Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い

夏見ナイ

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第41話 Bランクへの昇格

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ソフィアの名誉回復と、バルドル公爵嫡男の逮捕という衝撃的なニュースは、アークライトの街だけでなく、王都にまで大きな波紋を広げた。その中心にいたのが、新進気鋭のパーティ【黎明の翼】であるという事実は、彼らの名声を一夜にして不動のものとした。

ギルドマスターのダリウスは、アレンたちを再び執務室へと呼び出した。
「お前さんたち、とんでもないことをしでかしてくれたな」
彼は、呆れたような、しかしどこか楽しげな表情で言った。
「公爵家の嫡男を失脚させるとは。おかげで、王都は大騒ぎだ。だが、おかげで長年燻っていた膿を一つ出すことができた。見事な手際だったと、クライヴ辺境伯からも感謝状が届いている」

ダリウスは、デスクの引き出しから三枚の真新しいギルドカードを取り出した。それは、銀で縁取られた、Bランク冒険者の証だった。

「ヒュドラ討伐の功績、そして今回の件。これらを総合的に判断し、ギルドは本日付で、お前さんたち【黎明の翼】を正式にBランクパーティとして認定する。異論はないな?」

「……ありがたく、お受けします」
アレンは、代表して静かに頭を下げた。
ソフィアとカイも、感慨深げにその銀色のカードを見つめている。
Dランクのゴブリン退治から始まった彼らのパーティは、わずかな期間で、誰もが認める実力者へと駆け上がったのだ。

「うむ。ただし、調子に乗るなよ」
ダリウスは、釘を刺すように言った。
「Bランクからは、相手にする魔物も、関わる依頼も、これまでとは次元が違う。お前さんたちの噂を聞きつけて、面倒な連中が絡んでくることもあるだろう。常に気を引き締めておけ」

「肝に銘じておきます」
アレンの真摯な返事に、ダリウスは満足げに頷いた。

正式にBランク冒険者となった【黎明の翼】の元には、次々と高ランクの依頼が舞い込むようになった。貴族からの護衛依頼、未踏のダンジョンの調査、強力な魔物の討伐。報酬も、これまでとは桁違いだ。
彼らは、その中から慎重に依頼を選び、一つ一つを完璧にこなしていった。

ソフィアは、パーティの『盾』として、その剣技にますます磨きをかけた。アレンの支援があるという安心感は、彼女の戦いから迷いを消し、より大胆で、より洗練された剣筋を生み出していた。
カイは、パーティの『牙』として、その隠密能力と暗殺術を遺憾なく発揮した。彼は、どんな複雑な地形でも正確な情報を持ち帰り、戦闘では常に敵の死角から必殺の一撃を見舞った。
そしてアレンは、パーティの『心臓』であり『頭脳』として、二人を完璧に統率した。彼の的確な指示と、常識外れの回復・支援魔法は、【黎明の翼】を文字通り「死なないパーティ」として、その名を大陸に轟かせ始めていた。

彼らの戦いぶりは、多くの冒険者たちの語り草となった。
曰く、「女騎士の剣は、竜の鱗さえ断ち切る」。
曰く、「獣人の斥候は、影の中を歩く」。
そして、曰く、「彼らの後ろには、死さえも癒す聖者がいる」。

噂は噂を呼び、彼らの実力は、すでにBランクの域を遥かに超えているとさえ言われるようになった。
だが、当のアレンたちは、そんな名声に浮かれることはなかった。彼らの目的は、ただ名声を上げることではない。ソフィアの名誉回復は、その第一歩に過ぎなかった。
彼らの本当の敵は、未だその全貌を見せない巨大な闇組織、『蛇の手』なのだから。

彼らは、依頼をこなしながらも、常に『蛇の手』に関する情報を収集していた。バルドルの一件で、組織はアークライト周辺の拠点を失ったようだが、その活動が止まったわけではない。カイが掴んだ断片的な情報によれば、彼らは今、大陸各地で何らかの大きな計画を推し進めているらしかった。

そんな日々が数ヶ月続いた、ある日のことだった。
カイが、一つの古い書物を持って、宿屋の部屋に戻ってきた。それは、彼が情報屋から手に入れた、この地方の古代遺跡に関する伝承を記した本だった。

「どうした、カイ。そんな古臭い本を読んで」
ソフィアが、いつものように軽口を叩く。
「……気になる記述を見つけた」
カイは、本の特定のページを開き、テーブルの上に置いた。
そこには、霞んだインクで、一つの紋様の絵が描かれていた。

それは、絡み合う二匹の蛇を模した、不気味な紋様。
『蛇の手』が使う紋様と、酷似していた。

「これは……!」
アレンとソフィアも、息を呑んでそのページを覗き込む。
本の記述には、こうあった。

『古の時代、闇を崇める邪教の民あり。彼らは、蛇を神の使いとし、生贄を捧げることで、禁断の力を得ようとした。王国の騎士団によって滅ぼされたが、その残党は、大陸のどこかにある『蛇の祭壇』で、今も邪神の復活を待ち望んでいるという……』

「邪教の民……蛇の祭壇……」
アレンは、その言葉を繰り返した。
「カイ、あんたの一族を滅ぼした連中は、ただの暗殺者集団じゃないのかもしれない。もっと、古くから続く、巨大な教団のような組織……」

「ああ」
カイは、静かに頷いた。
「そして、この本には続きがある。その『蛇の祭壇』に関する手がかりが、この近くにある古代遺跡、『静寂の神殿』の奥深くに眠っている、と」

『静寂の神殿』。
それは、アークライトからさらに西へ向かった山脈地帯にある、古代文明の遺跡だ。あまりにも危険な罠と、強力な守護者がいるため、これまで多くの冒険者が挑み、誰一人として最深部にたどり着けた者はいないという、Bランク冒険者にとっては最難関の一つとされる場所だった。

「……行くか」
ソフィアが、闘志に満ちた目で言った。
「面白そうじゃないか。俺たちの実力が、どこまで通用するか、試してみるいい機会だ」

アレンも、決意を固めた。
「ああ。カイの復讐は、俺たちの復讐でもある。そして、ソフィアを陥れた黒幕の正体を突き止めるためにも、これ以上『蛇の手』を放置しておくわけにはいかない」

三人の意見は、一致した。
彼らの次の目標は、古代遺跡『静寂の神殿』の攻略。
それは、彼らがBランク冒険者として挑む、最初の、そして最大の試練となるだろう。
彼らはまだ知らない。その遺跡の奥で、彼らの想像を絶するような、古代の闇と、新たな仲間との出会いが待っていることを。
【黎明の翼】は、その翼をさらに大きく広げ、未知なる空へと飛び立とうとしていた。
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