地球育ちの俺、銀河帝国では『伝説の古代種族』らしい。~拾われた宇宙船で無自覚に無双してたら、皇女様に求婚されました~

夏見ナイ

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第45話

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司令室を後にした大和は、破壊された皇宮の廊下を、まっすぐに歩いていた。
目的地は、自分が寝起きしていた離宮。あそこには、彼の数少ない私物――と言っても、着替えくらいしかないが――が置いてある。戦うにしても、まずは動きやすい格好に着替えたかった。

彼の歩みは、静かだった。
だが、その全身から放たれる雰囲気は、以前とは明らかに異なっていた。怒りが、彼の存在そのものを、研ぎ澄まされた刃物のように変質させている。

廊下の曲がり角で、反乱軍の兵士たちと鉢合わせた。
彼らは、皇宮内の残敵を掃討していた部隊だった。大和の姿を認めるなり、驚き、そしてすぐに銃口を向ける。

「生き残りがいたぞ!」
「撃て!」

数条のレーザー光線が、大和に向かって放たれる。
しかし、大和は避けるそぶりすら見せなかった。

光弾は、彼の体に吸い込まれるように着弾し、そして、何の痕跡も残さずに霧散した。まるで、雨粒が岩に当たって砕けるかのように。
大和の服に、小さな焦げ跡が数カ所できただけだった。

「なっ……!?」
兵士たちが、信じられないものを見る目で硬直する。

大和は、無言で彼らの横を通り過ぎた。
すれ違い様、兵士の一人が持っていたブラスターライフルを、ひょいと取り上げる。
そして、その銃身を、まるで濡れ雑巾でも絞るかのように、ぐにゃりと捻じ曲げた。

「ひっ……!」

兵士たちは、恐怖に声も出せず、その場にへたり込んだ。
大和は、一度も彼らに視線を向けることなく、先へと進んでいく。

やがて、離宮が見えてきた。
しかし、その周囲の光景に、大和は眉をひそめた。

離宮は、十数台の装甲兵器によって、完全に包囲されていた。それは、戦車のようなキャタピラを持つ、高さ5メートルほどの多脚歩行兵器だった。ヴァリウスが、ヤマトが万が一にも目を覚ました場合に備え、念入りに配置していた部隊だった。

「目標を確認! 英雄ヤマトだ!」
「攻撃開始! 粉微塵にしてしまえ!」

装甲兵器の砲塔が、一斉に大和に向けられ、火を噴いた。
実体弾とエネルギー弾が入り混じった弾幕が、大地を抉り、空気を震わせながら、大和へと殺到する。

大和は、静かに息を吸った。
そして、地面を蹴った。

次の瞬間、彼の姿が、その場から掻き消えた。
いや、消えたのではない。
あまりの速度に、人間の目では捉えられなくなっただけだ。

砲弾が着弾し、土煙が上がる、その中心。
そこに、もはや大和の姿はなかった。

「どこだ!? どこへ消えた!?」
装甲兵器のパイロットたちが、混乱の声を上げる。

答えは、すぐに見つかった。
一体の装甲兵器の、 바로 옆(바로 옆)に、いつの間にか大和が立っていた。

彼は、無言で、その分厚い装甲版に、拳を叩き込んだ。
ただの、ストレートパンチ。

ゴッ!

鈍い音が響いたかと思うと、特殊合金で作られたはずの装甲が、まるで粘土細工のように内側へと陥没した。衝撃波が内部を駆け巡り、操縦席のパイロットは意識を刈り取られ、計器類は火花を散らして爆発する。

一体が、沈黙した。

「な、何をしやがった!?」
「囲め! 押し潰せ!」

残りの装甲兵器が、大和を取り囲むように動き出す。
だが、その動きは、今の彼にとっては、あまりにも鈍重に過ぎた。

大和は、一体の兵器が振り下ろした巨大な金属アームを、片手で軽々と受け止めた。
ミシミシ、とアームの関節部が悲鳴を上げる。
彼は、そのアームを掴んだまま、装甲兵器そのものを、まるでハンマー投げのハンマーのように、ぶん、と振り回した。

「うわあああああ!」

遠心力で振り回されながら、パイロットが絶叫する。
大和は、その勢いのまま、振り回していた装甲兵器を、隣にいた別の兵器へと、全力で叩きつけた。

ガシャアアアァァン!

金属同士が激突する、耳をつんざくような轟音。
二台の装甲兵器は、もつれ合うようにして爆発炎上し、巨大な鉄屑と化した。

そこからは、もはや戦闘ではなかった。
一方的な、破壊。蹂躙。

彼は、主砲を鷲掴みにして引きちぎり、巨大な脚を蹴り一発でへし折り、コクピットをデコピンで粉砕した。
反乱軍が誇る装甲部隊は、わずか数分のうちに、ただの燃え盛るスクラップの山へと変わっていた。

大和は、炎を背に、静かに離宮の扉へと歩を進める。
その姿は、まさしく、怒れる破壊神そのものだった。
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