異世界転生特典『絶対安全領域(マイホーム)』~家の中にいれば神すら無効化、一歩も出ずに世界最強になりました~

夏見ナイ

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第62話 やっぱり我が家が一番だな

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神が、嵐のように、去っていった後。
リビングには、奇妙な、静寂と、一枚の、黒いカードだけが、残された。
「……何だったんだ、今の」
俺は、ローテーブルの上に、置かれた、その、胡散臭いカードを、じっと、見つめた。
『ワールド・カスタマイズ・カード』。
家の、外観を、変えたり、新しい、同居人を、召喚したり。
確かに、面白そうな、機能では、ある。
だが、今の、俺には、必要ない。
この家は、すでに、俺にとって、完璧な、理想郷だ。
これ以上、何かを、加える必要も、変える必要も、ない。
「ユータ様、今の、お方は……?」
様子を、窺っていた、リリアが、おずおずと、尋ねてくる。
「……ああ。俺の、元・上司、みたいなもんだ。もう、二度と、会うこともないだろう」
俺は、そう、適当に、はぐらかした。
神様だ、などと、説明するのも、面倒だった。
「それより、リリア。お前、そろそろ、城に、帰らなくて、いいのか? 女王様が、いつまでも、こんな、引きこもりの家で、油を売っていては、民が、心配するぞ」
俺が、そう言うと、リリアは、むぅ、と、頬を、膨らませた。
「……いいのです。たまには、こうして、羽を伸ばさなければ、やっていられませんわ。それに……」
彼女は、少しだけ、顔を赤らめ、俯きながら、呟いた。
「……ここが、わたくしの、本当の、居場所、ですから」
その、言葉。
リビングにいた、フィーも、モカも、そして、俺も、少しだけ、照れくさいような、温かいような、気持ちになった。
「……ご主人様」
モカが、俺の、服の裾を、きゅっと、掴んだ。
「私も、ずっと、ここに、いて、いいですか?」
その、上目遣いは、反則だ。
「当たり前だろ。お前は、うちの、メイド長なんだからな。お前がいなきゃ、俺は、飯も食えずに、干からびちまう」
「えへへ……」
モカは、嬉しそうに、笑った。
「まったく。ユータさんは、人がいないと、何もできないんですから」
フィーが、呆れたように、しかし、その口元には、優しい笑みを浮かべて、言った。
「この家の、研究も、まだ、道半ばです。わたくしも、もう少し、この、奇妙で、刺激的な、日常を、楽しませていただきますよ」
リリア、モカ、フィー。
三人の、ヒロインたち。
彼女たちは、もはや、俺にとって、ただの、同居人ではなかった。
かけがえのない、『家族』と、呼べる、存在に、なっていたのかもしれない。
俺は、そんな、騒がしくも、温かい、空気に、包まれながら、ふと、窓の外を、見た。
庭では、番犬ポチと、ザイードが、不満げな、顔をしながらも、ピヨちゃんに、毛づくろいを、されてやっている。
農場では、農業ゴーレムたちが、黙々と、働き、豊かな、実りを、生み出し続けている。
遠くの、魔王城では、元・魔王ゼノンが、俺の家の、ソファの、座り心地を、再現しようと、魔術師たちに、無茶な、命令を、出して、困らせていることだろう。
世界は、平和だ。
そして、俺の、日常は、完璧だ。
俺は、ゆっくりと、ソファに、深く、深く、体を、沈めた。
悪魔的な、座り心地が、俺の、体を、優しく、包み込む。
窓から、差し込む、木漏れ日が、暖かく、心地よい。
キッチンからは、モカが、夕食の準備を始める、いい匂いが、漂ってくる。
ああ、なんて、幸せなんだろう。
前世で、俺が、夢見て、しかし、決して、手に入れることができなかった、穏やかで、満ち足りた、時間。
それが、今、ここに、ある。
俺は、込み上げてくる、幸福感を、噛みしめながら、静かに、目を閉じた。
そして、心の底から、思った。

「……ああ、やっぱり、我が家が、一番だな」

その、呟きは、誰に、聞かれることもなく、リビングの、穏やかな、空気に、溶けていった。
俺の、理想の、引きこもり生活。
それは、これからも、きっと、続いていく。
少し、騒がしくて。
時々、面倒なことが、起きて。
でも、かけがえのない、仲間たちと、共に。
この、世界で、一番、安全で、一番、快適な、我が家で。
物語は、終わらない。
日常は、続いていく。
そう。
俺が、この、ソファから、立ち上がらない、限りは。

**―― Fin ――**
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感想 3

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みんなの感想(3件)

シロクマ
2025.07.30 シロクマ

天候操れるんじゃなかったけ?いる?天候知らせる鳥

解除
builseia
2025.07.29 builseia

句読点が多すぎて読みにくすぎ

2025.07.31 夏見ナイ

感想ありがとうございます!
句読点の多さについて、ご指摘いただき感謝いたします。読みにくさを感じさせてしまい、大変申し訳ありませんでした。
執筆に夢中になるあまり、読者の方の読みやすさへの配慮が足りなかった点、深く反省しております。いただいたご意見を真摯に受け止め、今後の執筆に活かしてまいります。
ちなみに、別サイトの「カクヨム」で先行公開しているバージョンでは、ご指摘いただいた点も含め、文章の推敲や修正を随時行っております。もしご興味がございましたら、そちらも覗いてみていただけると大変嬉しいです。
これからも楽しんでいただける作品をお届けできるよう精一杯頑張りますので、温かく見守っていただけますと幸いです。

解除
アンネローゼ

ある程度ゆかいな仲間たちが増えたら、防音にして全て解決と・・・

解除

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