地球育ちの俺、銀河帝国では『伝説の古代種族』らしい。~拾われた宇宙船で無自覚に無双してたら、皇女様に求婚されました~

夏見ナイ

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第2話

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意識がゆっくりと浮上してくる。
最初に感じたのは、ひんやりとした硬い感触だった。背中に当たるそれは、自宅のベッドのスプリングとは似ても似つかない。次いで、消毒液のような、しかし嗅いだことのない独特の匂いが鼻をついた。

「……ん」

重い瞼をこじ開けると、視界に飛び込んできたのは、見慣れた木目の天井ではなかった。滑らかで継ぎ目のない、乳白色の金属質な天井。規則的に埋め込まれた照明が、柔らかな光を放っている。

「どこだ……ここ……」

掠れた声が自分のものとは思えなかった。体を起こそうとして、全身に妙な気だるさが残っていることに気づく。風邪でも引いたか? いや、それにしては状況が異常すぎる。

俺は確か、丘の上で星を見ていたはずだ。それから、あの眩い光に包まれて――。

「気が付かれましたか」

不意に、穏やかな声がかけられた。
そちらに顔を向けて、大和は完全に固まった。

そこに立っていたのは、人間ではなかった。
すらりとした長身に、清潔そうな白い衣服。そこまではいい。問題は、その肌の色だった。鮮やかとさえ言える、澄んだ青色。大きな瞳は理知的な光を宿し、耳は人間よりも少し長く、緩やかに尖っている。映画かゲームで見たエルフのような、整った顔立ちの人物だった。

「…………」

声が出ない。夢か? まだ俺は寝ているのか?
混乱する大和を安心させるように、青い肌の人物は優しく微笑んだ。

「驚かせてしまったようですね。無理もありません。私はこの船で船医を務める者です。あなたの首にこれを」

そう言って彼が指差したのは、大和自身の首元だった。触れてみると、ひんやりとした金属のチョーカーのようなものがはめられている。いつの間にこんなものを。

「それは簡易型の翻訳機です。我々の言語を、あなたの脳が理解できる言語情報に直接変換します。多少の違和感はあるかもしれませんが、会話には支障ないはずです」

船医と名乗る人物の言葉は、確かに流暢な日本語として頭に入ってくる。だが、脳が理解することと、心が受け入れることは別問題だ。

船? 翻訳機? 青い肌の医者?
状況が飲み込めず、ただ呆然とする大和に、船医は続けた。

「あなたは所属不明の小型ポッド内で仮死状態になっているところを発見され、我々の船に救助されました。あなた方が『宇宙空間』と呼ぶ場所で、危険なデブリ帯を漂流していましたよ」

宇宙、空間……?

「あの、すみません。ちょっと何言ってるか……」
「ご安心ください。幸いにも外傷はなく、生命活動も安定しています。ここはアストレア銀河帝国所属、移民視察船『アルテミス』の医務室です」

アストレア銀河帝国。
その壮大すぎる単語は、大和の混乱した頭を通り過ぎ、ただ虚空に溶けていった。
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