地球育ちの俺、銀河帝国では『伝説の古代種族』らしい。~拾われた宇宙船で無自覚に無双してたら、皇女様に求婚されました~

夏見ナイ

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第43話

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皇宮は、陥落した。
皇帝は捕らえられ、皇女は連れ去られた。帝国の象徴たる二人が、反乱軍の手に落ちたという事実は、残された者たちの心を折るのに十分すぎる威力を持っていた。

皇宮内のあちこちで続いていた抵抗は、急速にその勢いを失っていく。
投降を呼びかける反乱軍の放送が、繰り返し響き渡った。
『皇帝陛下は、ヴァリウス公爵閣下の正義を受け入れられた! 抵抗は無意味である! 速やかに武器を捨て、投降せよ!』

もちろん、それは嘘だった。
だが、その嘘を信じ、絶望し、武器を置く兵士は少なくなかった。

しかし、その中にあっても、最後まで戦い続ける者たちがいた。
ゼノ・グレイウォール率いる、近衛騎士団の残党である。

「聞くな! 奴らの言葉に耳を貸すな! 陛下は、断じて降伏などしておらん!」

ゼノは、腹部から血を流しながらも、瓦礫の山と化した皇宮の庭園で、檄を飛ばしていた。彼の周りには、満身創痍の騎士たちが、わずか数十名ほど残っているだけだった。

「我らは、皇帝陛下に、そしてエリアーナ様に忠誠を誓った近衛騎士団だ! 最後の一人になろうとも、帝国の正義を、我らが誇りを、守り抜くのだ!」

「「「応!!」」」

騎士たちの雄叫びが、爆音にかき消されそうになりながらも、力強く響く。
彼らは、絶望的な状況を理解していた。だが、誰一人として、諦めてはいなかった。
彼らの胸には、ヤマトが教えた「伝説の戦闘訓練法」――ラジオ体操で培われた、不屈の闘志が燃えていたからだ。

「行くぞ! 奴らに、帝国騎士の魂を見せてやれ!」

ゼノを先頭に、騎士団は最後の突撃を敢行した。
彼らは、皇宮の一角に築かれた反乱軍の拠点へと、決死の覚悟で斬り込んでいく。

その戦いぶりは、まさに鬼神の如しだった。
一人一人が、十人以上の兵士を相手に、互角以上に渡り合う。オーラを纏った剣の一閃が、装甲兵器の分厚い壁を切り裂き、ブラスターの弾幕を弾き返す。
彼らの動きは、ラジオ体操によって、以前とは比べ物にならないほど滑らかで、力強いものになっていた。

反乱軍の兵士たちは、その予想外の抵抗に、たじろいだ。
「な、何なんだ、こいつらは!?」
「化け物か!?」

しかし、その奮戦も、焼け石に水だった。
反乱軍は、次から次へと増援を送り込んでくる。圧倒的な物量の差が、騎士たちの体力を、そして精神力を、確実に削り取っていく。

一人、また一人と、力尽きた騎士が血の海に沈んでいく。

「はあっ、はあっ……!」

ゼノの剣も、繰り返される激戦で、刃こぼれが目立っていた。流れる血で、視界が霞む。
彼の周りには、もはや数えるほどしか仲間は残っていなかった。

「これまで、か……」

四方八方を、黒い戦闘服の兵士たちに完全に包囲される。無数の銃口が、一斉に彼らに向けられた。
ゼノは、もはやこれまでと、覚悟を決めた。

(申し訳、ありませぬ……エリアーナ様……そして、師匠……)

彼の脳裏に、敬愛する二人の顔が浮かぶ。
その時、遠くで気を失っているはずの師は、一体どうしているだろうか。

そんなことを、彼はぼんやりと考えていた。
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