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第17話:敏腕プロデューサー・橘
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紫煙が、会議室の空気を白く濁らせていた。
大手芸能事務所『スターライト・エージェンシー』の役員フロア。その一角にあるその部屋では、先日行われたLUNAのソロコンサートに関する総括会議が開かれていた。テーブルには、動員数、グッズ売上、SNSでの反響といった、成功を示す無数のデータが並べられている。
「――以上をもちまして、今回のコンサートは大成功であったと結論付けられます」
マネージャーの田中が、誇らしげに報告を締めくくる。会議室にいたスタッフたちから、安堵の混じった拍手が起こった。その輪の中心で、今日の主役である星宮瑠奈は、少し得意げな表情で頬杖をついている。彼女の隣に座る重役たちも、満足げに頷いていた。
その、和やかで弛緩した空気を切り裂くように、低い声が響いた。
「それで?」
声の主は、会議室の隅の席で、腕を組んだまま黙っていた男だった。
橘 翔太(たちばな しょうた)。
三十代前半という若さで、国民的アイドルグループ『Starlight Melody』の総合プロデューサーを務める、業界の若き実力者。着古したブランドもののスーツに、鋭い光を宿した瞳。指に挟まれたショートピースから立ち上る煙が、彼の輪郭を曖昧にしていた。
「……橘プロデューサー、何か?」
田中が、おずおずと尋ねる。橘は、ゆっくりと指から煙を吐き出すと、テーブルに並べられた資料を冷たい目で見下ろした。
「コンサートの成功は結構だ。LUNA一人の集客力と商品価値は、データが示す通り疑いようがない。だが、それで何かが変わったのか?」
橘の言葉に、室内の温度が数度下がったような気がした。誰もが、彼の次の言葉を固唾を飲んで待っている。
「『Starlight Melody』全体のCD売上は、この三作連続で下降線を辿っている。ファンクラブの新規会員数も頭打ちだ。LUNAのソロ活動がどれだけ成功しようと、グループ本体が沈みかけているという現実は、何も変わっていない」
冷徹な事実の羅列。それは、成功に浮かれていた者たちへの、冷や水以外の何物でもなかった。重役たちの顔から、笑みが消える。
「何を言いたいの、橘さん」
今まで黙っていた瑠奈が、不満げに口を尖らせた。
「今回のコンサートで、グループへの注目度だって上がったはずよ。私は、私のやるべきことをやったわ」
「君が自分の役割を全うしたことは認める。素晴らしいパフォーマンスだった」
橘は、感情の乗らない声で瑠奈を評価した。だが、すぐに言葉を続ける。
「だが、勘違いするな。君一人のカリスマ性で、グループを永遠に引っ張り続けられると思うなよ。アイドルグループは、総合力だ。そして何より――」
橘は、そこで一度言葉を切ると、テーブルの中央に置かれた灰皿に、短くなった煙草を押し付けた。
「――楽曲が、死んでいる」
その一言は、会議室の空気を完全に凍りつかせた。
それは、グループの楽曲制作を統括する橘自身の、自己批判でもあったからだ。
「今の俺たちが作っている曲は、なんだ? 流行りのサウンドを分析し、売れ線のコード進行をなぞり、アイドルのイメージに合わせた当たり障りのない歌詞を乗せただけの、ただの工業製品だ。魂がない。熱がない。聴く者の心を、人生を、揺さぶるような力が、今の俺たちの曲には欠片もない」
橘は、静かに、しかし熱を込めて語った。それは、この場にいる誰にも向けられていない、彼自身の内なる渇望の叫びのようだった。
「LUNAという、百年の一度の逸材をセンターに置きながら、俺たちは彼女に相応しい武器を与えられていない。ガンダムに、竹槍で戦わせているようなものだ。このままじゃ、じり貧になるのは目に見えている」
誰も、何も言い返せない。橘の指摘は、的確に問題の核心を突いていたからだ。誰もが薄々感じてはいたが、見て見ぬふりをしてきた現実。それを、彼は容赦なく白日の下に晒した。
