90 / 101
第90話:運命の主題-歌
しおりを挟む
「追憶のセレナーデ -続編-」の制作は最高の形でその帆を揚げた。
ヒロイン、リリア役に朝霧陽葵が決定したというニュースは世間に大きな、そして好意的な驚きをもって迎えられた。前作での彼女の魂のこもった演技は多くの人々の記憶にまだ新しく残っていたからだ。
そして、音楽監督renとの公私にわたるパートナーシップ。そのあまりにもドラマチックな物語は、映画の公開前から人々の期待を否が応でも煽り立てていた。
制作は順調に進んだ。
蓮は音楽監督として、その才能をかつてないほど爆発させていた。
陽葵という最高のミューズを得た彼の創作意欲は、留まることを知らなかった。
アフレコスタジオで陽葵がリリアとして魂の声を吹き込む。
その声を聴きながら、蓮は自らのスタジオで次々と神がかった劇伴音楽を生み出していく。
二人の才能は互いを刺激し合い、高め合い、奇跡のような相乗効果を生み出していた。
だが、この巨大プロジェクトにはまだ最後の、そして最も重要なピースが残されていた。
それは、作品の全てを締めくくる主題歌。
そして、その歌声を誰に託すのかという究極の選択だった。
スターライト・エージェンシー、役員会議室。
再びあのメンバーが顔を揃えていた。
黒崎監督、原作者の夏目響、プロデューサーの橘翔太、そして音楽監督の藤堂蓮。
「……楽曲はほぼ完成している」
蓮が口火を切った。
テーブルの上に置かれたラップトップから、彼が作り上げた主題歌のデモ音源が流れ始める。
それは前作の主題歌とはまた違う、壮大で、しかしどこまでも優しく、そして希望に満ちた壮大なバラードだった。
物語の全ての哀しみと喜びを包み込み、そしてその先の未来を照らし出すような、光の音楽。
デモ音源が終わると、会議室は深い感動に包まれた。
「……素晴らしい」
原作者の夏目響が感極まったように呟いた。
「これこそが、私がこの物語の最後に描きたかった光だ」
黒崎監督も何度も深く頷いている。
「問題は、歌手だ」
橘が本題を切り出した。
「この神の領域に達した楽曲を歌いこなせるボーカリストが、今の日本にいるのかどうか」
スクリーンに再び日本を代表するトップアーティストたちの名前が映し出される。
だが、誰もがどこかしっくりこないという表情をしていた。
この曲はあまりにも完璧すぎた。
生半可な技術や人気では到底太刀打ちできないほどの魂の重みがそこにはあった。
会議は難航した。
いくつかの名前が挙がっては消えていく。
その重苦しい空気を破ったのは、今まで黙って議論を聞いていた黒崎監督の一言だった。
「……彼女はどうしている?」
そのあまりにも唐突な問い。
誰もがその『彼女』が誰を指しているのか一瞬分からなかった。
だが、橘だけはその意味を即座に理解していた。
「……ニューヨークで歌っていると聞いています」
橘が静かに答えた。
「小さなジャズクラブで。もう日本の音楽シーンとは完全に縁を切った、と」
その会話を聞いて、蓮ははっとした。
まさか。
監督が言っているのは。
黒崎監督はゆっくりと立ち上がった。
そして、窓の外の東京の空を見つめながら言った。
「……この歌は光だけを歌う歌ではない。深い、深い闇を知る者でなければ、この光の本当の眩しさを表現することはできん」
監督は振り返ると、蓮の目を真っ直ぐに見据えた。
「ren君。君はどう思うかね。……星宮瑠奈が、この歌を歌うことを」
運命の主題歌。
その歌い手として白羽の矢が立ったのは。
誰もが予想しなかった、そしてある意味では誰もが心のどこかで予感していた、その名前だった。
LUNA――星宮瑠-奈。
蓮は言葉を失った。
再び彼女と音楽を作るというのか。
陽葵はどう思うだろうか。
ようやく手に入れたこの穏やかな幸せが、また壊れてしまうのではないか。
一瞬、蓮の脳裏を不安がよぎった。
だが、クリエイターとしての魂がそれを一瞬で打ち消した。
黒崎監督の言う通りだ。
この歌には光と影、その両方が必要だ。
そして、その両方を完璧に表現できる歌声は世界に一つしか存在しない。
星宮瑠奈の、あの絶望と希望が同居した奇跡の歌声しか。
蓮は覚悟を決めた。
最高の作品を作るために。
「……彼女が受けてくれるのなら。僕に異論はありません」
そのプロフェッショナルとしての答え。
それを聞いた橘は、待っていましたとばかりに口の端に笑みを浮かべた。
「……交渉は俺に任せてもらおう。必ず彼女をこの舞台に引きずり出してみせる」
その日の夜。
蓮はアパートの部屋で、陽葵に全てを話した。
主題歌の歌手が星宮瑠奈になるということを。
陽葵はその名前を聞いて、静かに目を伏せた。
しばらくの間、何も言わなかった。
蓮は、どんな言葉をかければいいのか分からなかった。
やがて陽葵はゆっくりと顔を上げた。
その表情は蓮が想像していたような、悲しみや不安に満ちたものではなかった。
