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第38話
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エリアーナの告白とも取れる言葉に、大和の心は大きく揺れていた。
彼女の真剣な眼差しが脳裏に焼き付き、読書に集中することもできず、ただ時間だけが過ぎていく。
その翌日。
帝都は、年に一度の『静寂の日』を迎えていた。
皇帝陛下が、帝都の中心にある大神殿に籠り、帝国の平和と繁栄を祈る、最も神聖な日。この日は、慣例として帝都の主要な機能は停止され、軍の警備体制も最低限レベルにまで引き下げられる。街は、その名の通り、静寂に包まれていた。
皇宮の自室で、大和はぼんやりと窓の外を眺めていた。
空は、どこまでも青く澄み渡っている。時折、市民のエアカーがゆっくりと飛行していくのが見えるだけの、穏やかな光景だ。
(本当に、平和な国だな……)
エリアーナの言葉を思い出しながら、彼はそんなことを考えていた。
もし、本当にこの国に残るとしたら。自分に何ができるのだろうか。
そんな、今まで考えたこともなかった問いが、頭をよぎる。
その、まさにその時だった。
空の青さに、不釣り合いな黒い〝染み〟が、突如として現れた。
最初は、小さな点だった。だが、それは急速に大きくなり、その正体を現していく。
宇宙船だ。
それも、一隻や二隻ではない。
数十、いや、百隻を超える規模の、巨大な艦隊。
そのどれもが、流線形の民間船とは違う、無骨で角張った、明らかに戦闘を目的とした艦影をしていた。
「……なんだ、あれは?」
大和は、目を細めてその光景を見つめた。
帝国の防衛艦隊の演習だろうか? いや、それにしても、帝都の、それも皇宮の真上に、これほどの大艦隊が何の警告もなく出現するのは異常だ。
艦隊は、帝都の上空でゆっくりとその陣形を整えていく。
その動きには、友好国の親善訪問のような優雅さはない。あるのは、獲物を前にした猛禽のような、冷たく、そして圧倒的な威圧感だった。
所属を示す帝国の紋章は、どこにも見当たらない。
皇宮内が、にわかに騒がしくなってきた。
警報が鳴り響くよりも早く、ゼノが血相を変えて大和の部屋に飛び込んでくる。
「師匠! ご無事でしたか!」
「ゼノさん、一体何が……。あの艦隊は?」
「分かりません! 所属不明の艦隊が、帝都の防衛網を突破し、今、皇宮上空を占拠しました! これは……これは、もはや……!」
ゼノの言葉が、途中で途切れる。
だが、その続きを言わずとも、大和にも理解できた。
これは、演習ではない。
訪問でもない。
戦争だ。
ゴゴゴゴゴ……
大気を震わせるような低い駆動音と共に、艦隊の船体側面にある無数のハッチが、一斉に開き始めた。
その暗い開口部の奥から、砲身が、ゆっくりと姿を現す。
その全てが、眼下の帝都へ、そして皇宮へと、狙いを定めていた。
街の静寂は、完全に破られた。
あちこちから、市民の短い悲鳴が聞こえ始める。
帝国の平和な日常が、終わりを告げようとしていた。
彼女の真剣な眼差しが脳裏に焼き付き、読書に集中することもできず、ただ時間だけが過ぎていく。
その翌日。
帝都は、年に一度の『静寂の日』を迎えていた。
皇帝陛下が、帝都の中心にある大神殿に籠り、帝国の平和と繁栄を祈る、最も神聖な日。この日は、慣例として帝都の主要な機能は停止され、軍の警備体制も最低限レベルにまで引き下げられる。街は、その名の通り、静寂に包まれていた。
皇宮の自室で、大和はぼんやりと窓の外を眺めていた。
空は、どこまでも青く澄み渡っている。時折、市民のエアカーがゆっくりと飛行していくのが見えるだけの、穏やかな光景だ。
(本当に、平和な国だな……)
エリアーナの言葉を思い出しながら、彼はそんなことを考えていた。
もし、本当にこの国に残るとしたら。自分に何ができるのだろうか。
そんな、今まで考えたこともなかった問いが、頭をよぎる。
その、まさにその時だった。
空の青さに、不釣り合いな黒い〝染み〟が、突如として現れた。
最初は、小さな点だった。だが、それは急速に大きくなり、その正体を現していく。
宇宙船だ。
それも、一隻や二隻ではない。
数十、いや、百隻を超える規模の、巨大な艦隊。
そのどれもが、流線形の民間船とは違う、無骨で角張った、明らかに戦闘を目的とした艦影をしていた。
「……なんだ、あれは?」
大和は、目を細めてその光景を見つめた。
帝国の防衛艦隊の演習だろうか? いや、それにしても、帝都の、それも皇宮の真上に、これほどの大艦隊が何の警告もなく出現するのは異常だ。
艦隊は、帝都の上空でゆっくりとその陣形を整えていく。
その動きには、友好国の親善訪問のような優雅さはない。あるのは、獲物を前にした猛禽のような、冷たく、そして圧倒的な威圧感だった。
所属を示す帝国の紋章は、どこにも見当たらない。
皇宮内が、にわかに騒がしくなってきた。
警報が鳴り響くよりも早く、ゼノが血相を変えて大和の部屋に飛び込んでくる。
「師匠! ご無事でしたか!」
「ゼノさん、一体何が……。あの艦隊は?」
「分かりません! 所属不明の艦隊が、帝都の防衛網を突破し、今、皇宮上空を占拠しました! これは……これは、もはや……!」
ゼノの言葉が、途中で途切れる。
だが、その続きを言わずとも、大和にも理解できた。
これは、演習ではない。
訪問でもない。
戦争だ。
ゴゴゴゴゴ……
大気を震わせるような低い駆動音と共に、艦隊の船体側面にある無数のハッチが、一斉に開き始めた。
その暗い開口部の奥から、砲身が、ゆっくりと姿を現す。
その全てが、眼下の帝都へ、そして皇宮へと、狙いを定めていた。
街の静寂は、完全に破られた。
あちこちから、市民の短い悲鳴が聞こえ始める。
帝国の平和な日常が、終わりを告げようとしていた。
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