地球育ちの俺、銀河帝国では『伝説の古代種族』らしい。~拾われた宇宙船で無自覚に無双してたら、皇女様に求婚されました~

夏見ナイ

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第42話

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司令室の壁が崩れ落ち、そこからなだれ込んできたのは、黒い戦闘服に身を包んだ反乱軍の特殊部隊だった。彼らは、一切の躊躇なく、室内に向けてブラスターを乱射する。

「陛下をお守りしろ!」

ゼノと生き残っていた近衛騎士たちが、皇帝の前に立ちはだかり、剣でレーザーを弾き返す。だが、多勢に無勢。一人、また一人と、騎士たちが灼熱の光弾に焼かれて倒れていった。

「エリアーナ様、こちらへ!」

大和は、エリアーナの手を強く引き、司令室の奥へと駆け込んだ。爆風と粉塵が舞う中、彼はただ、彼女を守ることだけを考えていた。
しかし、敵の侵攻はあまりにも早かった。
別の扉を蹴破り、新たな部隊が回り込んでくる。あっという間に、彼らは完全に包囲されてしまった。

特殊部隊の兵士たちが、銃口を大和とエリアーナに向ける。その冷徹な目に、慈悲の色はない。
ゼノが、血を吐きながら叫んだ。
「師匠! エリアーナ様を頼む!」

彼は、最後の力を振り絞り、大和たちへの射線を塞ぐように、敵部隊へと突っ込んでいく。だが、その奮闘も長くは続かなかった。数発の銃弾が彼の体を貫き、ゼノはその場に崩れ落ちた。

「ゼノさん!」

大和の悲痛な叫びも虚しく、反乱軍の兵士たちは、ついに皇帝とエリアーナの前へと到達した。

部隊の指揮官らしき男が、皇帝の前に立つと、冷ややかに言った。
「皇帝陛下。ヴァリウス公爵閣下からのご命令です。これ以上の無益な抵抗はおやめいただき、ご投降いただきたい」

皇帝ガイウスは、倒れた騎士たちを静かに見渡すと、諦めたように、しかし威厳を失わずに息を吐いた。
「……よかろう。だが、条件がある。これ以上、民を傷つけるな。そして、皇女には手を出すな」

「ご安心を。我々が望むのは、帝国の秩序の回復のみ」
指揮官はそう言うと、部下たちに合図を送った。数人の兵士が皇帝を取り囲み、事実上の軟禁状態に置く。

そして、指揮官の冷たい目が、エリアーナに向けられた。

「皇女殿下にも、ご同行願います。あなたは、我々の〝大義〟を民に示すための、大切な象徴となっていただきますので」

その言葉の意味を理解し、エリアーナの顔から血の気が引いた。人質。自分は、父を、帝国を脅すための道具にされるのだ。

「嫌……!」

彼女は、咄嗟に大和の腕にしがみついた。
「ヤマト様……!」

兵士たちが、エリアーナを大和から引き離そうと、彼女の腕を掴む。
「やめろ! この子に触るな!」

大和は、思わず叫び、兵士の手を振り払おうとした。
その瞬間、別の兵士が、大和の後頭部をブラスターの銃床で、全力で殴りつけた。

ガンッ!

鈍い衝撃。
常人ならば、頭蓋骨が砕けて即死していてもおかしくない一撃。
大和の視界が、ぐにゃりと歪んだ。意識が、急速に遠のいていく。

「ヤマト様! ヤマト様!」

薄れゆく意識の中で、エリアーナの悲痛な叫び声だけが、やけにクリアに聞こえていた。
兵士たちに腕を引かれ、為す術なく連れ去られていく彼女の、絶望に染まった顔。

それが、大和が最後に見た光景だった。
彼の体は、糸が切れた人形のように、その場に崩れ落ちた。

反乱軍の兵士は、ピクリとも動かなくなった大和を一瞥すると、蔑んだように吐き捨てた。
「なんだ、英雄と聞いていたが、案外脆いものだな」

彼らは知らない。
その一撃が、眠れる獅子の髭を、最も愚かな形で逆撫でしてしまったということを。
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