そこにあったのは驚くほど穏やかで、そして澄み切った微笑みだった。
「……そうなんですね」
陽葵は静かに言った。
「……瑠奈さんなら、きっと最高の歌を歌ってくれますね」
「……陽葵」
蓮はたまらず彼女の名前を呼んだ。
「大丈夫ですよ、先輩」
陽葵は蓮の不安を見透かすように優しく微笑んだ。
「私、もう大丈夫ですから。瑠奈さんのこと、ちゃんと一人の素晴らしいアーティストとして尊敬しています。彼女となら最高の作品が作れるって、私も信じてます」
その瞳には一点の曇りもなかった。
彼女はもう嫉ゆえっとや劣等感に囚われてはいなかった。
一人のプロの役者として、この作品の成功だけを純粋に願っていたのだ。
蓮は胸が熱くなった。
この一年半という月日は自分だけでなく、彼女のこともこんなにも強く、そして美しく成長させていたのだと。
「……ありがとう、陽葵」
蓮は彼女の体をそっと抱きしめた。
運命は再び三人を引き合わせようとしていた。
だが、それはもはや悲劇の前触れではなかった。
それぞれの成長を遂げた三つの才能が再び集結し、歴史に残る最高の奇跡を生み出すための、祝福された運命の再会。
その幕が今、静かに上がろうとしていた。
ヒロイン、リリア役に朝霧陽葵が決定したというニュースは世間に大きな、そして好意的な驚きをもって迎えられた。前作での彼女の魂のこもった演技は多くの人々の記憶にまだ新しく残っていたからだ。
そして、音楽監督renとの公私にわたるパートナーシップ。そのあまりにもドラマチックな物語は、映画の公開前から人々の期待を否が応でも煽り立てていた。
制作は順調に進んだ。
蓮は音楽監督として、その才能をかつてないほど爆発させていた。
陽葵という最高のミューズを得た彼の創作意欲は、留まることを知らなかった。
アフレコスタジオで陽葵がリリアとして魂の声を吹き込む。
その声を聴きながら、蓮は自らのスタジオで次々と神がかった劇伴音楽を生み出していく。
二人の才能は互いを刺激し合い、高め合い、奇跡のような相乗効果を生み出していた。
だが、この巨大プロジェクトにはまだ最後の、そして最も重要なピースが残されていた。
それは、作品の全てを締めくくる主題歌。
そして、その歌声を誰に託すのかという究極の選択だった。
スターライト・エージェンシー、役員会議室。
再びあのメンバーが顔を揃えていた。
黒崎監督、原作者の夏目響、プロデューサーの橘翔太、そして音楽監督の藤堂蓮。
「……楽曲はほぼ完成している」
蓮が口火を切った。
テーブルの上に置かれたラップトップから、彼が作り上げた主題歌のデモ音源が流れ始める。
それは前作の主題歌とはまた違う、壮大で、しかしどこまでも優しく、そして希望に満ちた壮大なバラードだった。
物語の全ての哀しみと喜びを包み込み、そしてその先の未来を照らし出すような、光の音楽。
デモ音源が終わると、会議室は深い感動に包まれた。
「……素晴らしい」
原作者の夏目響が感極まったように呟いた。
「これこそが、私がこの物語の最後に描きたかった光だ」
黒崎監督も何度も深く頷いている。
「問題は、歌手だ」
橘が本題を切り出した。
「この神の領域に達した楽曲を歌いこなせるボーカリストが、今の日本にいるのかどうか」
スクリーンに再び日本を代表するトップアーティストたちの名前が映し出される。
だが、誰もがどこかしっくりこないという表情をしていた。
この曲はあまりにも完璧すぎた。
生半可な技術や人気では到底太刀打ちできないほどの魂の重みがそこにはあった。
会議は難航した。
いくつかの名前が挙がっては消えていく。
その重苦しい空気を破ったのは、今まで黙って議論を聞いていた黒崎監督の一言だった。
「……彼女はどうしている?」
そのあまりにも唐突な問い。
誰もがその『彼女』が誰を指しているのか一瞬分からなかった。
だが、橘だけはその意味を即座に理解していた。
「……ニューヨークで歌っていると聞いています」
橘が静かに答えた。
「小さなジャズクラブで。もう日本の音楽シーンとは完全に縁を切った、と」
その会話を聞いて、蓮ははっとした。
まさか。
監督が言っているのは。
黒崎監督はゆっくりと立ち上がった。
そして、窓の外の東京の空を見つめながら言った。
「……この歌は光だけを歌う歌ではない。深い、深い闇を知る者でなければ、この光の本当の眩しさを表現することはできん」
監督は振り返ると、蓮の目を真っ直ぐに見据えた。
「ren君。君はどう思うかね。……星宮瑠奈が、この歌を歌うことを」
運命の主題歌。
その歌い手として白羽の矢が立ったのは。
誰もが予想しなかった、そしてある意味では誰もが心のどこかで予感していた、その名前だった。
LUNA――星宮瑠-奈。
蓮は言葉を失った。
再び彼女と音楽を作るというのか。
陽葵はどう思うだろうか。
ようやく手に入れたこの穏やかな幸せが、また壊れてしまうのではないか。