「……じゃあ、どうしろって言うのよ」
瑠奈が、悔しそうに呟く。
「橘さんが作る曲が、一番いいって、みんな言ってるじゃない」
「俺の引き出しは、もう空っぽに近い」
橘は、あっさりと自らの限界を認めた。
「俺は、今のアイドル業界という箱の中で、最適解を導き出すことには長けている。だが、その箱自体を破壊するような、規格外の発想はもう生まれてこない。必要なのは、新しい血だ。まだ誰にも染まっていない、荒削りで、危険で、美しい……本物の才能だ」
彼の瞳には、飢えた獣のような光が宿っていた。
才能への、渇望。
この膠着した状況を、たった一曲でひっくり返してしまうような、奇跡の楽曲。それを生み出せる、まだ見ぬ誰か。橘は、今、それを心の底から求めていた。
「会議は以上だ。次のシングルの方向性については、俺に一任してもらう。文句は言わせん」
橘は一方的にそう告げると、誰の返事も待たずに席を立った。重役たちも、彼のその有無を言わせぬ迫力に、何も言えずにただ見送るだけだった。
会議室を出た橘は、そのままビルの屋上へと向かった。冷たい夜風が、火照った頬を撫でていく。彼は新しい煙草に火をつけると、フェンスにもたれかかり、眼下に広がる東京の夜景を見下ろした。無数の光の点が、まるで星空のように瞬いている。
(どこかにいないのか……)
橘は、紫煙と共に、心の内の呟きを吐き出した。
LUNAの不安定さも、橘は理解していた。彼女が、ステージの外で何かを、誰かを求めて、もがいていることにも気づいている。だが、橘はプロデューサーだ。アーティストのメンタルケアは、彼の仕事ではない。彼がすべきことはただ一つ。彼女が、そしてグループが、最も輝ける最高の楽曲を用意すること。それだけだ。
「……本物の、才能」
呟いた言葉が、夜の風に攫われて消えていく。
この、星の数ほど光がひしめく大都会のどこかに、まだ誰にも発見されていない、原石が眠っているはずだ。常識を、予定調和を、全て打ち砕いてくれるような、圧倒的な才能が。
橘は、それを探し出すためなら、どんな手段も厭わない覚悟だった。
彼のその飢えた渇望が、やがて一人の大学生の運命を大きく揺り動かすことになるのを、まだ誰も知らない。ただ、東京の夜景だけが、彼の孤独な野心を、静かに見下ろしていた。
大手芸能事務所『スターライト・エージェンシー』の役員フロア。その一角にあるその部屋では、先日行われたLUNAのソロコンサートに関する総括会議が開かれていた。テーブルには、動員数、グッズ売上、SNSでの反響といった、成功を示す無数のデータが並べられている。
「――以上をもちまして、今回のコンサートは大成功であったと結論付けられます」
マネージャーの田中が、誇らしげに報告を締めくくる。会議室にいたスタッフたちから、安堵の混じった拍手が起こった。その輪の中心で、今日の主役である星宮瑠奈は、少し得意げな表情で頬杖をついている。彼女の隣に座る重役たちも、満足げに頷いていた。
その、和やかで弛緩した空気を切り裂くように、低い声が響いた。
「それで?」
声の主は、会議室の隅の席で、腕を組んだまま黙っていた男だった。
橘 翔太(たちばな しょうた)。
三十代前半という若さで、国民的アイドルグループ『Starlight Melody』の総合プロデューサーを務める、業界の若き実力者。着古したブランドもののスーツに、鋭い光を宿した瞳。指に挟まれたショートピースから立ち上る煙が、彼の輪郭を曖昧にしていた。
「……橘プロデューサー、何か?」
田中が、おずおずと尋ねる。橘は、ゆっくりと指から煙を吐き出すと、テーブルに並べられた資料を冷たい目で見下ろした。
「コンサートの成功は結構だ。LUNA一人の集客力と商品価値は、データが示す通り疑いようがない。だが、それで何かが変わったのか?」
橘の言葉に、室内の温度が数度下がったような気がした。誰もが、彼の次の言葉を固唾を飲んで待っている。
「『Starlight Melody』全体のCD売上は、この三作連続で下降線を辿っている。ファンクラブの新規会員数も頭打ちだ。LUNAのソロ活動がどれだけ成功しようと、グループ本体が沈みかけているという現実は、何も変わっていない」
