Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い

夏見ナイ

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第37話 ソフィアの過去との対峙

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呪われた沼から帰還した【黎明の翼】は、ギルドマスターのダリウスにヒュドラの討伐を報告した。ヒュドラの亡骸は大きすぎて持ち帰れなかったが、その証拠となる角と、沼地から瘴気が完全に消えたという事実は、彼らの討伐を証明していた。

「まさか、本当にやるとはな……しかも、無傷で」
ダリウスは、アレンたちを前にして、驚愕を隠せない様子だった。
「Aランク級のヒュドラを討伐したとなれば、Cランク昇格どころの話ではない。異例だが、お前さんたちは即座にBランクへの昇格を認める」

ギルドでの彼らの評価は、一気に跳ね上がった。
「死なないパーティ」という異名は、今や「不死身の討伐者」という畏敬の念に変わっていた。彼らがBランクに昇格したというニュースは、瞬く間にアークライトの街中に広がり、彼らを見る人々の目つきは、明らかに変わっていた。

その夜、いつもの宿屋で、アレン、ソフィア、カイの三人は、ささやかな祝杯を上げていた。
ソフィアは、普段の何倍ものエールを飲み干し、上機嫌だった。
「見たか、アレン!ギルドの連中の顔!まるで、幽霊でも見たような顔しやがって!ざまあみろだ!」

「ああ、ソフィアの剣技は、誰にも真似できないな」
アレンはそう言って、ソフィアの功績を素直に褒めたたえた。

「ま、当然だ。あの牛野郎の剣士様も、俺の足元にも及ばねえだろうぜ!」
ソフィアは、酒の勢いもあってか、かつての同僚であるガリウスのことを思い出し、そう吐き捨てた。

カイは、その傍らで静かに食事を摂っていた。彼の目は、相変わらず鋭く、周囲の警戒を怠らない。

祝杯ムードの中、アレンは静かに本題を切り出した。
「ソフィア。そろそろ、あんたの件に片をつけようと思う」

その言葉に、ソフィアの表情が引き締まる。カイも、食事の手を止めて、アレンを見た。

「あの廃坑で見つけた証拠。あれを、王都に持ち込む」
アレンはそう言うと、持っていた革袋をテーブルに置いた。中には、バルドル公爵嫡男と『蛇の手』を繋ぐ密書と帳簿が入っている。

「俺たちがBランク冒険者として十分な名声を得た今なら、この証拠は無視されない。だが、直接王都に行くのはリスクが高い。バルドルの手の者が待ち構えている可能性が高いからだ」

「じゃあ、どうする?」
ソフィアが尋ねる。

「まずは、アークライトで奴の足元を崩す」
アレンは、そう言うと、一枚の依頼書をテーブルに広げた。それは、街の有力貴族が所有する私有地に関する、情報収集の依頼書だった。

「この依頼主は、バルドル公爵家の遠縁に当たる貴族だ。彼の屋敷が、最近何か怪しい動きをしているという噂がある。もしかしたら、バルドルの秘密の拠点になっているかもしれない」

アレンが探りを入れていたのは、ソフィアを陥れたバルドル公爵嫡男が、違法な活動に関わっている可能性だった。そして、その線が、予想通り当たったのだ。

「違法な活動、だと?」
「帳簿を分析した結果、奴の金の流れは、通常では考えられないほど潤沢だ。その多くが、魔物売買の裏金に使われている可能性がある」

アレンは、ヒュドラ討伐の際に得た情報も付け加えた。
「呪われた沼の瘴気は、ヒュドラが原因だったが、そのヒュドラが沼に現れた時期が、不自然なほど最近なんだ。まるで、どこかから『運ばれてきた』かのように」

ソフィアとカイは、はっと顔を見合わせた。

「つまり、バルドルは『蛇の手』と組んで、違法なルートで危険な魔物を入手し、それを私的に利用するか、あるいは高く売りさばいていた、ということか」
ソフィアが、怒りに顔を歪めながら言った。

「その可能性が高い。もし、奴の屋敷が魔物売買の拠点になっていれば、この街で奴を捕らえることができる。違法行為の証拠を押さえれば、ソフィアの件だけでなく、奴自身の立場も完全に失わせることができる」

アレンの計画は、ソフィアの個人的な復讐を超え、バルドル公爵嫡男の社会的地位そのものを崩壊させるためのものだった。

ソフィアの瞳に、強い光が宿った。
「バルドル……あの卑怯者が、俺の剣以外の汚い手を使いやがって。許せない!」

「この作戦の目的は、ソフィア、あんたの名誉回復だ」
アレンは、ソフィアの肩に手を置いた。
「だが、奴は『蛇の手』のパトロンだ。奴の屋敷は、罠と護衛で固められているはずだ。今日の夜、潜入する」

カイが、静かに言った。
「潜入なら、俺の得意分野だ。警備を無力化し、証拠の場所を特定する。ソフィアは?」

ソフィアは、剣の柄を握りしめた。
「俺は……正面から行く。俺を騎士団から追い出したあの貴族の屋敷に、堂々と乗り込んでやる。そして、奴に直接、俺の剣の重みを教えてやる」

「待て、ソフィア」
アレンが制止する。
「感情的になるな。正面から行けば、奴は逃げる。あくまで、証拠を押さえることが先決だ」

「分かっている!だが、俺の誇りが、奴の屋敷を素通りすることを許さない!」
ソフィアの瞳は、怒りに燃えていた。

アレンは、しばらくソフィアを見つめた後、深く息を吐いた。
「……分かった。だが、無茶はするな。俺の許可なく、奴に手は出すな。証拠が揃うまでは、あんたはただの『牽制役』だ。いいな?」

「ああ。誓う」
ソフィアは、力強く頷いた。

三人は、すぐに潜入のための準備を開始した。
ソフィアの名誉回復。それは、彼らがこれから挑む、巨大な闇組織『蛇の手』との戦いの、最初の狼煙となるはずだった。
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