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第47話
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皇宮の中枢へと続く、大通り。
そこは、反乱軍にとって最重要防衛拠点の一つだった。
道の両脇にある建物の屋上や窓には、無数の狙撃兵が配置され、通りの中央には最新鋭の自動迎撃タレットがいくつも設置されている。まさに、鉄壁のキルゾーンだった。
これまでの報告で、ヤマトという男が尋常ではないことを理解した反乱軍の指揮官は、この場所に最大戦力を投入していた。
「奴がどれほどの化け物だろうと、この十字砲火を抜けることはできん! 蜂の巣にしてやれ!」
そのキルゾーンに、大和は、たった一人、足を踏み入れた。
彼が中央まで歩を進めた瞬間、ありとあらゆる方向から、死の弾丸が殺到した。
狙撃兵が放つ高出力のレーザー、タレットがばら撒くプラズマ弾。その全てが、大和という一点に集中する。
ズドドドドドド!
大和の周囲の地面が、連続的な爆発で粉々になっていく。
だが、その中心に立つ大和は、相変わらず無傷だった。腕を組み、静かに周囲を見渡している。その姿は、まるで降りしきる夕立の中で、傘もささずに佇んでいるかのようだ。
「馬鹿な! なぜ倒れん!」
指揮官が、司令部で怒鳴り声を上げる。
(……うるさいな)
大和は、降り注ぐ弾丸の雨を、心底鬱陶しいと思っていた。
このまま進んでもいいが、キリがない。そして何より、エリアーナを助けるための時間が、無駄に過ぎていくのが我慢ならなかった。
(何か、手っ取り早く黙らせる方法は……)
彼の脳が、高速で回転する。
武器はない。特殊な能力もない。あるのは、異常に頑丈な体と、人並外れた腕力。そして、地球で生きてきた、ごく平凡な知識だけだ。
知識……。そうだ。
彼の脳裏に、趣味であるカメラの知識が、ふと蘇った。
昔のフィルムカメラで使われていた、フラッシュバルブの原理。
細い金属線を、一瞬で燃焼させて、強い光を発生させる。
金属……燃焼……光。
大和は、周囲を見渡した。
破壊された建物の壁から、白い粉末状の断熱材が、風に舞っているのが見えた。
彼は、その粉末を少量、手のひらに掬い取る。指でこすり合わせ、その質感を確かめた。
(……これは、マグネシウムに近いな)
マグネシウム。地球では、非常に燃えやすい金属として知られている。そして、燃焼する際に、極めて強い光と熱を発する。
大和の口元に、かすかな笑みが浮かんだ。
彼は、近くに転がっていた、装甲兵器の残骸へと近づいた。
そこから、バッテリーに繋がっていたと思われる、一本のケーブルを引きちぎる。
そして、その先端の被覆を爪で剥がし、銅線を剥き出しにした。
準備は、整った。
大和は、狙撃兵たちが潜む建物の屋上や、タレットの位置を、正確に記憶する。
そして、手のひらに乗せた白い粉末を、空中に向かって、ふわりと投げ上げた。
粉末が、風に乗って、ゆっくりと彼の周囲に拡散していく。
その瞬間を狙って、彼は、剥き出しにしたケーブルのプラスとマイナスの端子を、接触させた。
バチッ!
ショートした銅線から、小さな火花が散る。
その火花が、空中に漂う金属粉末に、引火した。
――次の瞬間。
世界から、音が消えた。
否、それほどの、圧倒的な光が、全てを白く塗り潰したのだ。
擬似的な太陽が、地上に出現したかのような、強烈な閃光。
それは、マグネシウム粉末による、粉塵爆発だった。
カメラのフラッシュなど比較にならない、数万カンデラにも達する光の暴力が、キルゾーン全体を包み込んだ。
「ぐわあああああ!」
「目がああああ!」
建物の屋上や窓から、狙撃兵たちの絶叫が響き渡る。
彼らの網膜は、強烈すぎる光によって、一時的に、あるいは永久に焼き切られた。自動迎撃タレットも、光学センサーが完全に破壊され、火花を散らして沈黙していく。
鉄壁だったはずの防衛ラインは、たった一瞬で、完全に無力化された。
大和は、目を細めてその光景を見ていた。
彼にとっても眩しい光だったが、地球の強い太陽光に慣れている彼の視力は、耐えられないほどではなかった。
「……ちょっと、やりすぎたかな」
彼は、もうもうと立ち上る白煙の中を、何事もなかったかのように、再び歩き始めた。
残されたのは、暗闇の中で悶え苦しむ兵士たちと、沈黙した兵器の残骸だけだった。```
そこは、反乱軍にとって最重要防衛拠点の一つだった。
道の両脇にある建物の屋上や窓には、無数の狙撃兵が配置され、通りの中央には最新鋭の自動迎撃タレットがいくつも設置されている。まさに、鉄壁のキルゾーンだった。
これまでの報告で、ヤマトという男が尋常ではないことを理解した反乱軍の指揮官は、この場所に最大戦力を投入していた。
「奴がどれほどの化け物だろうと、この十字砲火を抜けることはできん! 蜂の巣にしてやれ!」
そのキルゾーンに、大和は、たった一人、足を踏み入れた。
彼が中央まで歩を進めた瞬間、ありとあらゆる方向から、死の弾丸が殺到した。
狙撃兵が放つ高出力のレーザー、タレットがばら撒くプラズマ弾。その全てが、大和という一点に集中する。
ズドドドドドド!
