもすごくいいね!」
俺たちの会話、他人が見たらバカップルとかラブラブでいいですねぇ(笑)とかなんだろうな……と、頭のすみっこでは解っているのに、この時間が、この会話が、楽しくて仕方が無かった。
少し多めに作ったつもりの食事はアキヤさんが完食してくれて、食後には、先週約束した通り買って来たクリームとフルーツがたっぷり乗ったタルトもすごくおいしそうに食べてくれて……。
この顔が見たいからまた買っちゃいそう。
幸せ太りってこうやっておきるんだ……気を付けよう。
◆
今日は最初から泊まる約束で来たから、風呂上りはシンプルな紺色のパジャマを着た。
初めてのお泊りなんだから、かわいいふわもこパジャマとか、オメガらしいシルクのドレッシーなパジャマも考えたんだけど、流石に恥ずかしくてというか……気合入れ過ぎかなと思って。
下着も含めて、俺にしてはちょっとだけ背伸びした百貨店にも入っている有名ブランドで揃えものだ。
「あがりました」
「……!」
リビングに戻ると、アキヤさんが一瞬驚いた顔をする。
……あーやっぱりふわもことかシルクとかにすべきだった?
普通過ぎ?
「あ、うん。風呂入ってくる。寝室で待っていて?」
「……はい」
アキヤさんが急いでバスルームへ向かうのを見送ってから、寝室に向かい、ベッドに腰かけた。
喜ばれるとは思っていなかったけど、それにしても微妙な反応だったなぁ……もう脱いでおく方がいい?
うーん……。
スマートフォンで「オメガ 人気 パジャマ」とか「彼氏 好き パジャマ」で検索していると、思ったよりも早くアキヤさんが寝室に駆け込んできた。
「ミチくん! おまたせ!」
「……!」
え?
ビックリ。
「ビックリした?」
「ビックリしました!」
全く同じパジャマ。
色も同じ。
サイズだけは違うと思うけど。
「一瞬、ウォークインクローゼットに入れている俺のを着たのかと思ったけど、それにしてはサイズがミチくんにピッタリだなって」
俺の隣に腰掛けたアキヤさんが、比べるようにパジャマを着た腕を、俺の腕に並べる。
「色まで一緒ですもんね。ビックリしました……実はコレ、今日お泊りだから新しく買ったんです」
「え? 俺もミチくんによれよれのスウェットは見せられないから昨日慌てて買ったんだよ」
「そんなところまでお揃いなんだ……」
「すごいな、番って……じゃあ、もしかして……」
「え? あ!」
アキヤさんが俺のパジャマのズボンのゴムを引っ張った。
この下は、ウエストにパジャマと同じブランドのロゴが印刷されている黒いボクサーパンツ。
これも特に色気はない普通に良い下着なんだけど……。
「やっぱり」
アキヤさんが自分のズボンを少しずらして俺に見せてくれたのは、同じロゴの濃いグレーのボクサーパンツ。
つまりこれって……
「色違いだね」
「……!」
下着までお揃い!
「あの、この前、アキヤさんが黒い下着だったから、黒にしたんです」
「俺はこの前、ミチくんが濃いグレーの下着だったから、これにした」
考えていることまでお揃い!
「……同じこと、考えていたんですね」
「……そうだね」
番ってこんなに波長が合うんだ。
嬉しい。
嬉しいと……
「ごめん、勃った」
「……俺も、濡れたかも」
二人で少し照れながら、自然と顔を近づけてキスをした。
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