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第38話 巣
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「アキヤさんのフェロモンだ……これも……こっちも……」
巣材入れから取り出す服は、どれも全部アキヤさんのフェロモンや匂いが感じられて、全部が宝物に思えた。
この宝物はこっち。
この宝物はその上。
この宝物は、こっちの宝物と組み合わせて……。
大きなベッドの上に俺の大事な宝物を積み上げて、立派な巣をつくる。
うん。俺、巣作りの才能ある。めちゃくちゃ良い巣ができたと思う!
ここでアキヤさん待てばいいんだよね?
喜んでくれるかな……楽しみだな……。
出来上がった巣の中に、少し残った巣材を抱えて入ると、巣の中はアキヤさんのフェロモンが強くて……あー……心臓ドクドクする。息も勝手にはぁはぁ言う。
完全にヒートだ。
「ん……アキヤさん、まだかな……」
ここ。巣。すごく居心地がいいけど……
「一個、着ちゃおう」
アキヤさんのフェロモンに囲まれているのに、アキヤさんがいないのが寂しくて、シャワーできれいにした体に直接、余っていたセーターを着る。
「はぁ……アキヤさん」
自分で自分の体を抱きしめると、セーターに染みついたアキヤさんのフェロモンを強く感じた。
うん。これいい……いいけど……アキヤさんはまだいない。
……まずい。寂しくなってきた。泣きそう。
アキヤさんが帰ってきたら笑顔で迎えたいのに。
ヒート中、だめだな。情緒不安定だ。
アキヤさん……。
まだかな……。
アキヤさん、顔みたい。
アキヤさん……声聞きたい。
アキヤさん…………とにかく、アキヤさん。
「ミチくん!」
ドアが開いて、閉まって、鍵がかかる音がした。
アキヤさんの猛ダッシュの足音が聞こえて……寝室のドアが開く。
「アキヤさん!」
アキヤさんだ!
アキヤさんが帰ってくるまでは、とにかく顔が見たい、声が聞きたいだったのに、顔を見てしまうと次は抱きしめて欲しい、肌を触れ合わせたいとどんどん貪欲になる。
それなのに……チャコールグレーのビジネススーツで、俺の編んだマフラーとセーターを身に着けてくれているアキヤさんは、なぜかその場に立ったままで俺のところまで来てくれない。
「あ、うわ! すごい……!」
「アキヤさん……?」
「ミチくん、ごめんね、ちょっとだけ、待って。すぐだから!」
アキヤさんが慌てた様子でスーツのポケットからスマートフォンを取り出す。
なんの連絡?
早くしてよ……。
「ごめん、ちょっとマジでそれ、巣、すごいから写真撮らせて。これ、一生の思い出にしたい!」
巣? すごい?
「俺の作った巣、気に入ってくれました?」
「気に入った。これ絶対に待ち受けに……みんなにも自慢したい……ミチくん、後ろ向いて座っているところと、こっち向いて座っているのと、二枚撮らせて。……やっぱりもっと! そう、うん。最高。うわ。マジでこの巣、すごい。俺の巣、最高過ぎる。しかもミチくん、俺のセーター着てる? かわいい、巣にも合ってる。世界一だと思う!」
アキヤさんは興奮した口調でそんなことを言いながら、俺の体の周りにぐるりと一周、アキヤさんの匂いやフェロモンがついた服を積み上げて、更にマフラーを編み込むようにして作った巣の写真を何枚も何枚も撮っていく。
自分で編んだニットたっぷりの巣は、我ながらいい出来だと思うけど、巣を気に入ってくれたのは、心の底から、沸き立つくらい嬉しいけど。
「アキヤさん……この巣、自分でも気に入ってるけど……」
巣から身を乗り出して、ベッドのそばまで来てくれたアキヤさんの腕を引く。
「俺が作ったニットがいっぱいで、全部にアキヤさんの匂いとフェロモンがしみついてて、アキヤさん、アキヤさんの匂いに包まれてると、ヒートどんどんひどくなる……はやく来て、アキヤさん……!」
「っ……ミ、チくん!」
アキヤさんが俺の手に引かれるまま、巣の中に来てくれて……あぁ、アキヤさんだ。
アキヤさん……アキヤさん……アキヤさん!