一瞬、蓮の脳裏を不安がよぎった。
だが、クリエイターとしての魂がそれを一瞬で打ち消した。
黒崎監督の言う通りだ。
この歌には光と影、その両方が必要だ。
そして、その両方を完璧に表現できる歌声は世界に一つしか存在しない。
星宮瑠奈の、あの絶望と希望が同居した奇跡の歌声しか。
蓮は覚悟を決めた。
最高の作品を作るために。
「……彼女が受けてくれるのなら。僕に異論はありません」
そのプロフェッショナルとしての答え。
それを聞いた橘は、待っていましたとばかりに口の端に笑みを浮かべた。
「……交渉は俺に任せてもらおう。必ず彼女をこの舞台に引きずり出してみせる」
その日の夜。
蓮はアパートの部屋で、陽葵に全てを話した。
主題歌の歌手が星宮瑠奈になるということを。
陽葵はその名前を聞いて、静かに目を伏せた。
しばらくの間、何も言わなかった。
蓮は、どんな言葉をかければいいのか分からなかった。
やがて陽葵はゆっくりと顔を上げた。
その表情は蓮が想像していたような、悲しみや不安に満ちたものではなかった。
そこにあったのは驚くほど穏やかで、そして澄み切った微笑みだった。
「……そうなんですね」
陽葵は静かに言った。
「……瑠奈さんなら、きっと最高の歌を歌ってくれますね」
「……陽葵」
蓮はたまらず彼女の名前を呼んだ。
「大丈夫ですよ、先輩」
陽葵は蓮の不安を見透かすように優しく微笑んだ。
「私、もう大丈夫ですから。瑠奈さんのこと、ちゃんと一人の素晴らしいアーティストとして尊敬しています。彼女となら最高の作品が作れるって、私も信じてます」
その瞳には一点の曇りもなかった。
彼女はもう嫉ゆえっとや劣等感に囚われてはいなかった。
一人のプロの役者として、この作品の成功だけを純粋に願っていたのだ。
蓮は胸が熱くなった。
この一年半という月日は自分だけでなく、彼女のこともこんなにも強く、そして美しく成長させていたのだと。
「……ありがとう、陽葵」
蓮は彼女の体をそっと抱きしめた。
運命は再び三人を引き合わせようとしていた。
だが、それはもはや悲劇の前触れではなかった。
それぞれの成長を遂げた三つの才能が再び集結し、歴史に残る最高の奇跡を生み出すための、祝福された運命の再会。
その幕が今、静かに上がろうとしていた。
0
あなたにおすすめの小説
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたのだが、この後どうしたらいい?
みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。
普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。
「そうだ、弱味を聞き出そう」
弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。
「あたしの好きな人は、マーくん……」
幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。
よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。
NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。
中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。
しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。
助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。
無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。
だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。
この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。
この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった……
7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか?
NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。
※この作品だけを読まれても普通に面白いです。
関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】
【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる