地球育ちの俺、銀河帝国では『伝説の古代種族』らしい。~拾われた宇宙船で無自覚に無双してたら、皇女様に求婚されました~

夏見ナイ

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第56話

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中央塔を制圧した大和だったが、息をつく暇はなかった。
皇帝の拘束を解こうとした、まさにその時。
皇宮全体が、地鳴りのような激しい揺れに襲われた。

ゴゴゴゴゴゴ……!

「天空の間」のガラス張りの天井が、ミシミシと悲鳴を上げる。
見上げると、上空で繰り広げられていた艦隊戦の戦火を突き抜け、一つの巨大な影が、皇宮に向かって降下してくるところだった。

それは、人型の兵器だった。
これまでの装甲兵器とは、明らかに一線を画す、巨大ロボット。
全長は50メートルを超え、その漆黒の機体は、流線型と重装甲が融合した、獰猛なデザインをしている。背中には巨大な翼のようなブースターを備え、両腕には大型のビームキャノンと、機体と同サイズの巨大な剣が装備されていた。

「あれは……! ヴァリウスの隠し玉か!」

玉座の皇帝が、苦々しげに吐き捨てる。
それは、帝国軍が極秘裏に開発を進めていた、次世代型の人型機動兵器『ナイトメア』の試作一号機。本来ならば、まだ実戦投入されるはずのない、禁断の兵器だった。

そのナイトメアが、皇宮の中庭に、轟音と共に着地した。
大地が揺れ、衝撃で周囲の建物が崩れ落ちる。

『聞こえるか、ヤマト!』

ナイトメアの外部スピーカーから、若く、そして自信に満ちた男の声が響き渡った。
『俺は、ライル・シュナイダー! このナイトメアを駆る、帝国最高のエースパイロットだ! 貴様の伝説も、ここで終わりにしてやる!』

ナイトメアの頭部にある、単眼のメインカメラが、ぎらりと光り、中央塔の最上階――大和がいる「天空の間」を、正確に捉えた。

「ヤマト殿! 危ない!」
皇帝が叫ぶ。

その声が終わるよりも早く、ナイトメアの右腕に装備されたビームキャノンが、火を噴いた。
極太の、もはや光の奔流と呼ぶべき破壊の光線が、一直線に「天空の間」へと撃ち込まれる。

ズドオオオォォォン!

凄まじい爆発音。
「天空の間」の、ガラス張りの天井と壁が、一瞬で蒸発し、吹き飛んだ。
部屋は、もはやただの瓦礫の山と化した、屋上の展望台と化していた。

爆炎と黒煙が晴れた時、そこに立っていたのは、大和と、彼が咄嗟に庇ったことで無事だった皇帝の姿だった。
大和は、自分のTシャツが、今度こそ半分以上焼け爛れてしまっているのを見て、少しだけ眉をひそめた。

「……新品だったのにな」

その、あまりにも場違いな呟き。
ナイトメアのコクピットで、ライルは、その光景を信じられないものを見る目で見ていた。

「馬鹿な……! ナイトメアの主砲を、直撃で受けて、無傷だと……!?」

彼のプライドが、音を立てて軋み始める。
彼は、帝国最高のパイロット。そして、乗っているのは、帝国最強の機体。
それが、通用しない。この、たった一人の男に。

『ふざけるな……! ふざけるなぁぁっ!』

ライルの怒りの叫びと共に、ナイトメアは背中のブースターを全開にした。
巨体が、一瞬で宙に舞い上がる。
そして、今度は左腕に装備された巨大な剣――対艦刀『グラム』を抜き放ち、大和めがけて、急降下してきた。

「その体ごと、叩き斬ってやる!」

太陽光を反射し、きらめく巨大な刃が、大和の頭上へと迫る。
それは、戦艦すら一刀両断にする、絶対の破壊力を持つ一撃だった。

大和は、その迫りくる巨剣を、静かに、そして迷惑そうに見上げていた。
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