「っ、ミチくん……はぁ……すごい、こんな……」
アキヤさんが俺の体を力強く抱きしめてくれる。
身体が密着すると、アキヤさんの項が近づいて……あ、すごい。フェロモン、濃い。
「ミチくん……、ミチくんのフェロモン、すごい。こんなの、俺……」
アキヤさんがぎゅぅうううううっと強く強く抱きしめた後、少しだけ体を離して、余裕のない顔で俺の顔を覗き込んだ。
「……避妊の薬、飲んだ?」
「飲んだ!」
アキヤさんと話し合って妊娠はもう少し後って決めたから、ちゃんと病院でもらってきて、先に飲む方の薬は飲んだ。
「後ろ、準備した?」
「した!」
「水分とか、栄養とか……」
「とった!」
俺が被せ気味に返事をして、これで事前に決めていた準備は完璧だ。
だから、ねぇ?
もういいよね? ね?
「アキヤさん、もう全部した、ちゃんと俺、約束守った! だから、はやく……」
唯一身に着けていた、アキヤさんのセーターを脱ぐ。
アキヤさんの匂いとフェロモンを感じたいから着ていたけど、本人が目の前にいるんだからもう必要ない。
早く全身でアキヤさんを感じたい。
身体の中にアキヤさんが入って欲しい。
アキヤさんの、子種を……注いで欲しい。
「はやくエッチしてぇ……」
なりふり構わず、アキヤさんの首に媚びるように抱き着いた。
「っ……! ミチくん……そんな煽られたら……もう!」
「んっ!」
いつになく余裕のないアキヤさんが、いつもの優しいキスとは全然違う、がっつくようなキスをしてくれて……俺たちの初めての発情期セックスが始まった。
巣材入れから取り出す服は、どれも全部アキヤさんのフェロモンや匂いが感じられて、全部が宝物に思えた。
この宝物はこっち。
この宝物はその上。
この宝物は、こっちの宝物と組み合わせて……。
大きなベッドの上に俺の大事な宝物を積み上げて、立派な巣をつくる。
うん。俺、巣作りの才能ある。めちゃくちゃ良い巣ができたと思う!
ここでアキヤさん待てばいいんだよね?
喜んでくれるかな……楽しみだな……。
出来上がった巣の中に、少し残った巣材を抱えて入ると、巣の中はアキヤさんのフェロモンが強くて……あー……心臓ドクドクする。息も勝手にはぁはぁ言う。
完全にヒートだ。
「ん……アキヤさん、まだかな……」
ここ。巣。すごく居心地がいいけど……
「一個、着ちゃおう」
アキヤさんのフェロモンに囲まれているのに、アキヤさんがいないのが寂しくて、シャワーできれいにした体に直接、余っていたセーターを着る。
「はぁ……アキヤさん」
自分で自分の体を抱きしめると、セーターに染みついたアキヤさんのフェロモンを強く感じた。
うん。これいい……いいけど……アキヤさんはまだいない。
……まずい。寂しくなってきた。泣きそう。
アキヤさんが帰ってきたら笑顔で迎えたいのに。
ヒート中、だめだな。情緒不安定だ。
アキヤさん……。
まだかな……。
アキヤさん、顔みたい。
アキヤさん……声聞きたい。
アキヤさん…………とにかく、アキヤさん。
「ミチくん!」
ドアが開いて、閉まって、鍵がかかる音がした。
アキヤさんの猛ダッシュの足音が聞こえて……寝室のドアが開く。
「アキヤさん!」
アキヤさんだ!