大和の周囲の地面が、連続的な爆発で粉々になっていく。
だが、その中心に立つ大和は、相変わらず無傷だった。腕を組み、静かに周囲を見渡している。その姿は、まるで降りしきる夕立の中で、傘もささずに佇んでいるかのようだ。
「馬鹿な! なぜ倒れん!」
指揮官が、司令部で怒鳴り声を上げる。
(……うるさいな)
大和は、降り注ぐ弾丸の雨を、心底鬱陶しいと思っていた。
このまま進んでもいいが、キリがない。そして何より、エリアーナを助けるための時間が、無駄に過ぎていくのが我慢ならなかった。
(何か、手っ取り早く黙らせる方法は……)
彼の脳が、高速で回転する。
武器はない。特殊な能力もない。あるのは、異常に頑丈な体と、人並外れた腕力。そして、地球で生きてきた、ごく平凡な知識だけだ。
知識……。そうだ。
彼の脳裏に、趣味であるカメラの知識が、ふと蘇った。
昔のフィルムカメラで使われていた、フラッシュバルブの原理。
細い金属線を、一瞬で燃焼させて、強い光を発生させる。
金属……燃焼……光。
大和は、周囲を見渡した。
破壊された建物の壁から、白い粉末状の断熱材が、風に舞っているのが見えた。
彼は、その粉末を少量、手のひらに掬い取る。指でこすり合わせ、その質感を確かめた。
(……これは、マグネシウムに近いな)
マグネシウム。地球では、非常に燃えやすい金属として知られている。そして、燃焼する際に、極めて強い光と熱を発する。
大和の口元に、かすかな笑みが浮かんだ。
彼は、近くに転がっていた、装甲兵器の残骸へと近づいた。
そこから、バッテリーに繋がっていたと思われる、一本のケーブルを引きちぎる。
そして、その先端の被覆を爪で剥がし、銅線を剥き出しにした。
準備は、整った。
大和は、狙撃兵たちが潜む建物の屋上や、タレットの位置を、正確に記憶する。
そして、手のひらに乗せた白い粉末を、空中に向かって、ふわりと投げ上げた。
粉末が、風に乗って、ゆっくりと彼の周囲に拡散していく。
その瞬間を狙って、彼は、剥き出しにしたケーブルのプラスとマイナスの端子を、接触させた。
バチッ!
ショートした銅線から、小さな火花が散る。
その火花が、空中に漂う金属粉末に、引火した。
――次の瞬間。
世界から、音が消えた。
否、それほどの、圧倒的な光が、全てを白く塗り潰したのだ。
擬似的な太陽が、地上に出現したかのような、強烈な閃光。
それは、マグネシウム粉末による、粉塵爆発だった。
カメラのフラッシュなど比較にならない、数万カンデラにも達する光の暴力が、キルゾーン全体を包み込んだ。
「ぐわあああああ!」
「目がああああ!」
建物の屋上や窓から、狙撃兵たちの絶叫が響き渡る。
彼らの網膜は、強烈すぎる光によって、一時的に、あるいは永久に焼き切られた。自動迎撃タレットも、光学センサーが完全に破壊され、火花を散らして沈黙していく。
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「……ちょっと、やりすぎたかな」
彼は、もうもうと立ち上る白煙の中を、何事もなかったかのように、再び歩き始めた。
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