冷徹な事実の羅列。それは、成功に浮かれていた者たちへの、冷や水以外の何物でもなかった。重役たちの顔から、笑みが消える。
「何を言いたいの、橘さん」
今まで黙っていた瑠奈が、不満げに口を尖らせた。
「今回のコンサートで、グループへの注目度だって上がったはずよ。私は、私のやるべきことをやったわ」
「君が自分の役割を全うしたことは認める。素晴らしいパフォーマンスだった」
橘は、感情の乗らない声で瑠奈を評価した。だが、すぐに言葉を続ける。
「だが、勘違いするな。君一人のカリスマ性で、グループを永遠に引っ張り続けられると思うなよ。アイドルグループは、総合力だ。そして何より――」
橘は、そこで一度言葉を切ると、テーブルの中央に置かれた灰皿に、短くなった煙草を押し付けた。
「――楽曲が、死んでいる」
その一言は、会議室の空気を完全に凍りつかせた。
それは、グループの楽曲制作を統括する橘自身の、自己批判でもあったからだ。
「今の俺たちが作っている曲は、なんだ? 流行りのサウンドを分析し、売れ線のコード進行をなぞり、アイドルのイメージに合わせた当たり障りのない歌詞を乗せただけの、ただの工業製品だ。魂がない。熱がない。聴く者の心を、人生を、揺さぶるような力が、今の俺たちの曲には欠片もない」
橘は、静かに、しかし熱を込めて語った。それは、この場にいる誰にも向けられていない、彼自身の内なる渇望の叫びのようだった。
「LUNAという、百年の一度の逸材をセンターに置きながら、俺たちは彼女に相応しい武器を与えられていない。ガンダムに、竹槍で戦わせているようなものだ。このままじゃ、じり貧になるのは目に見えている」
誰も、何も言い返せない。橘の指摘は、的確に問題の核心を突いていたからだ。誰もが薄々感じてはいたが、見て見ぬふりをしてきた現実。それを、彼は容赦なく白日の下に晒した。
「……じゃあ、どうしろって言うのよ」
瑠奈が、悔しそうに呟く。
「橘さんが作る曲が、一番いいって、みんな言ってるじゃない」
「俺の引き出しは、もう空っぽに近い」
橘は、あっさりと自らの限界を認めた。
「俺は、今のアイドル業界という箱の中で、最適解を導き出すことには長けている。だが、その箱自体を破壊するような、規格外の発想はもう生まれてこない。必要なのは、新しい血だ。まだ誰にも染まっていない、荒削りで、危険で、美しい……本物の才能だ」
彼の瞳には、飢えた獣のような光が宿っていた。
才能への、渇望。
この膠着した状況を、たった一曲でひっくり返してしまうような、奇跡の楽曲。それを生み出せる、まだ見ぬ誰か。橘は、今、それを心の底から求めていた。
「会議は以上だ。次のシングルの方向性については、俺に一任してもらう。文句は言わせん」
橘は一方的にそう告げると、誰の返事も待たずに席を立った。重役たちも、彼のその有無を言わせぬ迫力に、何も言えずにただ見送るだけだった。
会議室を出た橘は、そのままビルの屋上へと向かった。冷たい夜風が、火照った頬を撫でていく。彼は新しい煙草に火をつけると、フェンスにもたれかかり、眼下に広がる東京の夜景を見下ろした。無数の光の点が、まるで星空のように瞬いている。
(どこかにいないのか……)
橘は、紫煙と共に、心の内の呟きを吐き出した。
LUNAの不安定さも、橘は理解していた。彼女が、ステージの外で何かを、誰かを求めて、もがいていることにも気づいている。だが、橘はプロデューサーだ。アーティストのメンタルケアは、彼の仕事ではない。彼がすべきことはただ一つ。彼女が、そしてグループが、最も輝ける最高の楽曲を用意すること。それだけだ。
「……本物の、才能」
呟いた言葉が、夜の風に攫われて消えていく。
この、星の数ほど光がひしめく大都会のどこかに、まだ誰にも発見されていない、原石が眠っているはずだ。常識を、予定調和を、全て打ち砕いてくれるような、圧倒的な才能が。
橘は、それを探し出すためなら、どんな手段も厭わない覚悟だった。
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