アキヤさんが帰ってくるまでは、とにかく顔が見たい、声が聞きたいだったのに、顔を見てしまうと次は抱きしめて欲しい、肌を触れ合わせたいとどんどん貪欲になる。
それなのに……チャコールグレーのビジネススーツで、俺の編んだマフラーとセーターを身に着けてくれているアキヤさんは、なぜかその場に立ったままで俺のところまで来てくれない。
「あ、うわ! すごい……!」
「アキヤさん……?」
「ミチくん、ごめんね、ちょっとだけ、待って。すぐだから!」
アキヤさんが慌てた様子でスーツのポケットからスマートフォンを取り出す。
なんの連絡?
早くしてよ……。
「ごめん、ちょっとマジでそれ、巣、すごいから写真撮らせて。これ、一生の思い出にしたい!」
巣? すごい?
「俺の作った巣、気に入ってくれました?」
「気に入った。これ絶対に待ち受けに……みんなにも自慢したい……ミチくん、後ろ向いて座っているところと、こっち向いて座っているのと、二枚撮らせて。……やっぱりもっと! そう、うん。最高。うわ。マジでこの巣、すごい。俺の巣、最高過ぎる。しかもミチくん、俺のセーター着てる? かわいい、巣にも合ってる。世界一だと思う!」
アキヤさんは興奮した口調でそんなことを言いながら、俺の体の周りにぐるりと一周、アキヤさんの匂いやフェロモンがついた服を積み上げて、更にマフラーを編み込むようにして作った巣の写真を何枚も何枚も撮っていく。
自分で編んだニットたっぷりの巣は、我ながらいい出来だと思うけど、巣を気に入ってくれたのは、心の底から、沸き立つくらい嬉しいけど。
「アキヤさん……この巣、自分でも気に入ってるけど……」
巣から身を乗り出して、ベッドのそばまで来てくれたアキヤさんの腕を引く。
「俺が作ったニットがいっぱいで、全部にアキヤさんの匂いとフェロモンがしみついてて、アキヤさん、アキヤさんの匂いに包まれてると、ヒートどんどんひどくなる……はやく来て、アキヤさん……!」
「っ……ミ、チくん!」
アキヤさんが俺の手に引かれるまま、巣の中に来てくれて……あぁ、アキヤさんだ。
アキヤさん……アキヤさん……アキヤさん!
「っ、ミチくん……はぁ……すごい、こんな……」
アキヤさんが俺の体を力強く抱きしめてくれる。
身体が密着すると、アキヤさんの項が近づいて……あ、すごい。フェロモン、濃い。
「ミチくん……、ミチくんのフェロモン、すごい。こんなの、俺……」
アキヤさんがぎゅぅうううううっと強く強く抱きしめた後、少しだけ体を離して、余裕のない顔で俺の顔を覗き込んだ。
「……避妊の薬、飲んだ?」
「飲んだ!」
アキヤさんと話し合って妊娠はもう少し後って決めたから、ちゃんと病院でもらってきて、先に飲む方の薬は飲んだ。
「後ろ、準備した?」
「した!」
「水分とか、栄養とか……」
「とった!」
俺が被せ気味に返事をして、これで事前に決めていた準備は完璧だ。
だから、ねぇ?
もういいよね? ね?
「アキヤさん、もう全部した、ちゃんと俺、約束守った! だから、はやく……」
唯一身に着けていた、アキヤさんのセーターを脱ぐ。
アキヤさんの匂いとフェロモンを感じたいから着ていたけど、本人が目の前にいるんだからもう必要ない。
早く全身でアキヤさんを感じたい。
身体の中にアキヤさんが入って欲しい。
アキヤさんの、子種を……注いで欲しい。
「はやくエッチしてぇ……」
なりふり構わず、アキヤさんの首に媚びるように抱き着いた。
「っ……! ミチくん……そんな煽られたら……もう!」
「んっ!」
いつになく余裕のないアキヤさんが、いつもの優しいキスとは全然違う、がっつくようなキスをしてくれて……俺たちの初めての発情期セックスが始まった。
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